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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
最後の願い
【光文社】
光原百合
定価 1,890円(税込)
2005/2
ISBN-4334924522
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:D
強引な男が、劇団を作りあげるまでが外枠のスジ。仲間を一本釣りで口説いていく。妥協しない。夢は大きい。大法螺吹きにも思える男に見込まれた一人一話の連作。しかしねぇ、メンバー探しは手近だし、選ばれし者たちは男の眼力に驚くんだけど、井戸の蛙が褒めあう感じ。ほのぼのムードはいいとしても。同じ歳の人間しか登場しない大学サークルの映画を見た、いたたまれなさが甦った。主宰者のその男が語る聞いた風な演劇論。饒舌が辛いというか痒いというか、どういうふうに読みとっていいのか困った。中でも呆然としてしまったのが「最後の言葉は……」のオチ。謎解きとヒューマンな感動を結びつけたい意図はわかるんだけど、そんなナルシス男がいたとして人は感動するものなのか。最後まで違和感は残るし、口達者の男がどんな舞台をつくりたいのか見えてこなかった。残念です。
安藤 梢
評価:B
劇団を立ち上げるために、一人一人メンバーを集めていく。脚本、美術、制作、役者と次々と集められていく人と謎。自分でも忘れていたようなふとした謎から、誰にも言えずに心に仕舞い込んだような謎だったりと、内容も深刻さも様々だが、解決した後は皆一様にすっきりと憑き物が落ちたようなすがすがしさに包まれる。人にはとても言えないと思っているようなことであっても、言ってしまえばどうしたってすっきりとするものなのだ。そして自然と気持ちが前へと向いて動き出す、という流れも心地よい。最後の一話だけ、やや現実離れした展開なのが残念である。それまで日常の中の謎を積み重ねてきただけに、あまりに突拍子もない設定だと入り込めない。また個々のキャラクターが濃すぎて、肝心の主役が埋もれてしまっているような気がする。主人公の内面の物語は語られていない。そのあたりは続編に期待したい。
磯部 智子
評価:D
この作品は永遠の青春を生きる強い意思表示か、それとも職業青春小説か、ふ〜む。非常に学芸会的なワイワイした雰囲気で話が進むが、最後までその輪に入ることが出来なかった。劇団φの座員集めを7編の連作短編仕立てにし読み通すと一つの話の流れを作っている。読みやすく軽やかな調子で進み「日常に潜む謎の奥にある人間ドラマ」が展開される。その中にあるわだかまった部分を解きほぐすのが劇団の主催者、度合と風見だが、これが非常に浅いレベルで完成されている人間のように感じてしまう。人の心の中に土足で踏み込んでひょいひょいと洞察力を披露する。これを可愛げのある鈍感さとみるか、小賢しいとみるかは読み手次第だが、私は後者のほう。時間をかけなければならない問題も簡単に結論を導き出すし又人の心も簡単に折り合いをつける。年齢による集合化で読者層が決まるか否か、この作品に関してはもっと別のくくりがあるような気がしてならない。
小嶋 新一
評価:A
帯にある「青春ミステリー」という言葉に、騙されるところだった。ミステリ風味をきかせただけの軟弱系かと思いきや、いやはや。何よりも、伏線の張り方が見事。気づかず読み過ごしているところを、作者は涼しい顔をしてスコ〜ンと突いてくる。7作の連作短編集だから、「降参!」と唸らされること都合7回。「どう、気づいた?」作者のニヤニヤする顔が目の前に浮かぶよう。 劇団立ち上げに動く、思いっきりキザな役者コンビの渡会と風見。メンバーのスカウティングに歩くたび、日常生活の中にうずもれ誰も気づかなかった謎が浮かび上がる。
ベストは『彼女の求めるものは…』か。見ず知らずの女性からかかってきた人違い電話。名簿業者から舞い込んだ知人紹介の依頼。教習所のセールスレディと出掛けたホテルで睡眠薬で眠らされた友人。仲間うちで起こる椿事の影に隠された意外な真実を、二人が鮮やかに解き明かす。う〜ん、脱帽!後日談として、別の短編『彼が求めたものは…』につながる構成も素晴らしい。この一冊で終わったらもったいない、ぜひぜひ次回公演を!!
三枝 貴代
評価:B
劇団を立ち上げるために人材を探している青年・度会恭平。彼と彼の仲間にであった人々は、身近に起こった事件を見事に解き明かされて驚く。連作短編集。
過去に光原百合の作品を読んだのは、推理作家協会賞を受賞した『十八の夏』とそれが収録された同名短編集に収められた作品だけなのですが。その時は、頭が良くて育ちの良い作家さんの品の良い文章が印象に残りました。本作ではそれ以外の文体も加わって、ぐっと広がりがでたように思えます。それでいて、感じられる作家の人柄の良さは変わらず、素敵な本だと思います。
ただ、小説内の会話は本質的に不自然さを抱えているがゆえに、その不自然さを問題にしたミステリは、どうしてもアンフェアな印象を受けざるをえないのです。たとえば、『最後の言葉は…』では、死んだ男の残した遺言は確かに不自然かもしれませんが、橘と澪子の会話もどう考えても無茶苦茶不自然なのです。もう少しなんとかならなかったでしょうか。
寺岡 理帆
評価:B
いい話だと思う。けれど残念ながらわたしには物語の世界に浸ることができなかった。原因の一つは文章かな。パラグラフ毎に度々文章の視点が変わるのだけれど、その視点が文を読み始めてしばらくするまでわからないことが頻繁にあって、いったい誰の話なの?と気になってしまう。わざと視点を途中まで明かさない、という目的ではないと思うのだけれど。おかげで気が散ってしまいどうしても本に集中できなかった。
劇団φに少しずつ集まってくる個性的なメンバーたち。誰もが一癖も二癖も抱えている……のだろうけれど、少なくともこの作品では彼らの個性よりは彼らが抱えていた謎を解き明かすほうに物語の重心が置かれているので、彼らの魅力もいま一つ全開とはいっていない。
それと個人的にはあまりに人が続々と死んでいるのがちょっと気になったなあ。
福山 亜希
評価:A
テンポの良い本だった。二人の男が中心となって、劇団を立ち上げるまでを描いた物語だ。面白いのは、二人の男は劇団を立ち上げたいと思うものの、そのために必要なものを何一つもっていないことだ。お金もないし、劇団員さえ二人の他に誰もいない。財力もコネもツテもないから、人が集まるような求心力も当然無いのだ。だが、そんな彼らの夢みる劇団Φは、結果的には見事に立ち上がっていく。どのように立ち上がっていくのか、そこにこの本の醍醐味がある。二人の男の楽天的気楽さと、人を引き付ける内面の鋭さに、楽しく読める一冊だ。ミステリアスな部分とユーモアとが同居していて、どちらか一方に偏ることなく、見事にバランスを保っている。物語を通じて、若者達の青春の明るさが漂っているのも良かった。