不況の日本は貧困のアフリカと同じ?~『15歳からの外交官が書いた国際問題がとりあえず全部わかる本』

15歳からの外交官が書いた国際問題がとりあえず全部わかる本
『15歳からの外交官が書いた国際問題がとりあえず全部わかる本』
小原 雅博
ディスカヴァー・トゥエンティワン
1,512円(税込)
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 ちまたではどこに行っても「不況」の二文字。こんな暮らしはもう嫌だ、なんて言ったらアフリカで暮らす人たちはどうすればいいのだろう。アフリカでは内戦と紛争に悩まされ、人々は貧困と感染症に苦しんでいる。エイズ患者は世界の4分の3以上を占め、平均寿命は46歳。2人に1人は1日1ドル以下で暮らし、さらに5人に1人は紛争の影響下にある。

 では、アフリカの人々は、どうしてそのような状況で生活する羽目にはってしまったのだろうか。約30年にわたり外交官として世界情勢を見てきた小原雅博氏の『15歳からの外交官が書いた国際問題がとりあえず全部わかる本』によると、かつてヨーロッパの植民地だったアフリカの国境線は、ほとんどが民族や種族とは関係なく、ヨーロッパの利害関係を基に引かれたのだそう。そのために紛争が頻発し、内戦や虐殺が絶えないため、多くの人が貧困に陥ってしまった。なんとも理不尽な話...。

 同じ地球で同じ人間として暮らしながら、明日死ぬかもわからない過酷な状況下で生活する人がいる。小さな不満はありながら、とりあえず平和な日本で暮らしていると、世界のどこかで戦争が行われているなんて改めて考えたりすることもない。

 しかし、これは他人事ではないのかもしれない。不況を理由に断行される理不尽なリストラや人事異動。それにより起こる人手不足や、ギクシャクした人間関係がもたらす負のスパイラル。不況が不況を呼んでいる今の日本社会。いつまでも貧困を脱することができないアフリカと根を同じにしているようにも感じられる。改めて人間が辿った歴史を見つめなおすことが、不況を脱する一番のカギになるのかもしれない。

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