ごみを34分別する徳島県上勝町~『ゴミ分別の異常な世界』

ゴミ分別の異常な世界―リサイクル社会の幻想 (幻冬舎新書)
『ゴミ分別の異常な世界―リサイクル社会の幻想 (幻冬舎新書)』
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 ごみの分別に疑問を感じたことはないでしょうか?

 「引っ越した先では、紙くずと一緒に『可燃ごみ』として出していた卵のパックを『資源ごみ』として分けなければならなくなった」「市役所の言う通りに缶とペットボトル、紙容器、プラスチック容器、古新聞、乾電池...と細かく分けはじめたら、狭いキッチンにごみ箱があふれてしまった」「隣の町では分別が4つですむのに、ここでは20分別もある」

 どこの市町村にも、ごみの分別の決まりがあります。一口に分別といっても、家庭から出るごみのほとんどを燃やしている町から、分別の種類が多すぎて「分別ストレス」に陥りそうな町まで千差万別です。

 各自治体の広報チラシやホームページでよく目にする標語に、「混ぜればごみ、分ければ資源」があります。確かに分別やリサイクルでごみが減り、環境がよくなるのなら多少の手間やお金をかけるのも我慢ができます。

 しかし「本当に環境はよくなっているのか?」と疑問を感じないわけでもありません。1990年代から各市町村で本格的にはじまったごみの分別が、どういう結果をもたしたのか、そろそろしっかりと見極める必要があるようです。

 愛知県の碧南市では、ごみを26分別しています。これは全国で2位の多さ。しかしこの碧南市では、分別して全体のごみ量が減らないどころか、肝心のリサイクル率も一向に上がっていないそうです。また、分別の量で全国1位を誇る徳島県上勝町では、34もの分別をおこなっています。しかし、町が収集業務をほとんど行っていないので自家用車でごみを運ばなければいけないという問題点を抱えています。碧南市と同様に上勝町でも「ごみは減らずに、経費が増えた」という結果になったそうです。

 ごみの世界では、いま様々な矛盾や弊害が現れています。それは、皆さんが住む町も同じ。日本中の自治体が頭を抱えるごみ問題のいい解決策を、どなたか思いつかないものでしょうか。

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