新型インフルエンザ、実は“新型”ではなかった~『間違いだらけのインフルエンザ対策』

間違いだらけのインフルエンザ対策 (日文新書)
『間違いだらけのインフルエンザ対策 (日文新書)』
岩崎 恵美子
日本文芸社
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 毎日のように新型インフルエンザ関連のニュースが報じられている今年の冬。国立感染症研究所によれば、11月15日までに新型インフルエンザに感染した患者数は累計902万人に達したが(7月6日以降)、いまだに「インフルエンザはマスクで予防」と思っている人はいないだろうか?

 そもそもインフルエンザに感染するプロセスは、ウイルスが手や指に付着し、そのウィルスが口や鼻などの粘膜に付いて吸収されてしまうことによりおこる。それゆえマスクには「咳などで排出されたウイルスを吸い込んでインフルエンザに感染する」というリスクを避ける効果はあるものの、予防としては不適切。感染症の専門家で医師の岩崎恵美子さんは「感染予防の最善策は、とにかくこまめに手を洗うこと」と断言している。

 さらにマスコミの報道にも問題点はある。4月に発生したこの新型インフルエンザは当初致死率が高いと言われ、大阪で日本初の感染者が判明した際には関西を中心に大騒ぎになった。しかし岩崎さんによれば「新型も季節性も同じインフルエンザ。ただ、抗体を持たないはじめだけ、"新型"と呼ぶに過ぎない。新型もひととおり蔓延すれば、季節性インフルエンザになる。そもそも『新型インフルエンザ』という単語は日本でしか使われておらず、誤訳に近い」のだそうだ。

 今現在のところ、新型インフルエンザの致死率が季節性インフルエンザと比べて高いというデータは存在せず、新型インフルエンザは普通に生活していれば空気感染などしない。「もし、インフルエンザにかかったら、速やかに医療機関に連絡を取り、診断を受け、治療薬の処方を受ければ重症化しない」(岩崎さん)ので、手洗いさえ励行すればそれほど恐れる必要は無さそうだ。

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