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├2001年7月
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対岸の彼女
【文藝春秋】
角田光代
定価 1,680円(税込)
2004/11
ISBN-4163235108
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:AA
子供の頃のワタシは協調性を欠いたガキで、大人になれば子供たちと協調せずにすむ自由があると思っていた。だから、わが子に友達をつくろうと公園を渡り歩き、仲良しの輪に入れなくて癇癪を起こす娘を見つめる若い母親(小夜子)の視線に、四十にしてワタシを生んだわが母を見るようで痛かった。そういうあたりの描写が感情に溺れたりもせず、うまいとなぁと思う。で、小夜子は自分が働きに出て、保育園に預けたほうが子供のためにいいんじゃないかと決断。そこから始まる話ですが、構成が凝っています。就職するベンチャー企業の女社長(葵)の少女時代と、小夜子さんの現在が交互に語られる。時間は過ぎ、二人は近づいていく。小夜子さんは葵に憧れを抱くものの、ちがう世界の“つよい人”だと思いこんでいる。読者は葵の心の変遷を知り、社長然とした今とのギャップに、想像を膨らます。少しずつひもとかれるエピソードの一つ一つのたわいないこと。それがやがて時間差となって効いてくる。
安藤 梢
評価:B
大人になってから友達を作るのは、なるほど難しい。他愛もないおしゃべりだけで友達でいられた学生時代とは、決定的に何かが違ってしまっている。結婚して子供を持つ小夜子と結婚せずに仕事を持つ葵が同じことで悩むことはまずない。お互いに持っているものと持っていないものが違うのだ。ただ、高校生の葵と現在の小夜子がリンクしながら進んでいくことで二人が根本では同じであると分かる。一人でいることに特別不安を感じる彼女たちは、その本質に抱える不安を共有しているという点で強く結びついているのである。その不安を深く深く掘り下げていく展開に、読んでいて心が塞がれるような思いがした。心の暗い部分から目を逸らさずに、真っ直ぐ向き合っている作品である。
学校の教室という狭い空間で繰り広げられる、微妙な人間関係の描写は見事である。その中で痛々しいほどに神経をすり減らしている葵。本当に大切なものを見つけた時初めて、それまで捕らえられていた孤独から解放されていく。
磯部 智子
評価:B+
平凡な人生を描き出す非凡な角田光代作品。とにかく上手い、全てを鏡のように映し出す。しかも、それは現実の問題をより一層、鮮明に写す高性能の鏡で、その中に知っている誰かや自分に似た人物を見つけ愕然とする。35歳の小夜子は既婚で3歳の娘もいる。公園ママ仲間にも馴染めず、その狭い人間関係に終止符を打つべく働こうと決意する。そこには偶然にも同い年、同じ大学出身の起業女社長、眩しい思いで見上げる葵がいた。この立場的には対照的な二人が急速に近づく。これが現在の話で、並行して意外な葵の過去、登校拒否の中学時代、そしてある事件を引き起こした群馬での女子高時代が語られる。二人の間には理解し得ない違いがあり乗り越えられない壁として決裂するが…果たして環境を共有しない女同士に友情は成立するか。この作家の筆力には本当に舌を巻く、いたよなぁとか、あったあったと何度頷いたことか。でも、それでも、オトモダチ信仰は味方と「対岸」を生み出すパラドックスに陥っているとしか思えないと「外国語みたいな丸文字」を書かない高校生だった私と、転校生の母である私が声を揃えて叫んでしまう。
小嶋 新一
評価:A
自分ってなんだろう?何のために生きているの?そういう疑問って、人生のいろんな局面で、誰しも覚えるはず。僕もしかり。思春期はもちろんだったし、中年にさしかかった今でさえ、時々。
この小説に登場する女たちは、みなそれぞれの立場で、手探りで「自分」を探そうとしている。幼い娘を抱え友人関係に悩む小夜子も、小さな会社を切り盛りする社長の葵も、二十年前の女子高生時代の葵も、その同級生のナナコも。
そんな主人公たちの中で、僕の心を捉えて離さなかったのは、友達からのいじめや仲間はずれを、「だってあたしさ、ぜんぜんこわくないんだ、そんなの。…(中略)…そんなとこにあたしの大切なものないし」と言い切るナナコ。不遇な家庭で育ちながらも、それをおくびにも出さないナナコが言う「大切なもの」って何だったんだろう?それは、僕自信への問いかけでもあります。僕にとって、大切なものって?
そもそも人生って、その答えを探し続ける終わりない旅みたいなもんでしょ。最後のページを読み終わりペタンと本を閉じて、そんな風に考えました。
三枝 貴代
評価:A
女性の本気の友情は恋愛に似ている。関係は集団ではなく1対1に収束し、社会状況や立場、利害を計算してつきあうことは不純であるかのように思う。男のような計算ずくの友情をいとなみつつも、女性は心の奥底で、互いの心が解け合って一つになるような、たった一つの、恋愛に似た友情を待ち望んでいる。
その切ない心を、綺麗事ではなく、生活上のトラブル、こころない人々の悪意、家族の無理解などもきっちりと見据えたうえで、この小説は見事に描き出しています。
自分とは立場の違う女性を「対岸にいる人」と表現したタイトルも素晴らしい。川のこちら側とあちら側にわかれたままの二人は、対岸にいるままで友情を築き得るのか。それはなりゆきでも運でもなく、決意だけなのだと高らかに宣言しているかのような主人公達の行動が実に魅力的。無責任ではない励ましとは、こういったものなのかも。
寺岡 理帆
評価:A
読み終わった後、なんだか動揺してしまい、冷静に感想を書くことができなかった。特別悲しかったり、笑えたり、ハラハラドキドキしたり、そういう作品ではない。ただ、わたしの心の奥底にこっそりしまっていたものをいきなりさらされてしまった気がした。
ここで描かれているのは女同士の対決なんかじゃけしてない、と思う。確かに主要人物は30代独身、自分で会社を興して仕事をするキャリアウーマンと、小さな子供の母親である専業主婦、という対比は今時流行りの「負け犬、勝ち犬」の図式にぴったりと当てはまる。二人は時には対立関係にもなる。立場が違うことによる無理解もある。 しかしこの作品の根底にあるテーマは、帯で作者が言うように「女同士の友情」だ。
読んでいて、今では赤面モノの学生時代の想い出がまざまざと蘇った。
きっとこの物語はわたしの為に書かれたんだ、という気すらした(笑)。
福山 亜希
評価:A
女は大人になれば、各々の立場は随分と違ってしまう。既婚と未婚、子供がいるいない、働いているいない等、挙げればきりがないが、それら一つ一つがお互いが結び付くのを強固に阻む、壁となるのだ。同じ境遇の者同士としか繋がりあえない、そんな状況は寂しい。ただ、そうやって似たもの同士だけでグループを作るのが、女の生態なのかもしれない。独身で会社を経営する葵と主婦小夜子の少女時代と30代の現在が、交互に語られる形で物語は進んでいくが、少女時代の若々しい描写が印象的なだけに、かえって30代の現在の主人公達の苦悩が痛々しい。大人になってから友達を作るのは大変だ。高校生の頃のように友達を作ることはとても出来ない。それは大人になれば自然と気付いていくのだろうが、大人になってから友達を作る大変さを一冊の本でしっかりと証明されたようで、読んでいて辛かった。ラストに一筋の光明が見えるのだが。