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機関車先生
【集英社文庫】
伊集院静
定価 520円(税込)
2003/3
ISBN-4087475530
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
池田 智恵
評価:D
〈葉名島は私にとって幻の島である。幻ゆえに、いつまでも美しくあって欲しい。〉
小さな島での、口はきけないけれどこころ優しい先生と、島民の美しい交流話。……なのに「どうして読めば読むほど観光絵はがき見てるような気分になるんだ?」と思っていたら、後書きに上記の言葉があったんで納得しちゃいました。幻ですか。あ、蜃気楼ですね。つまり、頭の中で作り上げられた楽園ですね、うう。でも、そんなもの読みたくないんです。人間が真実生きる場所にこそ、美しさがあるんじゃないですか?ここには人間いないです。
伊集院センセイ、質問です。機関車先生、相撲で勝ちますね。で、皆の信頼を固めるでしょう。読者はあそこでカタルシスを得ると思うんですけど。あそこからどうしても「障害者でも優秀だったらOK」(立川談志風)という上位者の高慢を感じ取ってしまう私は間違ってますか?
もう一つ、機関車先生をもっと弱い人間にした上で、この話を成立させられますか?
延命 ゆり子
評価:A
戦後十年程たった瀬戸内海の美しい島、葉名島。そこに口の利けない優しい先生がやってくる。子供達とのこころの交流、それを見守る住民のあたたかさ。貧しいながらもしっかりと丁寧に生きる人びと。はっきり言ってベタな展開だ。予想通りの穏やかな世界。それがこんなにも胸を打つなんて。わしも年をとったものだわい。この本のなかで作者は言う。真に強い人は決して人には手をあげないと。人間は弱い存在だからこそ、人を信じること、祈ることだけが人を強くするのだと。確かにそれは理想だ。ユートピアだ。けれどいま、私は子供達に胸をはってそう言いきれる自信はない。そんなピュアな気持ちだけではこの過酷な世界を生きていけない。しかしそれを知ってしまった今だからこそ、こういう小説を素直に読めるようになったのかもしれないなと、フト思う。フィクションとして。憧れをこめて。
児玉 憲宗
評価:AA
瀬戸内海に浮かぶ島で生まれ育ったわたしには、この物語に登場する「島のあちこちから漂う蜜柑の香り」も「鳥の群れように踊る無数の波頭」も、鮮明に思い浮かべることができる。
口から発することのない機関車先生の言葉を想像しながら読んだからか、温暖な土地柄が舞台であるからか、物語は終始、瀬戸の波のように穏やかにゆっくりと流れた感がある。その地特有の、その時代特有の、時間の流れや人と人のつながりがあることをあらためて知った気がする。感受性の強い子どもたちの純粋さ、佐古校長やよねのやさしさとしたたかさ、ヤコブの伝説などが絡みあいながら瑞々しく描かれている。キラキラ眩しい作品にうっとりさせられた。
鈴木 崇子
評価:D
“柴田錬三郎賞受賞の名作”“感動の物語”だそうだが、感動できなかった。瀬戸内海の島の小学校に赴任した臨時教員の一学期の物語。主人公の機関車先生(体が大きいから)は口がきけないので、当然ながら村の大人たちや生徒の会話ばかり。島では様々な事件が起るが、それらはすべて教え子や島の大人たちによって語られる。
わずかに両親の思い出が回想シーンとして登場してくるくらいで、肝心の機関車先生は何を考えているのか描かれない。彼の心象風景や心理状態は読者が想像していかねばならないのか? たぶん正義感が強く、きっと心の優しい、体の大きな青年なんだろうが、あくまで輪郭しか伝わってこない。校長の「――不思議な青年だ…」の感想通り最後まで不思議なまま終わってしまった。
そして、ありがちな善人・悪人がお決まりのように登場して、物語にもこれといった新鮮さはない。あるとすれば、島には時折UFOが来て、宇宙人と夢で交信しているらしい生徒がいることくらいだろうか。
内容とは関係ないが、「おおきな活字とふりがなで読みやすくした…」とのこと。大きな活字はともかく、ふりがながついているとこんなに読みにくいものとは思わなかった。子供向けにふりがなをつけたのだろうか? 映画化決定とのことなので、映像にすればもしかして感動できるのかも知れない。
高橋 美里
評価:B
実はこの作品を読むのは3度目。初めて読んだのは中学生の夏休みで、2回目は高校の夏休み。3回目に読み直したらなんとなく、夏休みの感じを思い出しました。
機関車先生は身体が大きくて、先生の目は優しい。先生は子どもの頃にかかった病気のせいでしゃべれない。小さな島で育った子ども達は7人。先生の生徒として、大切なことをたくさん学んでいきます。葉名島に降り立った一人の先生と、のびのびと育った子ども達のお話。今の時期に読むとなんだか「いい気持ち」になれる一冊です。
中原 紀生
評価:B
見えない世界が見える不思議な能力をもった少女が、春の早朝の陽光を浴びて、岬から海へ向かって祈りをささげる、まるで民話かファンタジーを思わせるプロローグから、身体も大きいし、力持ちみたいだけれど、口がきけない(口をきかん、だから子供たちに機関車先生とあだ名される)吉岡誠吾が、瀬戸内海に浮かぶ神がつくった島、葉名島の水見色小学校に赴任してくる冒頭部へ、そして、小さな島ゆえの濃厚な人間関係が紡ぎだす、悲喜こもごものエピソードの数々が丹念に綴られ、やがて、先生と子供たちの別れの場面、すがしい未来を予感させるエンディングへといたる。──あざといまでに達者な、伊集院静の流麗な筆運びが縦横にはりめぐらせた物語は、これがテレビドラマか映画だったなら、わけもなくのめりこまされ、見入り、さわやかな感動をもって見終わることだろうにと思わせる。それだけ、映像喚起力もしくは劇的構築力をもった文章だということなのだが、あまりに完成されすぎて、「作られた名作」ゆえの物足りなさを感じる。
渡邊 智志
評価:C
『二十四の瞳』を想起せずにはいられない設定で、ついつい比べながら読んでしまいました。完全無欠な人とか絶対的に正義な人のお話は、必ずしも楽しいモノではありません。口がきけない、というハンデを負いながらも「努力」や「強い意志」で状況を力強く乗り切っちゃったりすると、正直なところシラケます。自堕落な自身を皮肉られ批判されているような被害妄想を抱くからかなぁ。島を牛耳る網元と村人や長老との丁々発止の攻防戦は、話の展開も描写の簡潔さもとても良くて、ハラハラしながら面白く読めました。その息子がクラスメートの中で時折見せるポツンとたたずむ孤独感も、痛々しさがにじんで印象に残ります。たぶんこの辺のくだりには、主人公の機関車先生がほとんど出てこなかったから、島世界のドラマにきちんと浸かれたんだと思います。異人は偉人だけど最後まで浮いてました。彼がいないドラマの方が面白そうなんですけど…、それじゃ意味無いか。