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2008年4月

佐々木克雄の勝手に目利き

『平成大家族』 中島京子/集英社

「家族」って言葉に心の琴線がピンと弾かれる人、多いでしょう。テレビドラマでもお馴染みの設定ですね。古くは小林亜星がヒデキをブン投げたり、吉岡秀隆が田中邦衛に反抗したり、最近では森尾由美ですか──まあ、みんな好きですよね、家族。本作は、そんでもって「平成」がついたものだから、これは安心して21世紀の家族ドラマを見られるなと、所謂「タイトル買い」で読んでみたら、アタリ。素晴らしい家族が待っていました。
 東京都杉並区にお住まいの緋田さんご一家は、リタイアした老夫婦と妻の母、ヒッキーの長男30歳。それにワケあって戻ってきた長女一家と出戻りの次女……ほーら、ドラマ的な展開が起こらないハズがない。案の定、それぞれが巻き起こす問題が短い短編となって、緋田さん宅のドタバタが長きに渡り繰り広げられるのです。「スタバ」や「ネットトレーダー」「要介護2」などなどが出てくる「今」を描いた家族小説は、誰にでも受け入れられるでしょう。

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『本棚』 ヒヨコ舎/アスペクト

 本の雑誌ファンの方(勿論このWEB版も含む)なら大きく頷いていただけると思うのだが、知人友人宅に招かれたとき、どうしても本棚に目がいってしまうのではなかろうか。
 本書は、そんな本読みたちの萌えツボを刺激する「あのヒトの本棚、覗いちゃいました」企画であります。覗いた相手は全部で15人、個人的には大ファンの作家さん、話題の人も登場して、萌えまくり。各人、本棚写真が4ページ、インタビューが2ページのライトな内容なのですが、撮影された一冊一冊を凝視してしまい、読了時間は普段の倍だった。
 思うのは、やはり本棚ってその人を表現してるな、と。たとえば般若心経、ボブ・ディラン、ヌード写真集が混在するのってどうよと思うが、みうらじゅん氏の本棚と分かれば納得。
 それとこの本、こんな楽しみ方もあります──大好きな作家さんの本棚に、自分も持っている本があった……ムキャー! みたいな(←スミマセン、気持ち悪いですか)。

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