元気になりたければ地方紙を読め!?~『不況に負けない経済グッドニュース 』

不況に負けない経済グッドニュース
『不況に負けない経済グッドニュース』
みんなの経済新聞ネットワーク
東京書籍
1,470円(税込)
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 「旅先で読む地方の新聞がおもしろい」。

 そう語るのは経済評論家としてテレビや雑誌でおなじみの森永卓郎さん。多数の講演を抱える森永さんは、1年の半分近くを地方で過ごすそうだ。その際、森永さんが楽しみにしているのが「その土地の新聞を読むこと」。
 
 地方の新聞には全国紙には載らないような小さいニュースが掲載される。独特の行事や風習が色濃く残る地方には、東京などの都会ではありえない話題が豊富で、そこからユニークなビジネスが生まれることもある。

 森永さんが推薦する『不況に負けない経済グッドニュース』は、全国各地のご当地ニュースを発信するウェブ新聞「みんなの経済新聞」の記事の中から"いいニュース"を厳選した地方ニュースの総集編。

 石川県発のおからを再利用した「溶けないソフトクリーム」の記事がヤフートピックスに上がり一躍ヒット商品になったり、横浜発のmixi(ミクシィ)内のコミュニティ「I love yokohama【横浜】」の有志がサンタのコスプレをして12月のみなとみらいで清掃活動をおこなったりなど、全国紙やテレビではなかなかお目にかかれないニュースばかりで「地方っておもしろいな」と次々にページをめくってしまう。
 
 なかでも秀逸なのが、3年間乗客に幸せのクローバーを配り続けた秋田県のタクシー運転手・今井泉さんの記事。ある日、今井さんの車に乗り込んだ女の子の表情が暗い。理由を尋ねると、「彼氏とけんかした」とのこと。たまたま持っていた四つ葉のクローバーを彼女に手渡すと、涙が出るほど感動されたという。それ以来、今井さんは四つ葉のクローバーを探しては乗客に手渡すようになった。これまでに渡した四つ葉の数は7000本。そのうち今井さんのタクシーは「幸運を運ぶタクシー」として地元で評判になったそうだ。今年の4月には今井さんのエピソードを集めた『幸せを運ぶタクシー』がダイヤモンド社から出版された。

 インターネットの普及によって紙の新聞を読む人は激減しているが、ウェブの新聞であればローカルな話題を全国の人が気軽に読むことができる。最近の大手メディアから配信されるニュースは、過激な事件や企業の不祥事など、センセーショナルで心が暗くなるものばかり。そこにきて、こうした地方発の心温まるエピソードやユニークなアイデアに触れると「日本もまだまだ捨てたもんじゃないな」とホッとする。地方の話題にこそ、日本が元気になるヒントがあるのかもしれない。

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