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銀河ヒッチハイク・ガイド
銀河ヒッチハイク・ガイド
【河出文庫】
ダグラス・アダムス
定価683円(税込)
2005/9
ISBN-4309462553
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  北嶋 美由紀
  評価:★★★☆☆
 本書は25年も前に書かれ、SF界の古典的傑作だそうである。銀河バイパス建設のため、という広大な理由で地球が一瞬にして消滅してしまう。地元のバイパス道路建設に反対抗議していた地球人がたった一人生き残り、宇宙人と宇宙をヒッチハイクするという話だ。おもしろい所はいくつもあるが、何だかよくわからない部分も多く、完全に笑えない。宇宙と生命についての深遠なる疑問の答えとか、地球の創造主のこととか、読者を煙に巻くようなおもしろさはあるし、中盤から出てくる、重症のうつ病ロボットとか、やたら愛想のよいコンピューターとかがさらに笑わせてくれる。ただ、奇想天外なハチャメチャにイギリス風の皮肉が隠されているのだと思うと、思いっきり笑えなくなってしまうのが残念だった。最初から、難しいことは分からんとサラっと読んだ方がよいのかもしれない。

  久保田 泉
  評価:★★☆☆☆
 とうとう今月は5冊目の翻訳本です。帯に、伝説の大傑作SFコメディとある。イヤな予感がする。翻訳本が苦手だから、ラストで疲れているから、ではないと思う。たぶん伝説の~などと言われるものと相性が悪いのかも。とりあえず、私はどこでも笑えなかったのは確かです。コメディ?しくしく。ストーリーは、どこかの宇宙人が、突然銀河バイパスを建設するのに地球が邪魔!警告はとうに出したぞと言って、いきなり地球を消滅させてしまう。設定は面白いです。平凡なイギリス人アーサー・デントは、親しい友人フォード(実は違う星からきた銀河ヒッチハイク・ガイドの調査員)と宇宙でヒッチハイクすることになり、地球最後の生き残りとなる。
 完読したのにさだかではないが、イギス人特有のシニカルなブラックがこの作品の面白さなのでしょう。解説を読んでなんとか少し理解したが、分からないものは分からないし、楽しめない。傑作、とか言われてるとちょいめげますが、仕方がないですな。

  林 あゆ美
  評価:★★★★★
 帯に書いてあるとおり、さすがの伝説SF! おもしろくておもしろくておもしろい!
 あぁ、ここに出てくるアーサーがうらやましい。たまたま宇宙人のフォードと友人だったので、超空間高速道路建設のために地球が取り壊されても生き続け、なおかつ宇宙でヒッチハイクできるのだ。魚を耳にいれさえすれば、聞いたことのない言葉も魚が翻訳してくれる便利な銀河にデビューできたアーサー。その銀河について何でも教えてくれる電子的な本が〈銀河ヒッチハイク・ガイド〉本。そこには「地球」の項目もちゃんとあり、ひとこと「無害」とある。たった2文字でした表されないことにがっかりするアーサーに改訂版は少しましになったよと親切なフォードは教えてくれる。「無害」→「ほとんど無害」2文字から4文字プラスされてもあんまりうれしくないアーサー。
 ありえなさそうなSF世界での絶妙なおかしみ満載。これは読まないとソンです。

  手島 洋
  評価:★★★★★
 イギリス人じゃないと書かないよなあ、こんなの、と感心しながら楽しませていただきました。この力の抜け具合、ばかばかしさはたまりません。
 銀河バイパス建設の邪魔になったという理由で、我が地球はあっという間に消滅させられてしまう。イギリス人のアーサーは、「銀河ヒッチハイク・ガイド」という本の取材のため地球にいたフォードに救われ、一緒に宇宙をヒッチハイクする羽目になる。
 地球が壊されるあっけなさに、まず笑いました。ブルース・ウィリスやトム・クルーズだって、一瞬で消えちゃうわけですから。まあ、その後は粗筋なんてどうでもいいような本です、これは。変な登場人物たち(鬱病のロボットや性格の悪いヴォゴン人の船長など)のやり取り、脱力感ありまくりのストーリー展開を楽しもうではありませんか。みなさんも、「パニクる」ことなくゆっくり、銀河を旅してください。しかし、こんな本を映画化するなんて勇気ある人がいるもんだ。どうせなら、迷作「宇宙からのメッセージ」の深作欣二監督に撮ってもらいたかったなどと思うのは私だけでしょうか?

  山田 絵理
  評価:★★★★☆
 この話についていける人はとことん幸せだと思う。私もそうありたい。がんばらなきゃ。
 宇宙空間に建造するという超空間高速道路のため、地球があれよという間に破壊されてしまった。べつに驚くことも嘆くことも怒り狂う心配も無い。一人の地球人が生き残り、ベテルギウス星人とともに宇宙船をヒッチハイクして、それから先はしっちゃかめっちゃかな展開が続く。銀河系の話だからなのか、何でもござれ!という感じでうつ病のロボットが現れるわ、突然人類が常に抱く普遍の疑問を投げかけてくるわ……。絶対作者は好き勝手に書いているに違いないわ。「さあ、読者諸君!ぼくの作ったSF世界にどこまでついて来られるかな?」と、すぐ側で作者がニヤリと笑っているんじゃないだろうか。だから私は必死に作者のユーモアに食らいつき、とにかくその世界についていくのに一生懸命。あーあ、冷めた目で「けっ、くだらね」と言えたらとっても簡単なんだけどなあ。でもそうしたらつまらないものね。


  吉田 崇
  評価:★★★☆☆
 わーい、SFだーいと始めてみてはみたものの、自分一人で喜んでいても芸がないと、少し大人な書評を心がける。
 この作品、新潮文庫版を読んだのが昭和58年1月5日、げっ、早四半世紀。ちょっと、気が重くなっちゃったが、虚数について考えた。二乗すると-1になるというあれだ。そんなもの実生活において、少なくとも僕の毎日には一切なんの関係もないものなのだが、そういうものもあるのだと思うと何となく世界が広がったみたいで、得した気分。SFってのも多分そんな感じで、荒唐無稽で非現実的な設定もとりあえず受け入れてしまえば、主人公が人類である限りストーリーは人間的なので、あとは物語を楽しめばいい。人間が書けてないとか真実が提示されてないとか、そんなのは的外れな意見なので、聞く耳持たずが正解。で、本書、SFでしかもナンセンスコメディなのだから、実のある事を期待する人には×。くだらない事の好きな人には、今月のイチオシ。

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