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├2001年7月
├2001年6月
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野ブタ。をプロデュース
【河出書房新社】
白岩玄
定価 1,050円(税込)
2004/11
ISBN-4309016839
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:B
話はタイトルのまんま。要領がよくて友達もいっぱい。そんな「俺」が、シカトされているデブの転校生を人気者に大変身させる。遊び感覚で始めたことなのに計画は上手くいく。余裕です。「俺」は、つんくにでもなったかのように絶頂。しかし。ほんとうのドラマは醜いアヒルの子を助けてからの、その後。前半の“好いヤツ”を演じる「俺」の内面吐露(自分なんてものはぜんぶ計算づくのキャラクターなんだよなってブチブチ独白している)といい、さしてひねりのないプロデュース話といい、退屈になりかけた。盛り上がりは完ぺきと思い込んでいた「俺」の自己演出が、ある事をきっかけに崩壊する後半。ネタバレになるからボカしますが、ヘラヘラと場をやりすごしてきた主人公が、ヘラヘラの仮面を剥ぎとられてしまう瞬間は緊張です。さあ。仮面を失くしたマスクマンはどうするのか? ラスト20頁には力がめちゃ入ります。
安藤 梢
評価:B
主人公、桐谷修二(いわゆる学校の人気者というやつ)が、転校してきたさえない小谷信太(野ブタ)を人気者へとプロデュースしていくという話。テンポよく流れる軽快な文章にぐいぐい引き込まれてあっという間に読んでしまった。一連の他愛もない会話の流れはそこらの漫才を見るより面白い。抜群のセンスが光っている。一見、野ブタのサクセスストーリーというかんじだが、その実、常に何者かを演じなくてはならない学校という場所の複雑さを皮肉るような、案外深い話なのである。学校という場所の独特の雰囲気がピシピシと痛いほど伝わってくる。「桐谷修二」というキャラクターを演じることで守り続けてきた本当の自分が、着ぐるみをはがされたことであっけなく崩壊していく。突き放すような結末が残念。素の自分の弱さに気付いたところで一勝負し、もう一歩修二を成長させて欲しかった。
磯部 智子
評価:D
帯に「笑いなさい」とあるが、どこで何を笑えばいいのだ…判らないまま読み終える。冒頭から小賢しいヤツの香りが、鼻腔を刺激する。言いたいことはよく解る、だれか影響力のある人間が、右と言えば人は右を向く。作中にある「つんく」を例に出すまでもなくプロデュース次第なのだ、それが「野ブタ」君であっても自分であってもキャラを作って生きるというのは、よくある事なのだ。特に閉塞感のある学校生活においては、その傾向が強くなるとなるのも理解できるし知っている。でも生きていくうえのスタイルの作り方をブンガクとして読みたいとは思わないし、第一プロセスに説得力が欠ける。そんな事はハウツー本にまかせておけばよいではないか。ピカレスク小説として読むにはスケールが小さいしなぁ。それにしてもこういう人生をなめきった主人公に、イ〜〜となる私は相当に子供っぽいのか、なんなのかよく解らない。
小嶋 新一
評価:C
転校生は、見事にデブでワカメ頭の、間違いなく誰っからも相手にされないブ男だった。あっという間にクラス全員からシカトを決めこまれ、本格的なイジメにあう「野ブタ」。ところが、ひょんなことからクラスの人気者「俺」が、野ブタを人気者にすべく「プロデュース」することとなった。さて、この作戦、成功するかあ?というのがあらすじ。
テレビに登場するスターの裏側には、それをコントロールする優れたプロデューサーが必ずいるという、今や誰もが知っている図式を、ともすれば陰湿な文脈でしか語られることのないイジメに持ち込み、軽快に笑い飛ばしてしまうセンスが秀逸。
テンポよく笑いを取りながら、グイグイと読ませていく筆致もさすが。面白い。あっという間に読ませられる。ユーモアだけでなく、シニカルな側面を持ち合わせているのも、バランスのよさをうかがわせる。
が、面白けりゃいいの?という感も残った。ノリとセンス頼みで突っ走っていると言うか。物語の深みっつーか、そういうものがもう少しないかと。昨今のイジメ問題の本質を、もしかしたらついているかもしれないだけに、やや残念。
三枝 貴代
評価:B+
友達は多いし、女の子にももてる。そういうさわやか高校生の着ぐるみを着て生活している自覚が修二にはある。近すぎる人間関係は重くていやだが、他人を遠ざけて生きるほどばかではない。ある日クラスにデブが編入してきた。いじめられていた彼を救ったことが縁で、修二は彼を人気者に変えるべくプロデュースを開始した。第41回文藝賞受賞作。
ははは、笑える。それにわたしの最近の疑問に、すぱんと答えを出してくれました。わたしの最近の疑問、それは「素晴らしいからこそ友達が多いはずの人間ほど、なぜ中身が空っぽのように感じるんだろう?」
友達が多いということは、なるほどこういうことなのか。中身のない会話を延々やりとりし、笑いあって親しい気分を維持することなのだ、と。それでは、中身が空っぽの人間ほど、確かに人気者になれるはず。
それを自覚した修二が最終的に選ぶ道の、なんとむなしく、ぞっとすることか。インパクトありました。
寺岡 理帆
評価:C
軽快な文章でサクサクと読み進んだ。文末に「(笑)」のつく文体を紙の媒体で読むことに対する違和感はどうしても拭えなかったけれど、いかにも今時の高校生というスタイルにこの文体は効果的なのは確か。修二の絶妙のプロデュースが次々と成功し、野ブタ君(いやホントは信太君なんだけど)がクラスの人気者の地位へ上り詰めていく様子はそれなりに哀しくも面白かった。
ただ、こんなラストはどうしても受け容れられない。良くも悪くも、子供の話だなあ、と思う。 なんでもリセットすればいいんですか?
結局修二は最初から最後まで何かと向き合うことはない。彼はまったく成長しない。要領だけがよくなっていく。
それでこの先、どうやって生きていって、何が手に入るんだろう。
これを読んで、「これでいいんだ。」と若い人たちが思うのはすごくイヤだ。そうじゃないだろ、と声を大にして叫びたい気分。
福山 亜希
評価:B
突飛な発想で、これは確かに面白い。この本は、高校という場にも立派に処世術が必要であることを、世の中の人々に実に上手に知らしめている。まるでテレビタレントのように、それぞれがキャラクターと称する個性を持ち、予め台本で決められているかのように、上手な会話を交わすことが出来なければ、今の時代一人前の高校生ではないのだ。高校生は大人の世代には理解しがたい存在なのかもしれないが、それは彼ら自身も同様に感じていることなのかもしれない。誰もが息苦しさを感じながらも、一生懸命“イケてる高校生”を演じているのだ。本を読みながら、私もそんな自分の高校時代を思い出した。この本で描かれている高校生の実態はあまりにリアルで、そういう意味で少しやりすぎているのではという危惧さえ抱いてしまう。大人にとって理解しがたい存在の高校生が丸裸にされて、か弱い本性が露になってしまったようで、一生懸命頑張って自分を演じている彼らが、少し可愛そうに思えた。