「人生の経験はクジラみたいなもの」と弘兼氏語る~『気にするな』

気にするな (新潮新書)
『気にするな (新潮新書)』
弘兼 憲史
新潮社
714円(税込)
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 『課長島耕作』シリーズなど数々のヒット漫画を生み出している漫画家、弘兼憲史さん。弘兼さんは元々会社員だったことは有名な話。そこでの経験がその後の漫画家生活に大きな影響を与え、特に島耕作シリーズでは様々場面で見られる会社員ならではのリアルな人間関係の苦悩や葛藤などが、サラリーマンから大きな共感を得ています。

 とはいえ、弘兼さんが会社員になったのは、漫画家になるためのネタ探しではもちろんありません。大学で漫研に入った理由は、単に漫画を読むのが好きだったから。漫画家の夢はとうに諦めており、卒業後は松下電器産業(現・パナソニック)に勤務。どこかにひっかかっていた漫画家の夢を持ちながら会社員を3年続けた後、漫画家へ転身しました。

 このような話を聞くと「自分も本当はやりたいことがあるのに今は......」と思う方もいるかもしれません。しかも、そう考えるとなんだか急に今の仕事が面白くなくなってしまったり、意欲がわかなくなってしまったりなんてことも。

 しかし、弘兼さんは言います。「私は人生の経験はクジラみたいなものだと考えています。 今はどうだか知りませんが、昔はよく教科書や子供向けの本などに、『クジラは捨てるところがない』と図解入りで載っていたものです。(中文略)人生の経験も同じではないでしょうか。考え方ひとつで、どんな経験でも使える、捨てるところはないのです」。漫画家になったことで役立ったサラリーマン経験は、ネタだけではないそう。「編集者への対応の仕方や、場の空気を読むといったことは、学校を出てそのまま漫画家になっていたら、身についていなかったでしょう。様々な個性を持つ原作者と仕事をする際にも、宮仕えの経験が役に立っています」と話します。

 将来のことで悩んでいる就活中の学生、転職などを考え中の会社員の方。そんな方は「人生の経験はクジラ」という言葉を胸に、まず目の前のできることから始めてみませんか。先のことを考えると不安ばかり。それが大きくなってしまうと、踏み出せるものも踏み出せなくなってしまいます。現状を悲観せず一歩ずつ着実に歩けば、弘兼さんのように叶えたい道の扉が開けるかもしれません。

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