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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
いつかパラソルの下で
【角川書店】
森絵都
定価 1,470円(税込)
2005/4
ISBN-4048735896
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
⇒横丁カフェ
加藤さん
・
白川さん
も注目!
朝山 実
評価:AA
平凡を生きるということは、ないものねだりをするってことでもあるんだなぁ、としみじみ思ってしまう物語だ。堅物の父が浮気? 父の遺品の中から避妊具を発見。ヘンな女が葬儀後にあらわれるやらで母は寝込んでしまい、一家はてんやわんや……。子供をがんじがらめに躾てきた厳格な父。その父への反発から長男も長女の「私」も早くに家を飛び出し、いまもってふらふらしている。知らなかった父の一面をあかすのは、肉体関係があったという部下。自分の中に流れる「暗い血」に怯えていたんだとか。暗い血……って何? 突然、父が奇怪な存在に変わり始める。血なんていわれたら確かめずにはいられない。父の血は、つまりは自分の血なんだもの。で、そこからいろいろあるわけだが、血の正体よりも父が「血」を口にした理由が小説のミソ。そういやワタシは、親父や爺さんのことを原稿用紙ペラ一枚も知らずに生きてきたんだよなぁ。どうでもいいけど。この小説のチャーミングポイントは、ひねた姪っ子の存在。トラウマの逆手をいくオチも新鮮だし好感です。
安藤 梢
評価:B
異常なほど厳格だった父親の死をきっかけに出てきた女性問題。そして「暗い血」という言葉。何だかぞっとする内容であるが、語り口は以外とのんきで明るい。ばらばらになっていた家族が、父のルーツを探るため父の生まれた場所である佐渡へと向かう。父親が死んでからはじめて、家族は父親と向き合うようになる。生きている時よりも強く、父親の存在を感じるのだから皮肉である。
父親の圧力がなくなって、バランスが取れなくなった不器用な3人兄妹(兄、私、妹)の関係が何とも言えずよい。女にだらしがない兄に、男の家を渡り歩く私、男に不器用な妹。それぞれの問題を抱えながらも、お互いに許しあっているような3人が微笑ましい。最後、異様にイカ好きという3人が佐渡のイカイカ祭り(なんじゃそりゃ)で狂ったようにイカを食べまくるシーンが強烈に印象に残った。
磯部 智子
評価:A
人間は選択の余地なく誰かの子供として生まれてくる。そして昨日まで子供だったはずが、いつの間にか誰かの親になっていて愕然とする。おいおい私が母親か。子供よ当然のような顔をして親を審判しようとするが、誰が、何が、誤解させたのだ?そんな権利があると。そんなあれこれを思いながら読んだ。父が亡くなった後、愛人がいたことを知る。あんなに潔癖で厳格だった父なのに。おまけに「絶倫」だったという…絶倫絶倫絶倫、聞いた野々の頭の中はそれだけになってしまう。そりゃそうだそんなの肉声で聞いたら、文字で読んだ私は爆笑してしまったが。当事者にとっての衝撃と距離を置いた視点の入れ子描写、そんな上手さが随所にありその度笑いがこみ上げる。結局3兄姉妹の「生きていた頃の父親」とルーツ探しが始まるのだがそこで得たものは…。親を一人の人間としてみることができた時、抱えていた葛藤、親の呪縛からの糸口もみえてくる。もちろんそうそう上手くはいかないが。それでも自分の人生なんとかしなきゃならない時は必ず訪れるのだ。
小嶋 新一
評価:A
いきなりしょっぱなから、けっこう刺激的なラブシーン。あれ、森絵都どうした、新境地きり開くの?とびっくりしてしまったが、読み進めていくとまっとうな家族小説で、ほっとひと安心。
「まあ、男ならぽっくり逝った後で家族に知られたら困ることの一つや二つ、あるんじゃないの」との長男の言葉に、僕はうなずいてしまう。厳格だった父親の死後、小さな秘密があらわれ、それが家族をおかしくしていく。主人公は長女の野々。呼応するかのように、彼氏との仲も狂いはじめ、仕事までうしなう羽目に。
そこから物語はクライマックスへ向け進んでいく。いかにバラバラになりかけた家族を再生するか。何でもかんでもを、厳格すぎた父親のせいにしてきたツケをどう清算するか。父親が残した「自分の中の暗い血」という言葉の真実をたどって、兄妹は父親の故郷・佐渡へ向かう旅に出る。
家族があるから生きていく力をもらえる。だけど、その家族がばらばらになったら、やっぱりそれはみんなの手で再生しなければならない。「いつかパラソルの下で」というタイトルが、最後の最後で見事にココロに刺さりこんだ。
三枝 貴代
評価:C
異様なまでに潔癖だった父が亡くなり、彼に愛人がいたことを子供達は知った。父が言った「暗い血」とはどういった意味なのか。なぜ彼はかたくなに故郷に帰ることを拒んだのか。父を知ることは自分を知ることではないかと、子供達は父の過去を調べ始める。
楽しい話です。笑いました。なぜ笑ったのかを書くとネタをわってしまうので書けませんが、最近の娯楽小説、ことにミステリで顕著なテーマに対する豪快なアンチです。すこんと足もとをさらわれて、どんとひっくりかえった気分です。うん、現実ってこんなふうに、ドラマティックとはほど遠いものなのかもしれません。
けれど、主人公の恋人は、若い身空で人間できすぎっすよ。
寺岡 理帆
評価:B+
児童文学の森絵都が一般小説デビューした『永遠の出口』を読んだとき、あまりにも自分の世代とかぶるような内容に身悶えしたものの、これからもこれだけ世代を限定してしまうような小説を書くつもりなんだろうか…と不安になった。けれど今回、この作品を読んでそんな心配はまったくの杞憂だった、と知った。これはまったく上質な、大人のための家族小説だ。
作品に出てくる父親ほど極端な親というのは珍しいだろうけれど、若いうちは親との葛藤って誰でも多かれ少なかれ抱えているものじゃないだろうか。かつて絶対的な存在だった人間だけに、子供は親に過大な期待をし、裏切られ、その欠点を許せずに苦しむ時期がある。親を一個の人間として受け容れることができて初めて、成長する部分が子供には確かにあるんじゃないかと思う。
読みながら、ときに娘として、ときに母として、さまざまなことに思いを巡らせた。
兄の彼女の一喝が素晴らしい(笑)。
福山 亜希
評価:A
厳格で恐ろしい父親のもとに育った三人の兄弟が、父親の死後になって、ようやく自立していく様を描いた作品だ。
しつけの厳しい父親は、思春期の子供達の楽しみという楽しみを全て奪って、首に縄でもつけて引き回すような行き過ぎた教育を行っていた。そんな父親に嫌気を感じていた一番上の兄は、二十歳を機に実家から脱走。二番目の姉も、フリーター生活をしながら同棲相手の部屋に上がりこむという手口を繰り返すことで自宅から逃走。そういう上の二人の抵抗を見て、最初から無駄なあがきはせずに父親の言うことを唯一人守って自宅にくらしたのは、妹一人だけ。ばらばらに暮らしていた兄弟3人だが、突然の父親の事故死の後、不倫関係の女性が現れたりと、厳格だったはずの父親の、全く知らなかった面が次々と現れると、自分達から父親の影を払拭する為の「清算」の行動が彼らには必要になってしまった。これまで父親の影響を受けすぎていて、極端から極端へと走っていた兄弟三人だったが、力をあわせて本当の自立へと向かうのだ。
物語自体は真ん中の長女・野々を中心に描かれる。野々自身の気楽な性格もあって、とても軽い調子で進んでいく。父親の少年期のルーツを追いながら、少しずつ自立へと向かう姿は、なんだか微笑ましい。軽いタッチで描かれているのが、余計に面白さを引き立てている。物語の根本には、作者の読者を楽しませようというサービス心が感じられる、