サービスができる人、できない人の違い~『「サービス」をサービス! 』

「サービス」をサービス!
『「サービス」をサービス!』
指南役
大和書房
1,470円(税込)
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン

 突然ですが、「サービス業」と聞いてみなさんは何を思い浮かべますか。

 おそらくホテルやレストラン、デパートといった接客業を連想する方が多いと思います。あるいは広告代理店の営業マンのように、クライアントのためには命を投げ出しかねない種類の人を想像するかもしれません。

 しかし、エンターテイメント企画集団・ホイチョイプロダクションのあるブレーンは、サービス業とは業種ではなく「心の持ちよう」だと指摘しています。つまり、あらゆる職業がサービス業だということ。サービスを提供するのに、特別な資格はいりません。今、自分が立っている場所を把握し、身の丈に合ったことをすればいいだけのこと。そして、その見返りを求めなければいいのだそうです。
 
 かつてCMプランナーとして名を馳せた佐藤雅彦さんが感心したというエピソードがあります。佐藤さんの友人が外国の展覧会に行き、ある人気パビリオンに並んでいたときのこと。曲がりくねりながら延々と続く長い行列に、その友人はいい加減うんざりしていました。しかし、行列の先頭を見ると、なぜか皆、ふり返って笑顔をみせています。
 
 不思議に思いながらも行列を進んでいくと、やがて階段を昇り始めます。そのパビリオンの入り口が2階にあるから。そして階段の中段に差しかかったときに、ふと後ろをふり返えると、なんと、今まで自分が並んでいた行列が、動物の一筆書きのイラストになっていたそうです。

 そのときになってやっと、先頭の人たちの笑顔の理由がわかりました。そして先人たち同様、自分も笑顔になったそうです。それまでの長い行列の苦労も、その瞬間に吹き飛んだという、いい話。

 ほとんど資本投資ゼロで、そのパビリオンは行列にうんざりする来場客を一瞬で笑顔に変えてしまいました。
 
 サービスに何よりも大切なことは、相手の目線に立つこと。目を凝らし、耳を澄ませば相手のかゆいところが見えてきます。そして、それに気づけた人が、きっとステキなサービスマンになれるんでしょうね。

« 前の記事TOPバックナンバー次の記事 »