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6月8日(月)

弥勒の掌 (文春文庫)
『弥勒の掌 (文春文庫)』
我孫子 武丸
文藝春秋
596円(税込)
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 潮干狩りは、車に大漁旗をなびかせてかえるほどの収穫。近所に配ってもしばらくアサリの日々になるだろう。

 今月17日搬入の新刊、爆笑酒飲みエッセイ『今夜もイエーイ』大竹聡著の事前注文の〆切が近づいているので、東京横断のじぐざぐ営業。

 そんななか著者大竹聡さんが編集長を務める「酒とつまみ」を毎号150冊以上売っている書店さんを訪問しようと思ったのだが、そこは私の通常営業のルートにはのっていないお店であった。いわゆる飛び込み営業というやつだ。

 はっきりいってこういうのは何年やっても慣れないし、考えだしたら回れ右して帰りたくなる。とは言っても日常のルート営業だって、訪問したら担当者が変わっているなんてことが日常茶飯事だから、こんなことで帰っていたら仕事にならない。

 私の対処法はとにかく何も考えないということだ。平常心を保つというのとはちょっと異なり、心ここにあらずといった心境に近づけることである。ただし営業トークは頭の中でグルグルし、気付いたら電車のなかで呟いていたるすることがある。

 あっ! もしかしたら役者に近いのかもしれない。私は営業を演じている、と思うことにしているのだ。なぜならそれくらいガードしておかないと厳しいことを言われたときに落ち込んで歩けなくなってしまうからだ。

 そんな思いを抱えて、その書店さんにダイブしてみたのであるが、「いやー大竹さんの本出るんだぁ、うれしいなあ」と歓迎の末、たくさん注文をいただいてしまった。これだから営業は辞められない。

 JR上野駅の構内にあるBOOK EXPRESS ディラ上野店では、横丁カフェでも啓文社の三島さんが紹介していた『弥勒の掌』我孫子武丸(文春文庫)が大量に積まれ、そして売れているようであった。読者の趣向が、家族小説や青春小説から、ミステリなどに動き出しているような気がする。

 夜は、柏で酒。話題は重版分もあっという間に消えていった『1Q84』村上春樹(新潮社)。いまや出版業界では新潮社を任天堂と呼び、『1Q84』を「ニンテンドーDS」を言っているらしい。

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