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2007年11月

松岡恒太郎の勝手に目利き

『密封 奥右筆秘帳』 上田 秀人/講談社文庫

 見知った名前を少し前に新聞の新刊案内の欄で見つけた。まさかとは思ったが調べてみるとご本人であった。外回りの時に担当した歯科医の先生、小説家志望で当事小さな文学賞で佳作を獲られたと喜んでいらっしゃった顔が思い出される。
 遅咲きのデビューから十年、ジワリジワリと実力をつけてきた著者の渾身の新シリーズにして、初の大手出版社殴り込み作品。
 主人公は、幕府の書類決済を一手に携わる要役奥右筆組頭の立花併右衛門と、隣家の次男坊にして涼天覚清流の使い手柊衛悟。
幕政の闇の部分に触れてしまった彼らに立ちふさがる強大な敵とは。
 読みながら僕は考えた、やはり時代小説こそが最強のエンターテーメントなんじゃなかろうかと。だってここには胸のすくようなドラマがあるのだ。
 まだまだ化けます、これから活躍必至、決して身内びいきじゃなくってね、一読の価値ありの時代小説ここに登場。

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