今でも覚えている最高の言葉~『コーチングのプロが教える 「ほめる」技術』

〈NJセレクト〉 コーチングのプロが教える 「ほめる」技術
『〈NJセレクト〉 コーチングのプロが教える 「ほめる」技術』
鈴木 義幸
日本実業出版社
1,000円(税込)
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 これまでの人生で他人からかけてもらった、いわゆるほめ言葉で、今でも覚えている最高の言葉は何でしょうか。「小学校の時に先生からいわれたこと」「人生の転機に両親から贈られた言葉」「親友が何気ない時にふと発した言葉」等々、少し時間をかけて思い出してみてください。

 日本ではじめてプロフェッショナル・コーチ養成会社を設立した鈴木義幸氏が、24歳の時に広告代理店に勤めていた時、偶然、テレビ局の常務と一対一でお酒を飲む機会がありました。なぜ駆け出しの広告マンが、放送局の常務のような人とサシで飲むことになったのか、その理由は覚えていないみたいですが、常務がかけてくれた言葉は、今でもはっきりと覚えているそうです。

 「君の前だとなんか正直になるな。気楽に話ができるよ」

 その時は何と切り返していいのかわからなかったようですが、それから20年も経ったいまでも、その言葉は克明に覚えているそうです。

 実は、相手のことをほめる場合、大きく分けて二つのスタンスがあります。それはYOUとI。YOUのスタンスとは「今回のレポートよく書けているね」「努力家だね」「すごく優しいね」などといったもの。つまり、あなたの行為、存在はこのようにすばらしいと相手に伝えることです。

 逆に、Iのスタンスとは「君のおかげで今回の件はとても助かったよ」「君と机を並べているとこっちまでエネルギーが湧いてくるな」と、相手の行為や存在が、自分に対してどのような影響を与えているのかを言葉にして伝えることです。

 どちらが人の心に残るかといえば、YOUよりもIのスタンスにあるようです。それは、人はどこか深い部分で、自分がどのように他人に影響を与えているかを聞いてみたいと思っているからです。

 多くのリーダーシップ論やマネジメント論の本で、「ほめる」ことの必要性が語られています。「部下が思うように動いてくれない」といった悩みを解消するためには、どうやら「存在を承認する」ほめ方がいいようです。

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