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課題図書
土の中の子供
中村文則 (著)
【新潮社 】
定価1260円(税込)
2005/7
ISBN-4104588040
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:D
ぐらついた歯をわざと自分でいじくりまわす。そんなことしたら余計に痛いんだけど、ついいじくらずにはいられない。子供のころの歯が生え変わるころのことを思い出した。
表題作は親に捨てられ、もらわれていった親戚だかの家でさらにひどい仕打ちを受け、言ってみればこの世の地獄を幼いながらに味わい人を避けるようになった子が社会に出ていってからのお話。冒頭彼が暴走族ふうに連中にインネンをつけて殺されかけるシーンは痛い。一方で、安心して読めてしまうのはフィクションだからどうのではなく、主人公がおびえてないってところに関係するのかも。その行為はリストカットに似ている。70年代のATG映画を見るように色調は暗いし、救いらしいものも出てこない。だけど、この絶望にこそ救われる人はいるのだと思う。百人中91人は楽しくはない小説だろうけど、「これは俺だ」と思う人は3人はいるだろう。あっ救いはないと書いたけど、炎熱の地の雨粒のような、相手がふつうのことだから忘れてしまっているのを鮮明に主人公が覚えている、最後のふたりの会話の場面は救いです。
安藤 梢
評価:C
びっくりするくらい暗い。何なんだこの暗さは。あまりの暗さに、しばらく立ち直れなくなる。児童虐待がテーマなのだが、底に流れる暴力という狂気の冷たさに身震いしてしまう。自分のことを痛め続ける主人公に、最後まで救いはない。ただひたすら落ちていき、光が見えない、そのあまりの徹底振りに潔ささえ感じる。子供のころ、引き取られた親戚の家で虐待を受けた主人公は、痛みを感じることでしか自分の存在を確かめることができない。ただ暴力を受け入れ、受け入れる存在としての自分を認めることでかろうじて生きている。主人公を可哀想だと思う気持ちよりも、感情をなくしてしまった物のような存在に恐ろしいという気持ちの方が強い。痛みを受け続けた結果、自分の痛みにも他人の痛みにも鈍くなっているところがリアルで恐い。
磯部 智子
評価:B
芥川賞受賞作、真剣に誠実に純文学。子供の頃に受けた虐待の記憶、あまりに深く傷ついている為、表面は静まり返っている。止まった時間の中でのたうちまわり、自分が受けた傷の代償を回りに求めたりせず、彼は平凡な日常をタクシーの運転手として暮らしている。そんな彼が同棲する白湯子(さゆこ…)もある出来事から不感症になり、隠れて飲む多量の酒とともに生きている。その姿は傍目には何事もなかったかのようでありながら、ひたすら自分自身を嫌悪し虫ケラのように感じているという脆弱な基盤のうえに成り立っている。出口を閉ざされたマグマは、被虐的なかたちをとったり、夜中に酷くうなされたりフラシュバックし、今も確実に心と体が覚えている事を知らせ続ける。子供時代に存在そのものを否定された残酷さと、それでも心のどこかで生きたいと渇望する人間の姿を通して、染み付いた恐怖の「克服」の安易ではない道のりの声にならぬ叫びが胸を打つ。
小嶋 新一
評価:B
恐怖がどっぷり身に染みつくと、さらに恐怖を求めようとする。タクシー運転手を生業とする男は、街でたむろする若者たちにわざわざ絡んでいき、半殺しの目にあう。自暴自棄に成り果てる一歩手前。いや、そう見えて、実は冷静に自分と周囲を見つめている。人生の最低ラインってどこなのか」知りたい、と彼は言う。
少年時代に暴力にさらされ続け、最後には養父に土の中に生き埋めにされ、施設に救い上げられた男。苦しみをひたすら身に溜め込んでいく姿は、鬼気迫るものがある。それでも生きていかないといけない人生。読んでいて、永遠に抜け出せない迷路に迷い込んだようで、息が詰まる感を覚えた。
彼は吐露する「自分が、嫌になったんだ……何の役にも立たずに、虫みたいに死んでいく自分がだよ。しかも、俺は笑ってるんだ。屑じゃないか。そうだろう?」
自分を捨てた実父が二十年ぶりに一目会いたいと姿をあらわすが、男は何の感情も示さず、あっさりさらりと無視をする。彼はどこへ行くのか。同棲する女との関係に、かすかに射し込む光がほのめかされる。それを信じたい。
三枝 貴代
評価:D
第133回芥川賞受賞作『土の中の子供』と短篇『蜘蛛の声』とで構成された作品集です。
人間の基本的な欲求の一つとして「死への欲望」をあげたのはフロイド博士ですが、その説には批判が多く、最終的には博士自身の手によって取り下げられました。『土の中の子供』は「死への欲求」にとりつかれた男の物語です。彼がその欲求にとりつかれた原因を、作者は幼い時受けた虐待だとしています。緊張感に満ち、それでいて静謐な、しっかりした文章です。構成もきちんとしており、無理のある設定ながら、登場人物の心の動きはよく納得できます。実に確かな文章力です。作家としては、芥川賞を受賞するにふさわしいと思います。しかしこの作品が賞にふさわしいかは、ちょっと疑問。
まず、幼い子供がこのようなめにあった時、生き残ることができるでしょうか。大人になってから受けた暴力も、病院に行かなくてすむようなものとは思えません。土の中に埋められたのに起きあがれたというエピソードにいたっては、ありえないとしか言いようがありません。このような不自然な記述が多発する理由は、作家が、実際に暴力を経験したことがないからでしょう。彼だけでなく若手の作家が暴力を描くと、暴力表現だけがエスカレートしていき、対して結果が異様に軽くなる傾向があります。実感がないからでしょうが、いくらなんでもどうかなあと思うのです。人間はもろくて壊れやすい。それは生命の根元的な性質として、生きるということを考える上で、はずせない要素だと思うのです。
寺岡 理帆
評価:B
主人公に次から次へとこれでもかというくらい災難が降りかかる。その一部は自ら招いた部分があるけれど…それにしてもここまで不幸な主人公はなかなかいないんじゃないだろうか。子供の頃虐待を受けた経験から、暴力に打ちのめされたその先の何かをつい探し求めてしまう。死を求めているのとは違う、けれど限りなくそれに近い衝動。「落下」するものに対する「もう取り返しがつかない」状況に魅せられ、「暗い本」を読んでいるときだけ「救われる気がする」。彼は死産によって不感症になったアル中の白湯子と同棲しているのだけれど、二人の間には愛どころか同情すらない。どこまでも暗い…。暗い話は嫌いではないけれど、物語自体が自己完結しているようなところがつらかった。悲惨な体験、衝動的な行動はところどころ理解できなくもないのだけれど、彼の視点から淡々と語られる物語は読者の存在を無視している印象。最後にちょっと光が差しているのが救いだった。
福山 亜希
評価:AA
「堕ちるところまで堕ちた人間は、その後どうなるのだろう。」度重なる暴力をうけて、死の寸前までうけて、人間的な精神を奪われて、それでもずっとその後も暴力を受け続けたら、その人間には一体何が待っているのだろう。幼い頃に受けたひどい虐待の傷跡を残しながら成長した主人公の男は、その答えが気にかかる。この男が何よりも恐れるのは、感情のない暴力だ。暴力をふるう側に怒りや憎しみがあれば、まだ傷は癒される。感情の起伏もない、つまらない表情のままふるわれる暴力には、絶望しかない。
この小説は、暴力を完全に描ききっている。この小説以上に暴力を説明し、暴力を描写することは多分出来ないのではないか。暴力をふるわれる痛みも恐怖も、そして暴力をふるう側の残虐な気持ちも、全て描写し尽くして、最後には暴力をふるわれる側からもふるう側からも、正常な感情を奪ってしまうころまで、そこまで書き尽くしてしまっている。この先には、もう何もないのではないか。暴力を書き尽くした後、この先何が残っているのか、知りたいと思った。
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