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賢者はベンチで思索する
【文藝春秋】
近藤史恵
定価 1,785円(税込)
2005/5
ISBN-416323960X
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:B
話の舞台はファミレスと公園。現代からちょっとおいてけぼりを食らったような設定のミステリー。主人公の久里子は、服飾の専門学校を出たものの、コスプレ系の制服に身を包みファミレスでバイトの日々。ひきこもりの弟の部屋からは、残虐なゲームの音が聞こえるだけだし、母親からは口うるさく言われるし。実家暮らしの宙ぶらりん、居心地の悪さがよく出ている。ある日母が保健所から犬をもらってきたことで、久里子の生活圏が変わる。犬の散歩中に出会ったのは、バイト先の常連の老人だ。公園で二人は少しずつ会話を交わし、周囲に起こる事件を解明していく。公園で頻発する雑種犬の変死。異物混入騒動。児童誘拐事件。三つ目の事件では、老人の秘密が関係してくる。恋人もなく「大人」と「少女」の中間にいる主人公の目線が、ラストでは救いになっている。活躍するのが少年と少女のちがいはあるけれど、初期の宮部みゆき作品を彷彿とさせもする。
安藤 梢
評価:B
舞台はファミレス。ありそうでなかったこの身近なかんじが何ともよい。ファミレスで働く主人公、久里子が遭遇する奇妙な事件を、これまた奇妙な老人と解いていくミステリー。起こる事件はどれも実際にありそうな現実的なものばかりである。若い女の子と老人という一見アンバランスな探偵役がまた面白い。キャラクターとしてとても興味をそそられるのがこの老人、時と場所によって見た目が変わり、年齢不詳なのである。この老人の存在自体が最後の大きな謎として、解かれることになる。
久里子の弟が引きこもりだったり、久里子自身もフリーターという不安定な立場にいることもあり、決して明るいだけの話ではないのだが、読み終えた時とても温かい気持ちになる。久里子のまじめな働き振りや、人を信じているところに光がある。気どったところのない、等身大のミステリーとしてとても面白く読めた。もう少し軽めのタイトルでもよかったような気がする。
磯部 智子
評価:B
ちょっと複雑な読後感を残す作品。ファミレスでバイトをする21歳の久里子は、週に三度は店にやってきて決まった席で一杯のコーヒーを注文し何時間もねばる国枝老人と、偶然夜の公園で出会う。少しボケているような国枝だが出会う場所により全く違う印象を持つ。そんな別の顔を持つ老人と日常生活の中に潜む謎を解くミステリなのだが…。この祖父と孫娘のような信頼関係で結ばれたコンビが良く、望んでいた職に就けない久里子の抱える心の問題、引きこもり状態の浪人生の弟との関係などを解きほぐしていく。老人=社会的弱者だからこそ見える人間の裏表、上手いがありがちな話だなぁ、と思っていたら…いやそれにしても人間はスイカのようにいちいち割って中身を確かめるわけにはいかないので、自己申告している人間像を尊重しつつ適度に修正を加えながら……でもそれだけじゃなかった。偏見を逆手にとったもうひとひねりしたオチの皮肉には笑ってしまった。
小嶋 新一
評価:B
ファミレス「ロンド」の奥の席にいつも陣取る、ある老人。惚けかけとも思えるこの老人が、アルバイトの久里子の身の回りに起こる謎を、一つ一つ解きほぐしていく。事件はもちろんだが、それ以上にご老人そのものの存在が最大の謎であるという設定も含め、短編ミステリのクラシック「隅の老人」シリーズが下敷き。
しかししかし、単なる推理小説だけにとどまらないのが、この作品のいいところ。主人公の久里子が心を寄せる、厨房の弓田君との恋の行方は?ひきこもり予備軍の弟はどうなる?などなど、久里子を主人公とする青春小説としての側面がけっこう楽しくって、マル。ミステリとしては、短編によって謎解きの出来・不出来の差が激しいのが気になるが、あわせ技で一本!という感じ。
惜しむらくは、短編3つだけで、このシリーズに幕を下ろしてしまったこと。もっと長く書き重ねてもよかったのに、勿体ない。この結末じゃあ、続きを書くのはもう無理だよなあ。
三枝 貴代
評価:A+
久里子は、思うような就職がなくてフリーターになってしまった。弟は浪人中だが、その実態は引きこもりだ。閉塞感でいっぱいの毎日、アルバイト先のファミレスの常連老人から声をかけられた。老人はファミレスにいるときと公園にいる時とではまるで別人で――。
デビュー作から着実にリーダビリティがあがっていく近藤史恵。最近では新作が楽しみでしかたがない作家の一人です。
本作は近藤版『隅の老人』。人々が老いた人間に送る無関心な視線。子供という生き物の残酷さ。家族をわずらわしく思う気持ち。小さな罪に過剰な報復をする人々。などなど。現実に存在する各種の悪意をしっかりと描きながらも、その中でなお、人を信じたり愛したりする心を、押しつけでなく、自然な気持ちとして描いている、とても素敵な物語です。歌舞伎シリーズと違って特殊な趣味性もないので、近藤作品を初めて読む方にもおすすめできます。
寺岡 理帆
評価:C
いわゆる「日常の謎」を扱ったミステリ。謎のひとつひとつは確かに人の悪意を扱っているのだけれど、久里子ののほほんとした善人ぶりや国枝の知性を光らせつつもユーモア溢れる行動が、とげとげしい雰囲気からこの作品を救っている。どころか、どちらかと言えばハートウォーミング。
ただ、たぶん一番の謎であろう「国枝老人は何者か」というのが明かされると、なんだか釈然としない気持にさせられた。この辺りは完全なネタバレになってしまうので詳しく書けないのがもどかしいけれど、彼が何者か知ってしまうと、それまでの彼の行動が逆に全然わからなくなってしまう。一体全体彼はどういうわけでそういう行動にでたのか。そういう人間性でそういう経歴があるのはどういうわけなのか。
なんだかどかんと大きな謎を残したまま「めでたしめでたし」と物語が終わってしまったようで、ちょっと置いてけぼりをくわされた気分が残った。
福山 亜希
評価:A
久里子は21歳のフリーター。ファミリーレストラン「ロンド」でアルバイトをして生活している。この物語は、久里子の周りで起る事件を、ロンドの常連、国枝老人と共に解決する痛快ミステリー小説だ。
専門学校を卒業した後、希望する先へ就職することが叶わず、フリーターとして日々不安に過ごす久里子。将来への展望を抱けず、そしていつまでも子供のままではいられない焦りが、ストーリーの合間に顔を出す。単なるミステリー小説として終らない面白さは、彼女や彼女の家族の人物像にしっかりと迫っているところと、21歳の年齢に即した悩みをしっかりと扱っているからだろう。また、彼女の周りで起る事件も、救いようのない悪質な犯罪というよりは、人の心の隙間に生じるちょっとした悪意から引き起こされるような類のものであることも、物語を暗くさせていない一つの要因だろう。国枝老人の謎の人物像が最後に明かされると、そこにもまた一つの人間模様が浮かび上がる。ミステリーという形をとった、ヒューマン小説である。
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