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夜離れ
【新潮文庫】
乃南アサ
定価 460円(税込)
2005/4
ISBN-4101425396
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
浅井 博美
評価:B
乃南アサの描く物語も登場人物も意地悪極まりない。いくら男と海外旅行に行きたいからって旅行の日程と、死にかけの祖父の葬式の日程を被らないように操作したりするだろうか?(4℃の恋)自らの頭髪の美しさを際立たせる存在でしかなかった天然パーマの同僚が、美しく生まれ変わったことにより強い嫉妬に苛まれ、酷い行動をとったりするだろうか?(髪)親友の婚約者を好きになってしまった女。だからといって、その親友が何の苦労もなくいい男を捕まえ、何の苦労もなく深く愛されているからという理由だけで、凄まじい奇行に走ってしまうだろうか?(祝辞)
本書を読み終えた今、女たちの行動を強く否定できない私がいる。乃南アサには圧倒的な説得力があるのだ。しかし、彼女の著書は心底意地が悪くて、不快感をもよおしてしまうこともたびたびだ。だからといって金輪際読みたくないと思ったことはない。あの、意地の悪さを体感したくてたまらなくなることが年に数回、必ず訪れる。
北嶋 美由紀
評価:B
「夜離れ」とは、男が女の元へ通わなくなってくることだそうだ。6つの短編に共通しているのは女性側の結婚願望。もはや男が通ってくるのを待つ時代ではなく、ステキな男性とめぐり逢って、結婚し、幸せになりたいという積極的な願いである。女性なら一度は夢見ることだし、本能に近いのかもしれない。結婚=幸福という図式が頭の中で成立し、結婚が人生のゴールだと考える若い女性は多い。未知のあこがれであるゴールを目指し努力したり、絶望したりの女性達の話である。殺意を呼ぶ嫉妬、目的ばかりが先行して自分を見失う女性の、作者が同性であるがゆえに書ける、サスペンスなのだが、すべてさりげなく終わってしまい、余韻はそれほど深くない。背筋がゾクゾクするような怖さ、黒く渦巻く結末を予感させるような迫力に欠けるのがちょっと残念。この女性達は、結婚すれば必ず「こんなはずじゃなかった。」「結婚なんかしなきゃよかった。」と思うタイプである。したたかな本性をむきだしにした時の女のおそろしさはおもしろく読める。
久保田 泉
評価:B
乃南アサはきっと大きくブレイクするのではないが、息が長く、人気のある才能ある作家なのではないか、と初めて乃南アサを読んだ私は思った。本著も、たぶん大体20代くらいの様々な女性を主人公に、結婚をキーワードにして揺れ動く女心が、思わずにやっとするような短編小説を産み出していく。どの物語も、人生に致命的という程の、犯罪を犯す訳でも強烈な企みをもつ訳でもない。誰でもちょっとは考えそうで、それぞれの20代女性の未熟さも、あるある……という程度の気もする。なのに、読後に著者にしてやられたような、いや〜な感じが胸に残る。確かによくある気がするけど、そこを見ないようにしてたのに……というような。私の年代にしてみれば、通り過ぎてしまった年代の、もうかかわりたくもない女の未熟さ。そこを著者は実に上手に、いい意味で力をセーブして小説としての遊び心を足して書いているな、と感心した。話もなかなか面白かったが、著者にぐっと興味が湧いた一冊でした。
林 あゆ美
評価:C
6つのマリッジ・サスペンスが収録された短編集。
結婚をめぐる女性達の心理が、サスペンスにつながっていく。男性にとっても女性にとっても、結婚はおおむね一大決心。どんな人に出会えるか、そして幸福になれるのか。この短編では、結婚に憧れをもつ女性達のもつ怖さがじわっと描かれている。
結婚生活が宝物箱のようにきらめきをもつ、玉手箱のように開けてみると、あれ、こんなはずじゃないのにと思う。でも、開けてみるまでは、どうしても何が入っているのだろうと期待を大きくしてしまうし、大きすぎると期待はずれになってしまう。期待はずれでもいいから、その箱を持ってみたくなるのもよくわかる。それなのに、こうして人ごとのように読んでいくと「あらあらあなた、期待しすぎ」とエラソーに助言したくなる自分に苦笑してしまう。
手島 洋
評価:C
「マリッジ・サスペンス」と帯に書かれている通り、結婚をテーマに怖い女性を描いた短編集。誰の心にもある嫉妬、わがまま、執着心といった部分をクローズアップして、巧みな心理描写で最後のとんでもない行動まで引っ張っていく。女性の心理もシチュエーションは作品によって様々。しかし、疑問なのは、こんな形の短編集にしてしまったことだ。同じような展開をする作品を集めているために意外性がない。雑誌で一作だけ読んでいれば、それぞれ最後まで楽しめるはずなのに。昔、同じようなオチのつづくショートショートの作品集で、そう思ったことがあった。ホントにもったいない。そして、もうひとつ文句を言わせてもらえば、作品に登場する男たちが女性に比べて、つまらなすぎる。ぜんぜん魅力がなくて、そんな人と結婚しないほうがいいんじゃない、と言ってあげたくなる。嫌な男でも、その男なりの魅力があるはずなのに。
6作品のうちで一番よかったのは表題作の「夜離れ」。周りの状況に流されて生きながらも、徐々に自分の生き方を見つけていく主人公が最後に登場してくれて、ほっとした。
山田 絵理
評価:B
この本を読んで、しみじみと女性は怖いなあと思う。寂しさや虚栄心・甘え・妬みからくる冷淡な行動、ヒステリックな振る舞い。ああはなりたくないと思いながらも、自分のことが書かれているわ、と情けなく思ったのだった。
本書では、「結婚=女の幸せ」が前提として書かれた短編が収められている。上手く書かれているのは、ヒステリックになりたくないのに、ついそうなってしまう女性の心理。とくに「枕香」という話。大好きでたまらない彼なのに本心を言えず、口を開けば喧嘩を誘う強気なことばかり。わがままで甘えん坊の恭子の言動は、寂しくて不安で常に相手の気をひきつけたいという心の裏返しだ。まるで数年前の自分を見ているような気になり、同情してしまう。
女性の虚栄心を描くのも上手い。「髪」という話でくせ毛だった髪をストレートにし、何度も髪に手をやってうっとりする場面が出てくる。女性なら誰でもこういう仕草をしてしまうのではないかしら。実は、私は、やったことがあります……
吉田 崇
評価:D
もう、とにかく「やな感じ」の女性達が次々に出てくる短編集です。「やな感じ」の主人公が「やな感じ」に物語世界を泳いで、ひょいっと差し出された結末が「やな感じ」でないはずがない。という訳でこの評価。
女性の作家が描き出す「やな感じの女性」というのは、本当にえげつなくて、そのえげつなさは、リアルという仮面を故意に引きずったままの、つまり、良質の虚構として昇華していくという形ではなく、物語自体を内破させかねない三面記事的オチへとしか進んでいかない。えげつなさもとことん書き込んであれば冷え冷えとした怖さになるのだろうが、短編という制約のせいか、結局「やな感じ」で終止する。ちっとも、怖くない。すっかり記憶が薄れてしまったのだが、原田宗典の短編で女の登場人物がスープをかき混ぜているラストシーンのやつがあるのだけれど、あれは怖かったなぁ。
女性に対して、幻想をもっている男性は読まない方が吉。