「役不足かもしれませんが、頑張ります」は間違った敬語?~『言えそうで言えない敬語』

言えそうで言えない敬語 (朝日新書)
『言えそうで言えない敬語 (朝日新書)』
本郷 陽二
朝日新聞出版
735円(税込)
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 最近、やたらと「させていただく」を乱発する人がいる。例えば、会社の役員を前にして「それではプレゼンを始めさせていただきます」というのはOKだが、「私は○○大学を卒業させていただきました」となるとNG。

 「させていただく」は、「相手や第三者の許可を受けて行い」「そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちがある」場合に使うのが正しい使い方。むやみに使うと聞き苦しくなるので、相手の許可が明らかに必要な場合だけとし、基本的には「私は○○大学を卒業いたしました」とすればいい。

 敬語を最初に意識するのは、小学校の先生に対して。中・高・大学で部活動をするようになると、上級生や先輩も敬語の対象になる。運動部に属して「自分は○○であります」といった独特の敬語がクセになる人、あるいは学生時代のファミリーレストランなどのアルバイトでマニュアル敬語に染まる人も少なくない。しかし、そんな偏った経験だと社会人になった時に多かれ少なかれ"壁"にぶつかる。文法的に正しくても、社会人としては「あれ?」というような言い方もあるから注意が必要だ。
 
 ただ、敬語は文法のポイントさえ暗記してしまえば応用がきくもの。ビジネス関連の著書が多い本郷陽二氏の『言えそうで言えない敬語』は、クイズ形式で敬語力をチェックすることができ、シーンごとにまとめられているから敬語の手引きとしてもいつも手元に置いておきたい一冊。

 ちなみに、新規プロジェクトで担当兼務を申し渡された時などに「役不足かもしれませんが、頑張ります」、昇進内示を受けた時の「やっと苦労が報われました。感無量でございます」、新しい職場に案内されての第一声「精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします」などこれらはすべてNG表現。では、正しくはなんと言えばよかったと思いますか? 

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