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2008年8月

余湖明日香の勝手に目利き

『三崎日和―いしいしんじのごはん日記2』 いしいしんじ/新潮文庫

 横浜から松本に越してきて一ヶ月、本屋も服屋もカフェもほとんどない松本で、お休みの日はどうやって過ごそう…と途方にくれていたときに、いしいしんじさんに出会った。いしいさんが作詞をされたという原田郁子さんのコンサート会場でのことだった。
「いしいさんって、松本に住んでるらしいよ」
作品は数作読んでいたけれど、特別に大好きな作家というわけではなかったのだが、それがきっかけで『ごはん日記』『ごはん日記2』を読んでみることに。そしてびっくりしたのだけれど、園子さんのおうちが私のアパートの徒歩10分ほどのところだと思われます。近すぎ。松本での生活が大好きになったのは、この日記のおかげでもある。
食べたものはもちろん、創作の話、三崎と松本での生活、美術館に行った話、雑誌の取材の話などなどが書かれていて面白い。海で泳いだり、ご近所さんと遊んだり、新鮮な魚を食べたり、そうして物語が生まれた過程を知ってから作品を読むと、頭の中で作って書かれたのではなく作品がまさに生まれたのだなあと思う。
この本、読んでいるとすっごくお魚が食べたくなるので注意。私は深夜に鮭を焼いて食べた。

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