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ポーの話
【新潮社】
いしいしんじ
定価 1,890円(税込)
2005/5
ISBN-4104363014
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:A
ずっしりきます。本の重さもそうですが、何より物語世界そのものに、思わず沼地で手足をとられたような感じ。ポーの誕生の瞬間から行く末は、川から海へと行き着く旅、あるいは転生の物語。名前を持たず、メリーゴーランドとか、ひまし油、天気売り、などの通称で呼ばれる登場人物たちが魅力です。岸辺で暮す「うなぎ女」たちを母とするポー(プリミティブな母性そのものから誕生するシーンは感動的だ)。純真無垢なポーが、事情を抱えた他者に出会うことで「たいせつなもの」「つぐない」について学び取っていく。第一部は、ポーの友人の話。すけこましの兄と、兄の悪態をついてばかりの妹。「くされちんぽ、くず野郎」と妹が罵るのを真に受けていたポーは、瀕死の兄を案じた妹が泣きじゃくるのを見てポカンとする。救いを求める彼女のため、水の中に入るポー。『スタンド・バイ・ミー』の秘密基地が浮かんでしまう、出会った人たちとの日々は印象的だ。恋人や家族の喪失の物語が多い中、私という「個」ではなく、「世界」を見ようとする姿勢はすごいなあと思う。
安藤 梢
評価:B
タイトルからしてやられた、という感じだ。このタイトルと美しい装丁に、目をとめずにはいられない。登場人物も、うなぎ女、ひまし油、メリーゴーランドに天気売りと、この何のことだか分からなさ加減が、まさにいしいワールド炸裂といったところである。
淡々とした静かな視点で描かれるポーの一生は、なぜか無性にいとおしく哀しい。川で生まれたポーが、成長とともに川を下り海に出る。頭のどこかで常に水の流れを感じているような不思議な読み心地である。いろいろな環境で暮らす人たちとの出会いによって、少しずつ大人になっていくポーの成長が頼もしい。嬉しかったり悲しかったり、たくさんの感情が、これまたとても静かに語られるのである。ぽつぽつと話すポーの会話のせいか、息を止める場面が多いせいか、全体的に言葉が少なく、その分情景がはっきりと浮かび上がってくるのが印象的だ。「ごーう、すー」「スフスフ」という言葉の響きも美しい。
磯部 智子
評価:A
自意識の歪んだ発露として変わり者を装うものもいれば、いしい作品のように本当にアチラの世界の住人もいる。そんな作家の妄想世界がぬるぬると描かれている。いきなり登場するうなぎ女とうなぎたち。その凶暴で旺盛な食欲描写に血の気が引き、グラスの『ブリキの太鼓』の悪夢が甦る。原作も凄かったが映画のうなぎ漁の場面はもうゲロゲロもので暫くうなされた。そのブリキ〜には大人にならないと決めた主人公が登場するが、本作ではポーと「ひまし油」の姿に重なり、異形のものたちが隣り合わせた世界で似て異なる生を貪欲に謳歌する。うなぎ女たちを母として泥の川で暮らした安寧な日々、盗人「メリーゴーランド」と共に夜毎、誰かの大切なものを盗む日々、その中でポーは「罪悪感」や「つぐない」を学ぶ。更に500年ぶりの土砂降りはポーを更なる新たな世界に押し流す。井の中の蛙ならぬ、泥の中のうなぎの稚魚のようだったポーの冒険、成長物語であり全てが暗示に満ちており、もちろんそこからなにかしらすくい上げることは出来る。でも何より「うなぎ」に象徴される生そのものの逞しさを肯定するその世界に圧倒された一作である。
三枝 貴代
評価:AA
川辺の泥に手を突っ込んでうなぎ漁をするうなぎ女を母に、少年・ポーは生まれた。少年の誕生は、白い鳩に祝福された。ポーは長時間息が続く体質を得て、泥川を泳ぎつつ成長する。ある日大雨があり、ポーは海へと流された。
イメージの奔流にうっとりとひたってください。何人いるのかも不明なうなぎ女の何千年も続く小屋。響き合う笑い声。天気について語り続ける男。橋を作り、どうぶつの名をつける市長。
寓話のようでありますが、あまりにオリジナルなので、いったいどこの国の話だかまったくわかりません。にもかかわらず懐かしく感じるのは、物語全体に豊かでおおらかな生命力が満ちあふれているからだろうと思うのです。読んでいると、どんどん気持ちがゆったりとしてきて、ひたひた満たされてゆく気分がしました。
なんだか幸せになれる話です。
寺岡 理帆
評価:B
いしいしんじの話は独特だ。舞台も独特なら登場人物もちょっと普通じゃない。しかし現実とかけ離れているかに見える彼らはリアリティ満点だ。完全な善人ではない、けれど完全な悪人でもない。世の中にいるのは大抵がそういう人間なのだから。
ポーは様々な人たちと接していくうちに、罪の意識を知り、死者を悼むことを知り、たいせつなものについて考えるようになる。『プラネタリウムのふたご』を読んだときと同じ、きーんと澄み渡った何かを感じた。
シュールな設定、独特のオノマトペ、ちょっと突飛な登場人物たち。いしいしんじが現代の宮沢賢治と言われるのも頷ける。
ただ、個人的には、ちょっと長すぎるかなあ…。特にラストあたり…。まあ、これは好き好きですが。
福山 亜希
評価:B
架空の世界に、架空の登場人物が続々登場する。だが、そこに描かれているのは人間のリアリティーそのものだった。一言でこの物語を表わすと、正に現代版宮沢賢治と言ったところだろうか。細かい物語の設定なんかはまったく気にならないほど、理解を超えた世界観がひろがっている。主人公のポーは一体何者なのか。そもそもうなぎ女って何?だけど、この物語にそんなことはどうでもいいことなのだ。肝心なのは、感情を持たない存在ポーが、500年ぶりの大洪水で初めて外界へと飛び出し、そこでたくさんのことを学んでいく過程にあるのだから。
私たちの身の回りには、はっきりとした善悪に振り分けることの出来ない、あやふやで掴みきれない感情が渦巻いている。ある時は人の好い、ある時は陰湿なその人間の感情は、私たちを振り回し、不必要に警戒させ、柔軟で純粋な心を奪っていく。ポーも初めての外の世界で、味方なのか敵なのか判別しにくい登場人物に揉まれながら、徐々に「自分」というものを育てていくのだ。
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