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虹
【幻冬舎文庫】
吉本ばなな
定価 560円(税込)
2005/4
ISBN-4344406524
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
浅井 博美
評価:B
彼女はこんなに正しい人だったろうか。 12、3歳だった頃に私は、吉本ばななを貪るように読んでいた。なぜか夜中にかき揚げ丼を食べる人達とか、オカマの「お父さん」がいる親戚のお家で、自身は台所に棲んでいる女の子とか、重い病なのにもの凄く生意気で意地悪な少女とか、風変わりだけれど、いや、だからこそ子どもの私には刺激的で、物語の片隅に常に死が潜んでいるところなんかも、「もろ大人だ」とぞくぞくしていた。本書はまさに、久々に私の思い焦がれていた「吉本ばなな」そのものだ。レストランでウェイトレスとして健やかに労働し、動植物を慈しんでやまないヒロイン。あることがきっかけでタヒチに旅立つ彼女を取り巻く人々と、美しい島。しかし、今の私には吉本ばななの描くヒロインがあまりも誠実で真面目で直視できない。なんだかまぶしいのである。しかし思い起こしてみれば過去のヒロインたちも皆一様に、正しく、筋の通った人達だったと思い出す。そこに違和感を感じてしまったわたしが汚い歳の取り方をしてしまったということだろうか。無念でならない…。
北嶋 美由紀
評価:C
「世界の旅C」のサブタイトルを見て、紀行文かと思ってしまった「ばなな」初体験の私。読み始めれば、なんと一番苦手な恋愛もの。特別な理由もないのになぜか、最初からこの主人公の性格が好きになれず、大した感想も抱かないまま読み終えてしまった。主人公は嫌悪感を抱くようないやな性格でもなし、むしろ動物を可愛がる善人であるのに、いまひとつインパクトがない。「おりこうさん」なのか。成功しているようで、実は妻に裏切られ、さみしい私生活を送っているオーナーに惹かれてゆく彼女の、静かな大人の恋愛ともいうものなのだが、そのオーナーもただの「いい人」で終わっているようで……
本当に希望があるの?と問いたくなる。たぶん原因は頻繁に出てくる「ご主人様」という表現。「奥様」に対する敬称にすぎないのだろうが、どうにも卑屈な響きで、まるで主人公までペットになったように思えてしまう。美しく、開放的なタヒチのイメージと「ご主人様」に仕えるみすぼらしさの落差に違和感を覚えてしまうのだ。
絵画のようなイラストと写真はよかった。
久保田 泉
評価:A
吉本ばななは、旅が好きなようだ。その旅から、世界の旅と題して、いくつかの小説が生まれている。中でも、私はこの物語が一番好きだ。舞台はタヒチをこよなく愛するオーナーが経営するタヒチアンレストラン『虹』。海辺の故郷から上京し、このレストランで優秀なフロア係りとして働く瑛子。無口ゆえに鋭い観察眼を持ち、そんな自分と折り合い東京でそれなりに頑張ってきた緊張の糸が、母の死でぷつりと切れてしまった。
静養を兼ね、オーナーの自宅で動物の世話や庭の手入れなどをするうち、瑛子の静かで強いはずだった人生が思いがけない方向に動き始める。私は見た事もないタヒチの美しさが文章からこぼれ出す。それ以上に瑛子の心や感情の隅々までを描写する、独特の比喩を駆使した文章。これが吉本ばななの真骨頂だと久々に嬉しく実感した。後半に瑛子がつぶやくセリフ。動物も人間も毎日を精一杯生きているだけ、なのになぜ、人間だけがこんなにややこしくなってしまうんだろう……その答えが虹を思わせる、希望に満ちた恋愛小説になった。
林 あゆ美
評価:A
吉本ばななの世界の旅シリーズ(4)。純朴な主人公、瑛子が真面目に日々を過ごし、レストラン「虹」で働く。「虹」はタヒチレストランで、瑛子が自分のこなすべき仕事をきちんとこなしていく様は、物語とはいえ、読み手の私自身も整えられていくような、風通しのよさがある。その潔い姿勢は最後までつらぬかれ、再読でもあらためて新鮮に楽しんだ。
シリーズ本だが、1冊ずつ独立した物語。美しい島タヒチがすぐに物語の舞台となるわけではなく、じわりと顔を出す程度で、その露出度がほどよい。瑛子が母親の急死により、心のバランスが悪くなったことから、ほんの少しドラマチックな展開をみせていくところからは、周りの音などいっさい聞こえなくなり物語の世界に没頭した。主人公の真面目ぶりがすごくわかりやすく描かれているからなのか、丁寧に生きているときっといいことあるんだよな、とベタな感想を素直にもちました。
手島 洋
評価:D
吉本ばななの作品は時々、思い出したように読んでいて、好きなものも結構あるのだが、これは全然駄目だった。極端にいってしまえば、タヒチの自然を愛し、動物を愛す心を持つ善良な人たちと、金儲けが好きで動物や子供を愛せない、心の狭い悪人のでてくる話。その価値観が途中で逆転したり、悪人に見えていた人の魅力が突然現れたりするところが、小説の大きな面白さのひとつだと思う。しかし、そんな展開はまったくみせず、話はそのまんま進んでいく。これじゃあ、ただ単に作者の価値観をおしつけられているようにしか思えない。自然とか、動物とか、子供とか、なかなか否定しがたいものだけに余計たちが悪い。これがもっとバカバカしいものを無意味なくらい肯定している、っていうんなら可愛げがあるけど。巻末の写真も必要なんだろうか。なんだか、楽しい旅行に行ってきた人のアルバムを見せられているようで、「よかったね、楽しかったんだね」としか言いようがない。
山田 絵理
評価:AA
吉本ばななを好きな若い女の人は多いと思うけれど、私も例外ではない。10代の頃、何度も読んでは文章に酔いしれ、本文を覚えてしまうほどだった。きらきらとしたみずみずしい文章と胸をしめつけられるようなせつないストーリーに、いつも心奪われたのだった。久々に彼女の作品を読んだら、さすがに今の私にその甘酸っぱい文章はくすぐったく感じられたのだけれど。
東京から逃げるようにタヒチへと来た私は、母が死んでから起きた出来事をゆっくりと思い返していた。タヒチアンレストランでのフロアの仕事は天職だと思えたこと。生まれ育った田舎でのつつましいくらし。突然の母の死で精神が不安定になり、フロアの仕事を休んで、店のオーナーの自宅で家政婦になったこと。そしてオーナーの私生活を目にすることで知ってしまった彼の喜びと悲しみ。
「死と喪失感、そして癒し」のモチーフは本書でも健在だ。くすぐったく感じた文章も次第に心地よくなるほどのめりこみ、最後のドラマチックな展開には泣けてしまった。やっぱり今でも、彼女の作品が好きなんだなあ、と再認識した一冊だった。
吉田 崇
評価:C
うーん、なんかやたらと古風な感じで、読み始めはエンジンかからず。内省的な女主人公が冷静に旅先を描写したり、過去を回想したりの前半部分、タヒチに女の一人旅、ははぁ、失恋旅行な訳ね、と、こちらも古風な推理をしながら読み進み、途中、知り合った老婦人との会話部分あたりから、ようやく物語がビビッドになって、気付いた時にははや読了。
未だに鎖国政策をとっている僕には、タヒチという国の雰囲気がまったく判らないので、こう言うのもなんなのだけれども、どうでしょう、この話タヒチでなくとも成立しますか?
あとがきを読むにこの小説、どっかの国に行って『一週間の取材で即興的に小説を書』くという企画ものみたいで、だとしたら、案外、タヒチの好きな人にはなんだか魔術めいた共感があるのかもしれない。ごめんなさい、僕のタヒチのイメージは、フグの毒・生き埋め・ゾンビ。ですからこの小説、何だ、ただの色恋沙汰かよって感じです。