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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
オテル モル
【集英社】
栗田有起
定価 1,575円(税込)
2005/3
ISBN-4087747468
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:B+
「ホテル」というと「オテル」と訂正されてしまう。就職試験に落ち続けた女性がようやく採用された、ホテルのお話だ。都内にあるのだけど、どうにも見つけにくい場所にある。ビルとビルの隙間をカニ歩きしてようやく玄関にまで辿り着く。イッセー尾形の舞台ネタで、タクシーを待つうちにビルの隙間に入りこんで出られなくなったサラリーマンというのがあったけど、そんな場所にわざわざホテルを作ろうなんてね。しかも建物は地下深くに伸び、なかは薄暗い。厳密な会員制で、常に満室。不在の双子の妹の子供と、そのダンナとの三人の生活など、主人公のホテルの外での日常は複雑だ。事情を抱えた家族が、難事をどのように乗り越えていこうとするのか。重たいテーマを見据え、奇妙なホテルを仕立てた演出が面白い。主人公はある意味、このホテルなのかも。なぜ、こんなホテルができたのか。理由が解き明かされる過程はミステリ。終盤、オーナーに主人公がお金を渡そうとして断わられる場面がある。ささいなエピソードだが、それが印象に残った。
安藤 梢
評価:C
眠るためのホテル、「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」(何て長い名前だ)。そこには毎夜眠れない人たちが訪れる。眠るためのホテルという設定は面白い。しかし細部にあやふやなところが目立ち、何となくその設定に乗り切れなかった。ファンタジーのような出だしは児童文学のようだが、話が進むにつれて現実のシビアな問題が絡み合ってくる。オテル(ホテル)の社員教育に重点が置かれるのかと思うと、そうでもなく、かといって家族問題に本腰を入れている訳でもない。ファンタジーの要素と家族の問題が無理矢理に合わさったような、違和感が残る。ホテルの不思議なシステムの突拍子のなさに加え、主人公の置かれたややこしい人間関係(元彼が双子の妹の夫になってしまう)が、ごちゃごちゃと詰め込まれているため、何だかどこに焦点を絞っていいのか分からないような状態である。設定が面白いだけに、勿体なかった。
磯部 智子
評価:C
ヘンな話には違いないが、するすると話のなかに取り込まれていく。最高の眠りを提供するホテル「オテル モル」には夜毎それをもとめて人々が集う。私にもどうしても眠れない時期があった。それは当時住んでいた地方の気候に起因する単純な理由からだが、眠れないと非常に精神状態が悪くなってくる。覚醒と睡眠の境界が曖昧になり、原色の絵の具が混色されないまま交じり合うような混沌とした日々の中、ひたすら心は眠りを求めた。希里が「誘眠顔」を見込まれフロントに採用された会員制契約型ホテルはなんと地下13階建て!(消防法違反?)で、チェックインは日没後、チェックアウトは日の出!という
良質の眠りのためだけにある。希里の私生活には精神を病んだ双子の妹、沙衣にまつわる様々なことが影を落としている。「覚醒顔」だという沙衣は良く眠れないから、覚醒もできないというところに行き着いて…。心の痛みをことさら書き控えたようなこの作品を読み終えた後、眠りまで管理されているような不気味なシュールさを漠然と感じた。
小嶋 新一
評価:D
最近早く目が覚めるようになったなあと実感したのは35を過ぎた頃。あれ、まだ4時半かと眼を閉じても、5時過ぎにまたまた目が覚めるという具合で、眠りが短いこま切れになってしまう。年齢に伴う肉体の変化も大きいんでしょうが、加えてストレスや何やら精神的なものも積み重なった結果なんでしょう。日曜日の朝は、比較的ゆっくり眠れますから。
良質の眠りと夢を提供することで、眠りに問題を抱えた人々が集まるホテルがこの作品の舞台。面接で選ばれた会員だけにお客さまを限り、しかもそれでいて毎晩満室続きであるという設定は、実に今の時代らしいテーマだぞ〜と、僕も決して自身の眠りに満足できていないだけに、大いに期待しましたが…。
せっかくの設定がイマイチ未消化のまま終わってしまったかと。ホテルで勤めはじめた主人公が抱える家庭の問題が、この作品のもう一つのテーマですが、それと不眠問題とが最後までうまく噛みあわなかったようで。残念。
三枝 貴代
評価:B+
卑近で現実的な問題とファンタジックな幻想とがマーブル模様に絡み合った、奇妙に魅力的な物語。
希里には双子の妹・沙衣がいて、希里のかつての恋人・西村は沙衣との間に娘をもうけて結婚した。だが沙衣は、薬物中毒で入院していて、今は家にいない。まさに昨年のベストセラー『真夜中の五分前』を思わせる設定だ。しかし希里は、あの作品のヒロインのようには思いを残さない。そっくりの双子であれ一方が選ばれたならば、その理由がなんであっても、残された方は新しい相手を捜して歩みだすほかないのだ。希里は就職のためにオテル・モルを訪れた。
辛い思いに耐え、ふらついても自分の足で歩こうとする勇ましい彼女だからこそ、このすばらしいホテルに癒されるにふさわしく思えてくる。なんて魅力的なホテルだろうか。うちの町にも一軒欲しい。
寺岡 理帆
評価:B
設定がかなりファンタジーで、個人的にかなり好き。けれどこのファンタジックなホテルの描写と、主人公・希里のプライベートの生活とが、かみ合いそうでかみ合わない。オテルは彼女の生活とは最後まで切り離されたままで、希里の双子の妹・沙衣に本当に必要なものが「本当の眠り」だとすんなりとは考えられない。希里の葛藤も淡々とした描写の中にはほんの少ししか伺えない。いつもピカピカの台所くらいかな…。
村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に雰囲気がとても似ている。けれど『ハードボイルド…』のあの交差する物語は、二つの物語がはっきりと別々に描かれているにもかかわらず有機的に結びついていたのに対し、こちらは地続きに語られているのにまったく関係のない二つの物語に見えてしまう。
ものすごく好みな設定なだけに、ちょっと残念。 でも、他の作品もぜひ読んでみたいと思わせる作品だった。
福山 亜希
評価:A
安眠を求めるためだけに存在するホテルがある。それがオテルモルだ。見落とされそうな細い路地の中にそれはあり、客はただ、眠るためだけにここへくる。単なる熟睡が目的ではない。色々な事情から眠ることが困難な人のみが審査をクリアして、オテルモルの会員となり、このホテルで眠ることが出来るのだ。
主人公希里は双子だ。かたわれの沙衣は、思春期をむかえる頃から徐々に家族の心配の対象となり、トラブルを巻き起こし、今は衰弱して病院に入院している。希里は沙衣の一人娘と彼女の夫と同居しながら、このオテルモルで働き始めるのだ。オテルモルの暗闇の中でただ眠りを追求する客に、最上の眠りを贈る仕事をしながら、希里は「眠り」をサービスすることについて、徐々に学んでいくのだ。そして沙衣の病気も、この「眠り」によって治すことが出来るのではないかと考え始める。
一度物語が始まると、劇的な事件や主人公の心の葛藤はほとんどない。ただ、眠りを追求する為だけにあるオテルモルというホテルの設定が、妖しい魅力を発散しているのだ。眠りについて深く考えた事はなかっただけに、この本の存在はとても特異だと思う。作者がどうしてこんなホテルを創造することが出来たのか、そういうところも気になってしまった。