実はあの時おかしいと思った…~『ジャンボ機長の状況判断術 失敗しない決断と行動』

ジャンボ機長の状況判断術 (PHP新書)
『ジャンボ機長の状況判断術 (PHP新書)』
坂井 優基
PHP研究所
756円(税込)
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 「実はあの時おかしいと思ったことがあったんです...」。生活の中で様々なトラブルに見舞われた時、調査をしてみると後からこんなことを言い出す人いませんか。「それなら早く言えよ」と誰もが思うでしょうが、友達同士ならまだしも、職場の上司と部下の関係で「ちょっとおかしくないですか」なんてとてもじゃないけど言えないことの方が多いですよね。
しかし、当事者だけが責任を取って済むような出来事なんてほとんどなく、周りも何かしらの影響を受けざるを得ません。ましてや医者などの人命を預かる仕事に後から「あの時...」なんて言葉は言語道断。
 
 医者と同じく「失敗の許されない世界」に生きるパイロットの世界では、やはりこのようなことが起こらないようCRM (CREW RESOURCE MANAGEMENT)という訓練技法を導入しているそうです。

 CRMとは、簡単に言えば上司が周りの意見を聞いて判断するというシンプルな方法。
・機長はまわりの人間が気付いたことや思ったことを言い出しやすい雰囲気をつくる
・機長は、誰かが何かを言い出したらそれについて考える

 この方法を導入したきっかけは1977年テネリフェ島の空港で起きた史上最大の航空事故。
副操縦士が気付いたことを「ささいなことだ」と問題にしなかったことで583人の方が亡くなりました。

 パイロットが「絶対に失敗しない」ために編み出した訓練を「日常でも生かせれば...」と提案している本書。実際の航空事故を例に問題点と解決方法を取り上げ、実際の生活でどのように使えば良いか具体例が挙げられています。

 不況の現代では、失敗が原因でいきなりリストラにあう確率が非常に高くなっています。パイロットでなくてもささいなミスが命取り。ましてや家族がいる方にとっては、サラリーマンといえども心情はいつもパイロットと同じなのではないでしょうか。

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