ウェブはバカの暇つぶし道具?~『ウェブはバカと暇人のもの 』

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)
『ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)』
中川淳一郎
光文社
798円(税込)
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 「ググれカス」なる言葉を知っているだろうか。これはネット用語で、グーグルで調べればすぐわかるようなことを、わざわざ「○○について教えてください」などと質問している人に対して容赦なく浴びせられる「グーグルで検索しろ、このカス!」を意味する言葉。
 
 質問サイト「ヤフー知恵袋」に「20歳のクリスマスのあらすじを詳しく詳しくを教えてください。いつも4話くらいまではちゃんと見るのですが、その後真剣に見てません。いずれ続きは見たいです。みんな好きな俳優さんなので、松下さんと柳場さんが一緒に暮らしだすところまで見てます。二人は恋愛関係になるんでしょうか? また、山口智子と中村トオルはどうなんていうんですか? ネタバレでお願いします」という質問があった。

 このドラマは1994年にフジテレビ系でオンエアされた連続ドラマ「29歳のクリスマス」のことだと推測できる。このような質問を、ネットに慣れた人の多い掲示板「2ちゃんねる」で書いたら「ググれカス」と言われるのがオチである。

 確かに「あらすじを詳しく詳しくを教えてください」に関しては、ウィキペディアや公式サイトを見ろと言いたくなるし、そもそも日本語がおかしい。また、お気づきの人も多いと思うが、「柳場」は「柳葉」、「中村トオル」は「仲村トオル」と、簡単な間違いが目につく。これでは「ググれカス」と言われても仕方がない。

 一方で、何かあれば「死ね」と書く人が続出し、「自意識過剰ちゃん」「オレ、クリエイティブ男」の一人しゃべりがあちこちで見られ、何も迷惑をかけていないのに「許せないざます! 不快ざます!」とカナキリ声をあげるオバサンがいる。アイドルが髪を切ったことをブログで紹介すると「激かわゆす」と絶賛コメントが殺到し、特定アニメの悪口を書くとブログが炎上する。立ちションベンや100円玉を拾ったことをブログで報告すると「通報しますた」という脅迫があふれる。

 コンサルタントや研究者は「WEB2.0」という言葉を用いて、夢にあふれる原理や技術のもたらす可能性を説いている。しかし、サイト運営者は荒らし行為をする人や他者の悪口を言う人、やたらとクレームを言ってくる人を相手にしなければならない。そんな状況についてネットニュース編集者で『ウェブはバカと暇人のもの』の著者、中川淳一郎氏はこう断言している。

 「インターネットは普及しすぎて、いまやバカの暇潰し道具だ」

 思いきった意見だが、みなさんはどう思われるだろうか?

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