仕事が「デキる人」は仕事を多くこなさない?~『人生は手帳で変わる フランクリン・プランナー・オーガナイザー完全攻略』

人生は手帳で変わる フランクリン・プランナー・オーガナイザー完全攻略
『人生は手帳で変わる フランクリン・プランナー・オーガナイザー完全攻略』
フランクリンコヴィージャパン
キングベアー出版
1,575円(税込)
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 子どもの頃、夏休みが訪れるたびに楽しかったのが、「あれもしよう」「これもしよう」と休み中の計画をワクワクしながら思い描くこと。ところが大人になると日々の生活に追われ、自由な時間の使い方を考える機会も少なくなります。「やりたいことはいっぱいあるんだけど、忙しくてできてないんだよなぁ」とつぶやいたアナタ、ちょっと自分の手帳を見直してみてください。その手帳、ただ単にやらなければならない仕事の納期や予定を、効率重視で書き込んではいませんか? 
 
 『7つの習慣』で一世を風靡したスティーブン・R・コヴィー博士が開発した手帳術を紹介する『人生は手帳で変わる』によれば、いかに短時間にたくさんの仕事を効率よくこなしていても、それは残念ながらあまり適正な手帳術ではないようです。「ひたすら忙しく動き回ってたくさんの用事をこなすだけでは、目先の達成感は得られても、決して心からの充実感を得ることはない」と、本書では語られています。

 そこで、スケジュールを組む際に重要なのは、「本当に自分のしたいこと」、「自分の価値観に沿うこと」に重点を置いてプランを立てること。たとえば「国際社会で活躍したい」という目標がある人ならば、「じゃあ会社で海外赴任をしよう」、「海外赴任するにはTOEICで900点以上取得しないと」、「TOEICを勉強するために、英語スクールに通わねば」......と自分の目標達成のためには具体的にどのようなステップが必要かを考えながら、スケジュールを組んでいきます。すると不思議なもので、明確な日時や事柄を自分で設定してしまうと、なんとか帳尻をあわせようとするもので、これまで「あれ、やりたいんだよなぁ」とぼやいていただけの人でもいつのまにか目標が達成できてしまうとのこと。

 ここまで読んで「なるほど」と思うか、「そりゃそうだろ」と切って捨てるかで、その後の生き方が変わってくるようです。コヴィー博士の言葉に次のような名言があります。

 「自分への教育は自分の無知を認めることから始まる――」

 自分のやっていることが正しいといつも思っていると、自分の無知な部分に気がつかず、事態はいっこうに好転しないということなのですが、約30年間にわたりアメリカの最優良経営コンサルタントとして、世界各国の政府要人やリーダーの人望を集めているコヴィー博士の言葉だと受け止めれば、その重みもまた違ってくるでしょうか。

 ちなみにコヴィー博士には9人の子どもと36人のお孫さんがいます。きっとこの9人の子どもたちも、目標から逆算された家族計画で産まれてきたはず。コヴィー博士に会う機会があれば、一度聞いてみたいものです。

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