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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
タイドランド
【角川書店】
ミッチ・カリン
定価 1,680円(税込)
2004/11
ISBN-4047914827
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:A
なんだか話が掴めなくって放り出しそうになった。おもしろくなるのは、突然! 両親をなくし、天涯孤独となった女の子が、指人形と対話することで空想の世界をこしらえ、まわりの人たちを“幽霊”みたいにして言い表していく。そんな倒立に気がつくとスイッチ・オン。セックスを知らない少女は、男の股間に女がうずくまる現場を目にして血を吸っているのだと怯えてしまう。未知なるもの、受け止めがたい現実を前にして強張ってしまっている子供の心の中が、ひねった語り口から覗けてくる。死んだ父親は眠っているだけなのだと言い聞かし、腐敗していく遺体と暮らすあたりは不気味だけど、彼女の有り様がわかってみればそれも違ってくる。近所に住む恐そうな姉弟(迷い込んだ子を煮込んで食いそうなデブっちょ女、砂漠の田舎町なのに水中ゴーグルと海水パンツ、頭に手術痕の少年)も最後はいとおしい。テリー・ギリアムが映画にするらしいけど、これは見たい!
安藤 梢
評価:C
母親が麻薬中毒で死に、父親に連れられて来た死んだ祖母の家で父親もまた死んだところから、主人公ジェライザ=ローズの妄想の世界は始まる。たった一人になった途端、まるで現実逃避のように少女の意識は内へ内へと向かっていく。少女の境遇をかわいそうだと思う暇もないくらい目まぐるしく妄想が立ち現われ、くらくらする。その圧倒的な非現実に飲み込まれてしまう。バービー人形の頭を指にはめ、汚れた家の中を探索する少女の姿は想像しただけで気味が悪い。視覚的にも見事にぞっとするポイントを押さえている。嫌いな人は本当に嫌いになってしまいそうな濃厚な本だが、一度はまったらやみつきになるような狂った世界が延々と続く。少女が狂えば狂うほど、その孤独感が浮き彫りになっていく。全て少女の見ていた夢で、誰一人実在の人物はいないというオチになるんじゃないかと思うくらい現実とはかけ離れた異質な物語だった。
磯部 智子
評価:B
うぐっ、これは現実か、夢か幻か。それとも…って延々と?が続く作品。主人公は11歳のジェライザ=ローズ、ヤク中の母さんが過剰摂取で死んだ日、父さんは家に火をつけた。そんな壊れた父さんとテキサスにある死んだおばあちゃんの家に移り住んでからの物語。父さんはそのうち椅子に座ったまま動かなくなり、頭だけのバービー人形と探検をはじめたローズの目に写る世界は…学校へ行った事も無い孤独な少女の視点で語られるダークな世界。不思議な力で何千年も腐らない沼男、養蜂家のような帽子の幽霊女デル、てんかんの発作で脳みそを切り取られたディキンズ…おそらくローズはヤク中の両親から虐待を受けており、その死によって更に妄想が暴走したとも考えられる。只それは悪夢のようであっても非常に視覚的でローズを直接的に傷つけるものではなく、ラストにも救いがある。
小嶋 新一
評価:B
田舎町といえば普通は澄みきった空、頬を過ぎ去る心地よい風、きれいな夕焼けといった情景を思い浮かべるものだろう。しかし、「タイドランド」で描かれるテキサスの田舎町に、そんな姿を期待してはいけない。のどかな風景が登場するのは実に最初の1ページだけで、それ以降は幻想的で淫靡な世界が待ちかまえている。
麻薬の打ちすぎで死んだ母親を町に残し、ジェライザ=ローズが父親に連れられてたどりついたのが、片田舎の汚れきったあばら家。荒涼と広がる草原。天地がさかさまになったままのバスの残骸。父親はリビングで麻薬を打ったきりずっと眠り続けているので、ジェライザ=ローズの唯一の友は、頭だけのバービー人形。そこに現れた奇妙な隣人たちが、彼女を不思議な世界にあざなう。
この小説を満たしているのは、死が放つ強烈な匂いと、懐かしい土のかおり。おぞましい世界ではあるが、それがなぜか実に甘美でもあり、読後に強烈な印象を残す。妙な夢を見て、汗をぐっしょりかいて眼を覚ました感じ、と言えばいいか。大人のためのおとぎ話。
三枝 貴代
評価:A+
ロックスターの父とその若い恋人だった母との間に、ジェライザ=ローズはうまれた。この頃では、父も母もすっかりジャンキーになってしまっている。母がついに死んでしまった日、ローズは父とテキサスの祖母の家へと旅だった。デンマークに行くはずだったのに。祖母の家につくと、父は死んだふりを始め、動かなくなった。一人で外にでたローズは、太った幽霊女にであった。
なんと表現してよいのかわからない不思議な小説です。これが客観的な神の視点で描かれたならば悲惨きわまりない話のはずなのですが、幼い少女の目を通したがために世界はファンタジーに満ちあふれてしまうのです。乾いたテキサスの地が干潟と表現され、蒸し暑い蛍の季節が冷たく暗いあたかも彼らが夢見たデンマークの冬のように描かれます。悪夢の苦しさがどこかしら懐かしい感触を伴うあの感覚を目覚めたまま味わって、くらくらと目眩がしました。今晩はうなされそうです。
寺岡 理帆
評価:C
ファンタジー? 幻想小説? うーん、それとも妄想小説…。とにかく奇妙な味わいだった。主人公である11歳のジェライザ=ローズはほとんど一人きりで行動しているのだけれど、彼女はいつでもクラシックや他の友達と一緒だ。現実と妄想との区別のない世界。女の幽霊に出会ったことから彼女の生活は少しずつ動き出す。
確かに読みやすいしそれなりにおもしろいんだけれど、妄想世界が特別イメージに溢れるめくるめく世界というわけじゃない。飛び抜けて際どくダークな世界、というわけでもない。最初彼女の遊び友達が頭しかないバービー人形、ということで少しギョッとしたけれど、それも手に入れた経緯を知ってしまえばどうということもないし。妄想というならジェライザ=ローズよりも幽霊女・デルの妄想の方がある意味スゴイよ…。
11歳のちょっと創造力の豊かな少女の目から見たテキサスの片田舎の生活。
とてもドキドキして読み始めただけに、ちょっと期待はずれだったかなあ…。
福山 亜希
評価:C
不思議な情感を持った物語だ。乾いたような、湿っぽいような、簡単には掴みがたい独特のテンポでストーリーが展開していく。バービー人形が登場するのもかなり突拍子ない設定だ。しかもバービー人形が全然可愛くない。だからといって怖い話とは思わないのだが、文の間からグロテスクな雰囲気が漂ってくるのがたまらない。ファンタジーのようでもありつつ、ホラーのような恐ろしさを漂わせるこの本は、一言では表現できない。お化け屋敷の中を、次にまた何か起りそうだぞと背筋を寒くしながら歩いているような緊張感が漂っているのだ。読み終えた時には、なぜだかほっとしてしまった。