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安政五年の大脱走
【幻冬舎】
五十嵐貴久
定価 720円(税込)
2005/4
ISBN-4344406362
浅井 博美
評価:B
南津和野藩という小国の美しいお姫様に横恋慕する時の大老井伊直弼。でもお姫様は全くつれないお方…。しかし、とっても粘着質な井伊直弼、ここで引き下がるなんてあり得ない。さてどうしたか。お上への謀反のぬれぎぬを着せた姫と藩士を断崖絶壁の孤島に閉じこめ、「忠誠を誓えば許してやろう」とのたまわる。その忠誠とはすなわち姫と井伊直弼が姻戚関係を結ぶことを意味していた。ここから姫と藩士の大脱走劇が開幕する。「姫を救う」という一つの目的に向かう藩士たちはいつしか身分の垣根をも崩して、脇目もふらずに突き進んで行く。「武士道ってなんて美しいのだろう…。」なんて柄でもないが、思わずそう感じ入ってしまう。藩士や姫そして井伊直弼といった登場人物たちが人間臭くて、皆それぞれに癖があるところが何とも良い。彼らの姿がくっきりと描かれ、全く飽きさせない。しかし肝心要のクライマックスには若干萎えた。角川映画っぽい?それではどのような結末がよいのかと問われても困ってしまうが、もうちょっと重厚感と説得力が欲しかった。しかし井伊直弼の家臣犬塚翁には泣かされた。彼に会うためなら再読しても良いくらいだ。
北嶋 美由紀
評価:A
「リカ」も「交渉人」もネタバレが早く、三作目のこの作品も正直全然期待せずに読んだ。しかも時代物だし……。
五十嵐作品の中でどれがイチオシかと訊かれれば、本書を推す。(最後の逆転ホームランは「Fake」も同様の良さだが)ということで(?)、再読である。つまり結末がわかっていて読んでいたわけだ。
この話は「桜田門外の変」でおなじみの井伊直弼が、若き日の初恋が実らず、その女性の一人娘を無理やり権力を利用して手に入れようとする、実に身勝手な計画を、これまた信じがたい大掛かりな手段で実現しようとするのに対し、一方的に思いを寄せられた姫と家臣51名がどう逃げるか?という内容だが、十分再読に耐えられる。桜庭の唄が出てくるのを楽しみに待ち、賢い姫がせっせと脱出準備に励むのが結末がわかっている分、逆にとても愉快なのだ。
映画をモチーフにしたものが多い五十嵐作品。本書も「大脱走」の(文字通り)パクリだと、ご本人の弁だが、桜庭と姫の二人の変わり者がいい味をだし、姫の秘めた思いという恋愛もちょっぴりあるのがオマケらしい。
元版の表紙には、監禁された山頂のイラストがあり、より想像しやすい。
久保田 泉
評価:A
舞台は安政5年だが、ノリは現代風の、痛快大脱走劇!細かいことは抜きにして、十分楽しめる小説だ。前半ではまず、若き日の井伊直弼の不遇時代と、かなわなかった恋の話が語られる。そもそもはその恋が発端で、権力を握った大老直弼は、無理やりに謀反の疑いを掛け、南津和野藩士51人と姫の美雪を、脱出不可能な断崖絶壁の山頂に閉じ込めてしまう。ねらいは、権力を持っても容易に手に入らない「姫の心」。返事までの猶予は一ヶ月。周りは海。頭上は空。監視は万全。絶体絶命の大ピンチ!さあどうする?と追い詰められた藩士達に残されていた道は土しかなかった。いや〜小説って本当にいいですね、と言いたい絶妙無謀な設定。しかし、ここからがハラハラドキドキの始まり。何しろ道具もろくに無い中、劣悪な環境で困難を極める穴を密かに掘り、全員脱出して姫を助けようというのだから。ラストもまた痛快!人として、大事な誇りを傷つけられた姫の行動は、まさに現代風。初めて読む作家ですが、別の作品も読んでみたくなった。
林 あゆ美
評価:C
むかしむかし、ひとりの若者が恋をしました、一目惚れです、初恋です。しかしながら、その相手とはひと言も交わすことなく、恋は始まりもしませんでした。身分違い、年の差、さまざまな要因があったのですが、若者はその恋を心の奥に封印しました。それから24年、若者は井伊直弼と名を改め、境遇も一変し、いまや藩にとっての重要人物となったのです。そして偶然、初恋の人とそっくりの女性を見かけ、今度こそ手中にと強く願い……。
すごいです。美しい姫を手に入れたいばかりの仕掛けが、何と大きいこと! 鬱屈した時の初恋ゆえ、その時を取り戻したかったのか。地位もお金も持っている今こそ、総動員して、ひとりの“心”を欲したすさまじさ。いやはや、見初められた方は大変な迷惑だろうと同情しつつ、美しく知的な姫を、そんな男に渡せるものかと守る男達は清々しく、脱走のアイディアには感服します。
山田 絵理
評価:C
大老井伊直弼は若かりし頃、美しい姫に一目ぼれをしたが、身分が低いゆえに成就しなかった苦い思い出があった。時は流れ、その娘の美雪に偶然出会い、かつての思いに火がつく。彼女を得るために、彼女と51人の南津和野藩士を、断崖絶壁が囲む山頂へ強引に幽閉した。藩士達の命と引き換えに、美雪に側室入りを迫る。
この本を、細切れに時間を見つけて読むことはお勧めしない。特に脱出するべく土に穴を掘り始める場面は、一気に読むべし。南津和野藩士たちが身分の上下関係無く知恵を出し合う場面や、プライドをかけて脱出用の穴を掘り進める場面を、私はちまちま読んだため、現実世界と南津和野藩士達の熱い男の世界とで頭を切り替えるのに、思いのほか時間がかかったからだ。
残念だったのは、最後のクライマックス。あんまりあっさりしていて拍子抜けしてしまった。めでたしめでたしのおとぎ話といった印象が否めないのだ。アイディアはおもしろいから、描きようによってはすごく面白いラストになったと思うのに。
吉田 崇
評価:C
面白いですよ、これ。同じCでもほとんどBのC。じゃ、Bでも良いじゃん、っていうぐらいのCです。
タイトルの『安政五年』という文字にびびりながら読み始め、井伊直弼ってなんか聞いた事があるけど、何した人だ? と、もどかしい思いに囚われたのはホント最初の3秒。のっけから読ませる、読ませる。歴史音痴の僕は史実なんてものには端から縁もゆかりもないもんで、キャラクターが立って、動いて、印象的なシーンが思い浮かべばそれで大満足。上質の娯楽小説です。こういう話、アニメになったらいいなあ、と何気にオタクな物言いをして、ある意味類型的な登場人物達がそれぞれの個性を十分に発揮しているというのは実は凄く映像的な事なのだと感心する。またもや読みたい本リストが厚くなる。