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珍妃の井戸
【講談社文庫】
浅田次郎
定価 660円(税込)
2005/4
ISBN-4062750414
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
浅井 博美
評価:B
恥ずかしながらこれが初浅田次郎作品だ。基本的にひねくれ者であるので馬鹿売れした本は読まないことにしている。彼には「鉄道員」という印象しか抱いていなかったので遠ざかってしまっていた。しかし今回そんな考えもそろそろ改めないと、大人げないのではないかと思い始めている。本書がかなり良いのだ。光緒帝の寵愛を一身に受けていた珍妃が、義和団事件の混乱の最中に何者かによって井戸に投げ込まれて殺害されたという噂が流れ出す。その調査に乗り出した、英独日露の貴族たち。袁世凱将軍や珍妃の姉、そして光緒帝自身と、事件に関わっている人々の独白形式で物語は進んでゆくのだが、それぞれの独特の語り口にどんどん引き込まれ、皆が皆真実を述べているような錯覚に陥ってしまう。しかし真実は本当に一つしかないのだろうか、そしてそれを握る人物は存在するのだろうか。読者も調査団も同じ混乱の渦に巻き込まれていってしまう。結末はもちろん明かせないが、わたしはいまいちしっくりこなかった。最後の最後で情緒的な波に飲まれてしまい、うやむやになった感がある。まあ、それを差し引いても十二分におもしろいのだけれど…。
北嶋 美由紀
評価:A+
数年前「蒼穹の昴」に感動し、その続編という本書にとびついた。大河ドラマのような「蒼穹ー」のその後の話を期待したが、「蒼穹ー」の主人公春児と蘭琴は過去の人として登場するだけで、当時はつまらないと感じた。しかし、今回単独で読めば、なかなかのものである。確かにワクワク度は少ないが、静かな感動がある。まず、構成がユニークだ。「誰が珍妃を殺したのか」−いわゆるフーダニットが軸だが、探偵役は列強国代表者で、証言者は時の有名人。国民性や立場上の考え方が強く出る。しかも証言による犯人はまちまち。再読だから当然犯人(?)は知っているが、楽しく読める。中でも天子の証言は、上品な口調で静かに語られるだけ衝撃的でなんともせつなく、悲しい。そして、珍妃の姉の証言も女性ゆえの悲哀を訴えかける。実際に命を落としたのは珍妃だが、皇后も妃も女性としては殺されていたのだろう。一人の女性の静かな死にスポットライトを当てることで、世界史に残る事件の数々、何万人もの死、そして崩壊してゆく清帝国を大きく映し出す作者のテクニックに脱帽である。
中国宮廷に魑魅魍魎のごとく跋扈する宦官についてもっと知りたい方はぜひ「蒼穹の昴」もどうぞ。宦官の作り方(?)もわかります。
久保田 泉
評価:B+
久々に読んだ浅田次郎でした。鉄道員以来か……。本著は『蒼穹の昴』という清代を描いたベストセラーに続く2作目だそうだ。ご無沙汰でしたが、小説で読者をとことん楽しませよう、という浅田氏の姿勢は全く変わっていなかった。
舞台は清朝末期の北京。列強八カ国連合軍によって、焼け野原となった混乱の最中、光緒皇帝が寵愛した珍妃が、死んだ。中国史の通説では珍妃は西太后に殺されたそうだ。この小説は、実は珍妃を殺したのは西太后ではない、では真犯人は誰か?という謎を冒頭でミセス・チャンなる、こちらも謎の女性に語らせ、史実を知らない読者の心をも引き込んでいく。珍妃の死の謎が、7人の事件の関係者の口から一人ずつ語られていく展開で、その証言は各自異なり、事件の真相はますます深まっていく。歴史の謎を解くミステリーでもあるが、一人の女性として天子を愛した美しく聡明な妃が、政治の陰謀に巻き込まれながら、どう生きてどう死んでいったのかという謎を解く、愛の物語でもあった。
林 あゆ美
評価:C
小さく深い井戸に、頭から投げ込まれてひとりの美しい妃が命を落とした。
犯人は?
物語の背景を解説から引用すると、この時「義和団運動と8か国連合軍の北京侵攻という歴史の事実」があり、その軍が北京を陥落させた直前に珍妃が井戸に沈められたのだ。犯人捜しは、ロシア、日本、イギリス、ドイツの4か国からの4人によって始められた。証言者7人が、当時の出来事を語る。語られる事柄は、事件の起きた場所こそ変わらないものの、事実と称されている事柄はいずれも一致することなく、違いを見せる。誰でもが犯人に見え、解決の糸口は語る人が増えるほどもつれていく。しかし、もつれるからこそ、不思議なリアリティを出し、次々と積み重なる証言を読み進む。人が入り交じるので、栞としてついていた主要登場人物一覧を参考に(非常に重宝した!)、ひとりひとりを覚えていく。見たことのない人物が近しく感じ、顔まで見えてくるようになった頃、物語は最後にきていた。美しい最後です。
手島 洋
評価:B
歴史ミステリーで先月、酷い目にあいましたが、これは楽しめました。歴史の知識がない人間にも十分楽しめる。文章も読みやすく、話の展開も見事。歴史ミステリー好きには物足りないのかもしれませんけど。
中国の妃、珍妃の死の謎を探る物語。イギリス、ドイツ、ロシア、日本の要人たち4人がその謎を探っていくのですが、単なるミステリーとしては展開せず、彼らが関係者に話を聞く場面になると、その人物の言葉だけが書かれるという芥川の「藪の中」方式の文章になっていきます。いったい、その話のどこまでが真実で、どこまでが嘘なのかわからないまま話は進む。確かなのは、それぞれの話の信憑性のなさと、中国を蹂躙した各国の悪行ばかり。その展開から考えて、実に納得のいくラストが待っていて、そのスムーズさにうまいなあ、と感心しつつも、あまりにも優等生すぎない?という天邪鬼な気も少ししてしまうのでした。その上、ラスト数ページに最後の駄目押しまでついているのはちょっとやりすぎな気もしましたが、読者サービスなんでしょうね。
山田 絵理
評価:AA
清朝末期、義和団事件の制圧という名目で八カ国連合軍が北京を占拠したその時、皇帝の愛妃が紫禁城の片隅で、井戸に投げ込まれて殺された。日英独露の高官達は真相の解明に乗り出す。
有名な「珍妃の井戸」にまつわる物語は、北京の好きな私にとって、読んでいて本当に面白かった。歴史上の人物である光緒帝と珍妃は、豊かな感情を持つ一組みの恋人として生き生きと描かれる。幸せだった二人はやがて歴史に翻弄され、離れ離れに。最後まで凛と生きようとした珍妃の独白は涙なくしては読めなかった。
最後に、「皇帝すなわち天」という中華文明の世界観を体現する光緒帝に、列強の高官たちが対面する場面が出てくる。このような中華対西洋列強諸国という構図が、あの時代にいくつもあって多くの悲劇を生み出したに違いない。
本書にも出てくる、故宮の北側に位置する景山(公園)は故宮を一望でき、私が北京で最も好きな場所だ。次に訪れた際には、きっと珍妃に思いを馳せてしまうでしょう。
吉田 崇
評価:C
毎度ながらの不勉強、今まで『鉄道員』しか読んだ事がないもので、なんだか的外れな事を口走りそうで申し訳ないのだが、ま、それはいつもの事かと思いつつ、後半、思っていた以上に面白かったと、まず、言いたい。とにかく歴史物が嫌いな僕は、帯の「中国宮廷ロマン」の文字を見ただけでげんなりしちゃって、表紙をめくれば、何だか大きめの活字ですかすかなページ、女性の一人称で始まる冒頭なんて、とんでもなくブルーだったのだ。
読み進むうちに考えたのは、張競の解説にもあるが『藪の中』、虚構内存在の演技性、尻尾を飲み込んでいく蛇。仕組み、からくりが判ってしまえば、小難しい登場人物名の漢字達も簡単な記号に置き換えて、委細構わず一気読み。ま、一種の人情話なんですが、どうにも真面目なものなのか巫山戯たものなのかがはっきりしなくて、この評価。珍妃の姉という人の語りの章では、思わず爆笑したのだけれど、はて、ここは笑い所だったのだろうか?