NOと言える余地を残すお願いの仕方~『「バカ丁寧」のすすめ 』

「バカ丁寧」のすすめ
『「バカ丁寧」のすすめ』
本間 正人
中経出版
1,470円(税込)
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 ビジネスシーンで届いたメールを読んだ時、「この人は言い方が厳しいなぁ」「攻撃的な文面のメールを送る人だなぁ」と思ったことがありませんか? もし、そう思ったとするなら、おそらくお願いや依頼の仕方が、ストレートだったからではないでしょうか。

A:「誠に恐縮ですが、月末までに資料をお送りください。ご不明な点がございましたら、いつでも対応する準備がありますので、ご連絡ください。ミーティングの出欠に関しましては、当方の準備の都合上、3日以内でのお返事をお願いします。 以上」

B:「月末までに資料をお送りいただきたいと思っているのですが、ご都合はいかがでしょうか。ご不明な点がございましたら、ご連絡をいただければ幸甚に存じます。ミーティングの出欠に関しましては、お忙しいところ恐縮ですが、準備の都合がございますので、3日以内にご返信いただくわけにはいかないでしょうか。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。」

 Aはぶっきらぼうで、メールを受け取る側の都合や裁量をまったく考えていない印象を受けます。お願いや依頼であっても、命令されているような気分にもなるものです。というのも、「~ください」「~お願いします」という表現は、礼を欠くものではありませんが、一方的で有無を言わせない表現だからです。
 
 誤解がないようにストレートに書いたほうがいいという人もいますが、受け取る方としてはきつい言い方をされたという印象を受けてしまいます。
 
 それを防ぐ意味でも、お願いをするときには、原則的に相手にNOと言える余地を与えることが大切です。Bの「ご都合はいかがでしょうか」「ご返信いただくわけにはいかないでしょうか」といった言い方には、NOといえる余地が残っています。

 こうした婉曲話法はメールでは必須です。迅速な判断、仕事のスピードアップが求められ「簡単」「便利」「効率」が美徳とされる現代、社会のあらゆるところで目先のことを"こなす"ことだけに夢中になりつつあると、NPO学習学協会代表理事の本間正人氏は警鐘を鳴らしています。著書『「バカ丁寧」のすすめ』では、仕事のレベルを向上させる"バカ丁寧"な心得が数多く紹介されています。現代を生きるビジネスマンのバイブルとなる一冊です。

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