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てるてるあした
【幻冬舎】
加納朋子
定価 1,785円(税込)
2005/5
ISBN-4344007840
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:A
なんだろう、この爽快感。サウナから出て飲む生ビール、というか、肉体労働の後の麦茶、という感じかな。表紙や目次のメルヘンなイラストに反して中味は結構シビア。志望校への入学を控えた照代はある日、愕然とする。親が入学金を振り込み忘れ、締め切りを過ぎていた。「お金なかったの」しれっと言う母。浪費家でルーズな父母の陰で、彼女は昔から給食費にさえ困っていた。高校進学断念どころか一家は夜逃げするハメに。一人、遠い親戚の家に厄介になることになった照代は見知らぬ街で、ふてくされたり心の中で毒づいたりしながら金を稼いで街の人々と関っていく。ファンタジー風な謎の携帯メールや幽霊がどうしたよりも、厳しいおばあさんとの食事風景が読ませる(テレビのついていない食卓だ)。ハリネズミのように尖がっていた少女の心が解けるのは、最後の最後。少女の母が思いがけない素顔を見せたその瞬間、ぷはーっと、気持ちいいゲップを出した感じかな。
安藤 梢
評価:A
だらしのない両親のせいで、夜逃げすることになった照子。高校進学も諦め、佐々良という田舎町にやってくる。この設定だけで、涙が出そうなくらい悲惨である。おまけに預けられた先の久代さん(渾名は魔女)というのが、これまた魔女のように厳しくていらっしゃる。不可抗力で置かれたこの可哀想な状況にも関わらず、誰も同情してはくれない。可哀想というには、照子は素直じゃないし、かわいげがなさすぎるのである。前半、周りの大人たちに対して、心の中で反発し続け、いつもイライラしている照子の心理描写が実に巧い。読んでいるこちらとしては、そんな照子にイライラさせられるのだが。まだ子供なのに、という甘えと大人として扱って欲しいという、中途半端な位置特有の悩みがリアルに描かれている。中学生の夏の課題図書にはぴったりの一冊である。
磯部 智子
評価:C
よくも悪くもライトである。でもテーマは重い。重い内容を不思議やら何やら飲み下しやすいものでコーティングしている。主人公の照代の境遇は悲惨である。親が夜逃げをしたため進学を諦め、見知らぬ街「佐々良」へこれまた見知らぬ人を訪ねてやってくるところから話は始まる。思春期真っ只中、ただでさえ鬱屈した感情を抱えている時期なのに、親に捨てられたという喪失感、自分は頭が良いと思っているのに合格した高校にいけない挫折感。この辺の内面描写は優れており照代が世話になる久代を始め佐々良の住人たちの人物造形もくっきりしている。ただそこからの癒しと再生の物語が、不思議な赤ん坊、謎のメール、女の子の幽霊など寓意にあふれた道具立てで進行する事に首をかしげる。むき出しの現実や悪意を描くのを避けても、実際には幽霊も不思議もないこの世界で生きていかなければならず、無痛分娩ならぬまやかしで乗り切る無痛小説、まぁそれも一つの手か。
小嶋 新一
評価:A
架空の街といえば、エラリー・クイーンのライツヴィルや、87分署シリーズのアイソラといったあたりを、ミステリ好きの僕は思い出す。で、この作品の舞台『佐々良(ささら)』もそれに負けず劣らず、存在感をもつ街だった。
いかにもひなびた田舎町。街のすみに神社があって商店街も。ばあさんばっかりが跋扈し、昔ながらの懐かしい街の息づかいがある。さらに……「佐々良は不思議な街よ。他の場所では絶対起きないことが、ここでなら起きるの」。
借金取りから逃れ、家族と別れ一人その地を踏む照代。受かった高校にも通えず、遠い親戚を頼る照代を迎えるのは、一癖もふたクセもあるばあさん達。少女の幽霊や発信人不詳の携帯メールに心まどい、先の見えない明日に悩み、でも口は悪いが心は優しいばあさん連中に助けられ、照代は生きていく。
青春小説であり、ファンタジーであり、それでいて最後はミステリであるという見事な成り立ち、それから素敵な佐々良の街とそこにいきる人たちに脱帽しました。佐々良の街をまた訪れる機会がありますように!
三枝 貴代
評価:B+
『ささら さや』の続編というか、姉妹編。舞台は同じく佐々良で、今回サヤさんは脇役です。『ささら さや』を読んでいない人でも問題なく読めるお話ですので、ご安心を。
照代の両親は金銭にだらしなく、照代の高校入学直前に夜逃げをすることになってしまう。子供連れだと足手まといになると思ったのか、照代は遠縁だという鈴木久代さんという元先生のところへ一人で行くようにと、両親に言われてしまった。嫌々訪ねた家で、照代は女の子の幽霊を見た。
加納朋子の持ち味である優しさが隅から隅までいっぱいに充満した物語です。15歳の女の子のひりひりするような強い感受性が、肌に差し込むように感じられて、自分がその年だった頃のことを思い出して、なんとも切ないような照れくさいような気分になりました。鮮やかで痛く、感動的なお話です。
寺岡 理帆
評価:B
既刊『ささら さや』と同じ不思議な町佐々良が舞台で、登場人物も主人公を除いてほぼ同じ。ファンには嬉しい一冊だろう。
正直、読み始めの頃は主人公・照代の性格に辟易。人間「わたしが一番不幸で大変なのよ!」オーラを出している人は敬遠してしまうモノ。確かに15歳でこの状況はさぞや辛かろう…と思いつつも同情しきれずに読み進んだ。結末はなんとなく予想がつくので安心して読めたことは読めたんだけれど(笑)。
ただ、照代の母親が…うーん。彼女の人生がどうしてもうまく想像できなかった。きっぱりと断絶されている、というか。美しいのにお高くとまらずユーモアがあってたくさんの友達がいてこの上なく鷹揚な女性ですよ? どうやったらそんな女性になったのか、その辺りが気になって仕方なかった。
福山 亜希
評価:A+
美しい母親に、妻を大事にする父親。夫婦仲はとても良いけれど、その中に一人娘の照代の居場所はない。父親も母親も、どれだけ娘のことを愛してくれているのだろうか。せっかく合格した難関校も、父と母の楽観的で破滅的な金銭感覚から生じた破産によって進学することができず、更に借金取りからの夜逃げで、照代は両親と離れて、遠い親戚のもとに居候することになった。両親との連絡は取れない。しかも、居候先の久代お婆さんは、厳格で甘えを許さない、魔女みたいな風貌のぎすぎすした老人だ。何も分からない土地で、照代は将来への夢も抱けず、食べ物の好き嫌いも言えない縮こまった居候の身分のまま、ふて腐れて無愛想に日々を過ごす。しかし、差出人の分からないメールや、少女の幽霊の出現から、徐々に照代の周りに事件が起こり始めるのだ。
ミステリーとしての面白さよりも、赤毛のアンにも通じるような、思春期の少女の内面をきめ細やか描いた、青春小説としてのみずみずしさが、とても好感の持てる一冊だった。居候で幸せとは言えない少女の、だからこそ際立つその内面の変化がしっかりと捉えられていて、読む者を離さない。無愛想な少女から徐々に成長していく様は、感動を持って多くの読者に迎えられるだろう。不幸を不幸として突き放さず、常にユーモアと愛情を持って描いたこの一冊から、幸せをたくさんもらうことが出来た。
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