評価:★★
短編七編から成る、ヨーロッパを舞台にした歴史小説。史実を織り交ぜているのだが、全体的に流して読める。それ故、作品自体が印象にあまり残らず残念な気がする。好みは人間くさいヴェロッキオ親方。主人公達の感情部分にのめり込み難く、登場人物達があまり魅力的に映らない。
救世主ジャンヌ・ダルクとフランス王家の暗部が絡み合う。表題の「ジャンヌ・ダルクまたはロメ」。
勇気凛々、百年戦争に参戦する若者二人が互いに交わした契約とは?!「戦争契約書」。
紀元一四三一年、ラ・ピュセルを裁く陪審員に抜擢された修道士の苦悩とは「ルーアン」。
カスティーリャ国の由緒有る貴族カルデナス家の家紋にある二つのS「エッセ・エス」。
良き師は、良き弟子を育てる。芸術家とし、弟子の才能に嫉妬しながらも……「ヴェロキオ親方」。
築城技術の腕だけを頼りにアントニオはフランス軍と対峙する「技師」。
万能の天才をも、芸術の魅力は狂わせる「ヴォラーレ」。