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アルヴァとイルヴァ
【文藝春秋】
エドワード・ケアリー
定価 2,310円(税込)
2004/11
ISBN-4163234705
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
安藤 梢
評価:C
エントラーラという小さな町のガイド本と、奇妙な双子(アルヴァとイルヴァ)の伝記が合わさった一冊。エントラーラの町の案内をしながらも、語られるのはその町に暮らし一生町に捕らわれ続けた双子の物語である。町の歴史と共に双子の歴史は語られる。それにしてもこの双子、奇妙である(アルヴァは全身に世界地図の刺青を入れる)。その奇妙さが物語に独特の雰囲気を漂わせている。成長していくに従って、外に向かっていく姉と内に向かっていく妹。全く反対の方向に向かいながらもお互いの存在を捨て去ることはできない。離れようとすればするほど、激しい痛みを伴い引き戻される。双子というものは、お互いを自分の一部と思うものなのだろうか。双子の不安定さが何となく町全体を、しいては物語全体を不安で神経質なものにしている。
磯部 智子
評価:AA
こういう作品を読むと、翻訳小説の醍醐味だなぁ、と唸ってしまう。舞台はヨーロッパのどこかの街エントラーラ。歴史と趣のある建造物がありエントラーラ語を話す。その地で生まれた双子アルヴァとイルヴァ、初めて喋った言葉がお互いの名前だというそんな二人の物語。アルヴァのこの自伝(という体裁)には、独特のユーモアと皮肉がある。外の世界を全く知らない二人には、切手ひとつで世界と繋がる窓口とも言うべき郵便局に勤めていた両親や、郵便局長だった祖父がいたり、186センチの長身にもかかわらず熱中したのが、家の中に作る小さな世界、エントラーラの街並みの粘土模型だったりする。又、E・ケアリー自身が実際に再現したその塑像の写真が数多く挿入されている。作家のそういう性質、理念を具体化する世界の住人・造形作家でもあるという点が、作品を大きく特徴付け、非常に緻密な架空の街とそこに住む奇妙な人々をこってりと作り上げている。アルヴァのとった数々の奇異な行動やイルヴァのひきこもり、消化しきれないものは多々ある。赤ん坊の離乳食のようにグチュグチュに潰れた飲み下し易いものではないが、折角の歯と顎を使って歯ごたえのあるものを味わう、そんな読書があってもよいのではないかと思う。
小嶋 新一
評価:B
最後にヨーロッパを旅したのはもう随分と前になるなあ。95年、97年と一年おきで旅してから久しい。なかなか長期の休暇もとりにくいしね。でも次に機会があるなら、この本を片手に、ヨーロッパのはずれの小国にある、エントラーラという古めかしさの残る街を、ぶらっと歩いてみたいなあ。そんな気持ちになってしまった。
架空の街エントラーラを舞台に、双子の姉妹アルヴァとイルヴァがたどった数奇な人生をひも解いていくのが主題。しかし、この小説の主人公はこの姉妹以外にももう一つあって、エントラーラという街がもう一つの主人公でもある。そう、この小説の中では、街が生きている!
アルヴァとイルヴァが人生のほとんどを注ぎ込み、こつこつと手間暇かけて時間をかけて作り続けたのが、エントラーラの街の壮大な模型。そして、それを追いかけながら、エントラーラという街そのものを描き出していくこの小説自体も、こつこつ手間暇かけ、時間をかけて描きあげられています。職人さんの魂のこもった手工芸品の趣き、ですね。
三枝 貴代
評価:A
父が心臓病で亡くなったその時に、アルヴァとイルヴァは双子の姉妹として生まれた。そっくりだった二人はやがて、アルヴァは外国を夢見、イルヴァは内へとこもっていく。
最初は、ヨーロッパが舞台で、内気な少女が主役ということで、映画『アメリ』のようなお話なのだろうかと思っていたのです。しかしこれ、舞台は東ヨーロッパ的でありながら、印象はマジックリアリズムなのです。マジックリアリズムのような妙な事件がおこるわけでもないのですが、登場人物の行動やものの考え方が、完全にマジックリアリズム。いったいどこの作家さんですかー?と思ったら、イギリスの人。しかし全然イギリスっぽくありません。どうも世界各地を放浪している内に、ヨーロッパ人というよりも、移民の国の人のセンスに近くなったようで。
さまよう作家の、故郷を愛する切々とした思いと、どうしようもなく外国に引かれていく心とを、双子のそれぞれにたくし、愛しあい憎みあい、求めあい疎みあう、どうしようもない愛の法則の物語として、切ない幻想的な、他に似たもののないお話ができあがっています。
寺岡 理帆
評価:B
双子の姉妹・アルヴァとイルヴァの描き方が強烈。外の世界に憧れるアルヴァ、町の中に、部屋の中に、自分の中に閉じこもるイルヴァ。対立したり惹かれあったり離れたり寄り添ったりするふたり。この本は架空の町である「エントラーラ」の観光案内を兼ねているのだけれど、この町の不思議な存在感も特筆すべきこと。けしてフランスやイタリアのように観光客を吸い寄せるような町ではないんだけれど、ここまで「特にこれといった特徴もない」町をきちんと描き出すというのはある意味、すごいことではなかろうか。
ふたりは「町を救った双子の姉妹」と呼ばれるのだけれど、姉妹自身にはまったく町を救おうという意志はない。彼女たちはそうせずにはいられない必然性から粘土の町を作り続けた。
そして結局、ふたりは救われたのだろうか。つねに外界に心が向いていたアルヴァと内面に向いていたイルヴァ、置いて行かれたのはどちらだったのだろうか。