ギャルが一番多い街は渋谷じゃなかった!?~『東京「進化」論 伸びる街・変わる街・儲かる街』

東京「進化」論 伸びる街・変わる街・儲かる街 (朝日新書)
『東京「進化」論 伸びる街・変わる街・儲かる街 (朝日新書)』
増田 悦佐
朝日新聞出版
819円(税込)
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去年の8月中旬に起きた「リーマン・ショック前夜」に、マンション分譲業界ではちょっとした異変が起きていたのをご存じ?

分譲マンション大手8社が毎年調査している首都圏の「住んでみたい街」ランキング。調査開始以来ずっと首位を守り続けてきた自由が丘が、初めてその座を吉祥寺に明け渡す結果に。そればかりか、ベスト10常連だった代官山(07年8位→08年13位)、豊洲(10位→15位)、白金、表参道などの街が大きくランクを落としたり、ランキング圏外(25位以下)に滑り落ちたのも業界関係者にとっては驚きだったそうです。著者はこれを「"派手街"から"地味街"への意識変化の象徴」と書いています。

こうした大小さまざまな異変や謎に迫りながら、東京の意外な素顔を読者に見せてくれるのが本書。「山手線で銭湯が一番近くにある駅はどこ?」といった生活ネタから、「都内でカフェを開業する際に軌道に乗せやすい場所は?」といったビジネスネタまで、無類の街歩き達人が独自の視点で教えてくれるので、新しい発見がもりだくさん。

たとえば、若い女のコの比率が一番高い街は、実は池袋。山手線南半分は渋谷、原宿、表山道といった若い女のコが行きたがるような場所があちこちに点在しているのに対し、北半分には気軽に遊べる場所が池袋駅周辺にしかない。加えて"腐女子"が群れ集うオタクの聖地「池袋乙女ロード」があるために、女子中高生や20代女性の集客力が高いのだそうだ。

反面、中年サラリーマンばかりの大企業本社が少ないことも指摘し、なるほどと納得。若い女のコ比率という観点から、池袋の意外な一面が見えてくるから面白い。

ちなみに、カフェで儲けやすい街はカフェ人種の多い代官山や表参道ではなく、意外にも南新宿や代々木エリア。常連客定着率が高く、エリア内のカフェ閉店率が突出して低いのだそうだ。本書を読めば、知っているようで、知らない街の本当の姿が見えてきます。

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