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「京都水無月大賞」決定!

2008/06/02更新

2ヶ月にわたり選考しておりました第一回京都水無月大賞が決定しました!

『レインレイン・ボウ』  加納朋子

集英社文庫 2006/10

一次投票の結果は下記の通りになりまして、『レインレイン・ボウ』と『日曜の夜は 出たくない』が僅差だったため、決戦投票を行い、その結果、『レインレイン・ボウ 』が大賞作品となりました。

1位 『レインレイン・ボウ』
2位 『日曜の夜は出たくない』
3位 『ほんものの魔法使』
4位 『A HAPPY LUCKY MAN』
5位 『ジミー・ザ・キッド』
6位 『あの夏、風の街に消えた』
7位 『小鼠 ニューヨークを侵略』『サイケ』『受難』『スティル・ライフ』

【水無月会メンバーのコメント】

●アバンティブックセンター 安西さん
ごく普通の日常の中で、でも少しずつ淡々と、成長していっている。人生ってそんなもの。 そして結構捨てたもんじゃないって思わせてくれる女性達。 爽やかな読後感にひたれる一冊。永く読みつがれていってほしい一冊です。
●紀伊國屋書店MOVIX京都店 西尾さん
誰でも誰かに共感し、自分を見つめなおせる気がします。青春小説の様でありミステリ要素も感じる不思議な作品。最後に少しずつパズルのピースがうまっていく様な繋がり方が、グッときました。
●三省堂書店京都駅店 中澤さん
いい小説書かはりますな(悦)女の子から女へ。その変化にともなって姿を変える女同士の友情の複雑怪奇さよ。分かる分かるよー!女って大変なんです。でもそんな女たちが、とってもかわいいとも思うのです。
●ジュンク堂書店京都BAL店 市木さん
最後まで隠されている謎が本書を引き立たせているのは明確である。ひとつひとつの短編がラストにつながっていくところはさすが加納朋子!本書を読んだ方はきっと彼女のファンになるはず。男性の方にもお薦めです。
●三省堂そごう心斎橋店 鶴岡さん
かつて同級生だった7人の女性たち。それぞれの生き方や考え方を鮮やかに描くだけじゃなくて、ちょっとしたミステリーの趣向をこらしてあるのです。登場する女性達皆ステキで、ああ。良いもの読んだなって素直に思えます!
●ふたば書房販売部 佐藤さん
友だちが友だちをどう思っているかをこっそり覗きみるかんじで、ドキドキしながら読みました。7人(本当は9人)もいると、いろいろな関係があります。女の友情にも相性って重要かも。
●大垣書店営業本部 吉川さん
女の友情は、共感、信頼、競争心、プラスほんのちょっとの悪意で出来ている!?そんなスパイシーな絆で結ばれた、7人の女性のお話。程よい辛さが食欲を誘うように、ページを繰る手が止まりません。虹色の味わいをぜひご堪能ください!
●恵文社バンビオ店 大瀧さん
自分の嫌なところやコンプレックス。抱えている問題や感情は、すぐに解決しないものばかり・・・でも、心持ちひとつで前を向いて、良いと思える方向に進むことができるんです。「私もがんばろう!」って思える1冊、ぜひ!
●ジュンク堂書店京都店 山本さん
登場人物のそれぞれに共感や憧れを感じます。そして、読み終わったあとは、なぜだか少し自分が好きになる、そんな、ちょっと不思議な小説です。第一回水無月大賞にふさわしい、とてもすてきな一冊です。

【千葉会からもコメントをいただきました!】

●旭屋書店船橋店 安田さん
高校時代の同級生である女性7人の、それぞれの人生模様。仲間のひとりの死から浮かび上がる、想いや事実。ちょっと胸がちくりとするような思い出も、著者は手のひらで そっとすくいとって、あたためるように包み込む。
大丈夫、きっと。今を一生懸命生きればそれで、と。
彼女たちのささやかだけれど力強い生き方を、にこっ と微笑んで応援したくなるような、そんな話です。加納さんの、人を見つめるまなざしの温かさが好きです。
●ときわ書房本店 宇田川さん
“加納朋子”という陽光が、七人の“雨上がり”を七色に彩る――。だが、よく見て欲しい。じつはその彩りが八色だと気付いたとき、この陽光の真の温かさが胸に沁みるだろう。
※『月曜日の水玉模様』と併せて読むと、さらに愉しめます。

京都の参加書店にて展開して参りますので、ぜひ京都にいらした際はのぞいてみてく ださい!

店舗画像

「京都水無月大賞」創設!

2008/03/07更新

京都の書店員さんが、第3回酒飲み書店員大賞に参加されたあと、「ほな京都でもはじめよか!」と、少しずつ準備してきた「酒飲み書店員京都支部」がついに開催決定!題して

『第1回 京都水無月大賞』。

「おもしろい本あるえー!」参加書店員は京女(こっそり京男1名)。6月1日発表の、第1回の結果を楽しみにしておくれやす~。

  • ジミー・ザ・キッド
  • A HAPPY LUCKY MAN
  • レインレイン・ボウ
  • あの夏、風の街に消えた
  • 小鼠ニューヨークを侵略
  • 日曜の夜は出たくない
  • スティル・ライフ
  • サイケ
  • 受難
  • ほんものの魔法使

「京都水無月大賞」ブログ:http://d.hatena.ne.jp/minaduki_taisho/

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アバンティブックセンター京都店 安西さん推薦

『ジミー・ザ・キッド』  ドナルド・E.ウェストレーク著(角川文庫)  1999/05

ウエストレイクの昔からのファンでして、この面白さをどう表現していいかわかりませんが、泥棒達のなんともとぼけた会話、非情にみえてどこか抜けてる憎めないキャラ。本当のエンターテイメントとはこういう話をいうのです!心温まるお話でも、ためになるお話でもありませんが、笑って楽しんでいただける素敵なシリーズです。
これは第3作ですが、私のマイベストです。

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A HAPPY LUCKY MAN
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恵文社バンビオ店 大瀧さん 推薦

『A HAPPY LUCKY MAN』  福田栄一(光文社文庫)  2002/03

めんどくさいことは何故か一度に起こる…
採点厳しい教授のレポート締切(落としたら留年)、突然寮長代理、友人の彼女失踪、寮生チカン疑惑、バイト先倒産の危機、色ボケ祖父の監視、ライバル男子寮とステキ女子寮との3寮合コン―まあ次から次へと難題が!

チャラそうに見えてお人よし、困っている人をほっとけない男子大学生が、こんな面倒事をおしつけられ、最初はいやいやながらも何とか解決しなきゃと奮闘するドタバタコメディ!
主人公がてんてこまいになればなるほど面白い、ちょっぴり気の毒な気がしますが、笑えるものは仕方ない。ラストの着地もお見事!どうぞ楽しんでください!

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レインレイン・ボウ
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ふたば書房販売部 佐藤さん推薦

『レインレイン・ボウ』  加納朋子(集英社文庫)  2006/10

同じ高校時代ソフトボール部だった7人の女性たちの話、それぞれが主役の短編。一人の死を通して再会する。ミステリータッチでもある青春小説。高校時代には濃い女の友情が結ばれていることが伝わってくる。しかしたとえ、その時、確かな友情があったとしても、25歳ころには状況がすっかり変っている。この話を読んで共感するは多いだろうと思う。

文章は淡々と書かれているので、女の友情について、普段理解できないとお悩みの男性にもおもしろいのではないだろうか?

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あの夏、風の街に消えた
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ブックファースト四条大宮店 田井さん推薦

『あの夏、風の街に消えた』  香納諒一(角川文庫)  2007/10

正直あまり読書家じゃないのですが、続きが気になって気になって!一気に読んでしまいました。

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小鼠ニューヨークを侵略
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三省堂書店 京都駅店→そごう心斎橋店 鶴岡さん推薦

『小鼠ニューヨークを侵略』  レナード・ウイバーリー(東京創元社 創元推理文庫)  1976/12

だーいぶ古い本なんですが…でも今読んでも全然古びてないし、なにより笑える。しかも!笑えるだけじゃなくて、皮肉がきいてるのでドキリとさせられる部分も。タイトルは物騒ですが、ユーモア小説の傑作だと思います。

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日曜の夜は出たくない
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三省堂書店京都駅店 中澤さん推薦

『日曜の夜は出たくない』  倉知淳(東京創元社 創元推理文庫)  1998/01

「それにしてもお前さん。
よくもこんなに面白い本を本棚に眠らせて置くなんて罪なことをしたもんだね。」
猫丸先輩のこんな声がどこからともなく聞こえてきます。
「ごめんなさい~!!」とほんま平謝り!
我ながらまことにもって罪深し。反省しきり。懺悔します。
神出鬼没、自由奔放、傍若無人、舌鋒鋭利、気ままな黒猫さながらの名探偵・猫丸先輩が独特の語りでもって紐解く謎の数々の本格っぷりと、最後の最後でドカンと仕掛けられたこれまた驚天動地の隠し玉!いやはや不肖中澤、すっかり感服いたしました 。

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スティル・ライフ
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紀伊國屋書店MOVIX京都店 西尾さん推薦

『スティル・ライフ』  池澤夏樹(中公文庫))  1991/12

淡々としていますが、詩的な表現でサラリと心に響くものがあります。
とにかく、冒頭の2ページだけでも
この本を買う価値があるのではないでしょうか。

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サイケ
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ジュンク堂書店京都店 山本さん推薦

『サイケ』  姫野カオルコ (集英社文庫)  2003/06

「ツ、イ、ラ、ク」「ハルカ・エイティ」と、話題作、直木ノミネートが続いている姫野さんを「有名でない」としていいのか(特に関西で)迷ったのですが、姫野作品の中でも比較的読者を選ばない(且つ「埋もれた」感のある)ものを選びました。
ヤスダコウドウが燃え、少年ジャンプがどんどん「ぼく」をだめにしていって、モーレツ、サイケな70年代はすぎていく…
70年代を知らない私にもめっぽう面白い小説です。表紙のインパクトも上々です。

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受難
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大垣書店営業本部 吉川さん推薦

『受難』  姫野カオルコ(文春文庫)  2002/03

「女の子に(だけ)読んで欲しい、とっておきのおとぎ話」
女は生まれながらにして女なのではなく、なろうとして学び努力して初めて女になる、とよく言われます。
でもその努力の仕方って正解がないし、皆さま手探り状態なのでは!?
そんな全ての悩める女子に捧げる、卑猥な言葉で綴られた、限りなく純粋な乙女の物語。正解は書いていないけど、私は救われた気がしました。
笑いながら読み始めても、最後は必ず泣いてしまう大好きなお話です。

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ほんものの魔法使
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ジュンク堂書店京都BAL店 市木さん推薦

『ほんものの魔法使』  ポール・ギャリコ/著 矢川澄子/訳 (筑摩文庫)  2006/02

「名訳矢川澄子でおくる、『ほんもの』の小説。断然ブラボー、ギャリコ!!」

マガイモノ(奇術)に満ちた世界にやってきたのは正真正銘の魔法使い。
タネや仕掛けを熱心に追い求める人たちにとって魔法使いは邪魔者です。
幾度の苦難を乗り越えてアダムは、魔法使いの称号をもらうためにがんばることになるでしょう。
彼は誰も憎むことなく淡々と自分の真実を世界に開いていきます。
しかしマガイモノの世界に生きる人たちにとって真実とは何でしょうか。

本当に「ふつう」のファンタジー小説ですが、いかにふつうであることが「ふつう」でないかをわからせてくれる主人公アダムに感心させられます。
でもやっぱりどう読むかなんて、読む者その人にゆだねられているのでしょう。
それにしても魔法っていいよなぁ。

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