『「本の雑誌」炎の営業日誌』

単行本『「本の雑誌」炎の営業日誌』発売!
杉江由次(著)/無明舎/定価1,680円
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3月8日(月)

さらば、荒野 (角川文庫 (6022))
『さらば、荒野 (角川文庫 (6022))』
北方 謙三
角川書店
580円(税込)
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島―瀬戸内海をあるく〈第1集〉1999‐2002
『島―瀬戸内海をあるく〈第1集〉1999‐2002』
斎藤 潤,全国離島振興協議会,日本離島センター
みずのわ出版
2,940円(税込)
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 北方謙三さんの秘書を長年勤め、現在は書評家として活躍されている東えりかさんから「うちのボスの本で、とにかく"ブラッディ・ドール"シリーズは読んで欲しいのよ」と言われたのは、私が『三国志』や『楊家将』で遅すぎる北方謙三デビューをした頃だから何年も前だ。

 その言葉が頭のどこかに引っかかっていたのと、久しぶりにハードボイルドを読みたい気分になったので購入したのが"ブラッディ・ドール"シリーズの第1巻『さらば、荒野』 (角川文庫)。

 これがもうめちゃくちゃ面白くて、久しぶりに出社前に笹塚駅前エクセルシオールカフェに飛び込み、始業開始時間ギリギリまで読みたかったのだが、本日はそんな時間はなく、鏡明著『二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分』の見本を持って、取次店廻り。

 この本、A5判変型で448頁もあるもんだから1冊がなんと540グラム。見本出しには13冊が必要だから、私の肩には7キロの荷物と通常の営業カバンがのし掛かってくるのである。

 持ってられるか......というわけで、目黒さんが置いていったカートに載せて、ゴロゴロと引いていく。

 毎年、怒涛の新刊ラッシュとなる3月だから、当然ながら取次店の窓口も混んでいるかと思ったが、そうでもなかった。

 しかし取引している印刷会社は、始まって以来の印刷量で、土日も関係なく機械を回していると言っていた。ピークはこれからか。

 N社、T社、TA社、O社と回った後、地方小出版流通センターへ。担当のKさんとお話した後、以前から気になっていた『島--瀬戸内海をあるく〈第1集〉1999‐2002』斎藤潤(みずのわ出版)を見せていただく。斎藤潤氏は光文社新書の『日本《島旅》紀行』以来追いかけている書き手なのである。良さそうな本だったので、給料が出たら買おう。

 帰り際、『さらば、荒野』の残りページが20ページほどになっていたので、ブックファースト新宿店に寄って、2巻目にあたる『碑銘』(角川文庫)を買う。一安心。

3月6日(土)

 これまで営業日誌と名付けておきながら、浦和レッズの試合があると突然「サッカー日誌」なんていうものを割り込ませてきたのだが、今年からここではサッカーのことは書かないことにした。なぜなら「散歩の達人」という雑誌から「浦和レッズ応援記」という連載の依頼が届いたからだ。

 浦和レッズと散歩というものを無理矢理関連づけてみようと三日三晩考えたのであるがまったく見当がつかない。見当はつかないが、浦和レッズを見に行くことが仕事になるのであれば、これは妻や子供に大手を振ってサッカーを見に行けるようになるではないかと引き受けることにしたのである。

 というわけで、ここでサッカーのことを書くと、「散歩の達人」に書くネタがなくなりそうなので、私と浦和レッズの関係に興味のある方は、ぜひとも「散歩の達人」を読んでいただきたい。いないと思うけど。

それはそうと、大宮アルディージャの2番、塚本泰史。頑張れ!!

3月5日(金)

狂人失格 (本人本)
『狂人失格 (本人本)』
中村うさぎ
太田出版
1,470円(税込)
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 通勤読書は中村うさぎの『狂人失格』中村うさぎ(太田出版)。
 自己を探求し続ける中村うさぎ、今度はネット界で有名な狂った女性を自分の鏡像のように感じ、彼女を馬鹿にしている人間に復讐しようと考える。しかし中村うさぎが考えていた以上にその女性は狂っており、たいへんな騒動を起こすのであった。
 ここまで来ると中村うさぎも含めて、狂人なのか病人なのかよくわからなくなってくる。

 12日搬入の新刊『二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分』の初回注文〆作業。
 「本の雑誌」5月号の特集「○秘新作」のゲラが出来上がったので、約70人の作家さんにメールやらFAXやら郵便やらでお届けする。この企画、3年目に突入したのであるが、相変わらず私一人でやっており、気がふれそうである。アドレナリンを大量放出しながら、どうにか夕方には終える。

 夜、140BのAさんが江さんの単行本の打ち合わせでやってくる。その後、笹塚「牛角」へ。にこやかに話している私たちであったであったが、明日は鹿島スタジアムで敵対する関係であり、心の底では赤く燃える炭のように熱いのであった。

3月4日(木)

 昼、業界紙「新文化」を退職されたIさんと食事。何か面白いことができないか話し合うが、同じように書店に興味を持っていても微妙に方向が違うのが面白い。

 午後、高野秀行さんがサハラマラソンから帰国したので旅の話を聞きにいく。

3月3日(水)

 ほとんど一睡もしないまま朝イチで出社。
 携帯にメモしておいた企画データを会社のメールに飛ばし、会議資料を作成。

 会議は無事終了。私がいちばんやりたかった特集企画が通る。
 その後、新入りの単行本編集者ミヤサトと単行本の打ち合わせ。こちらも一読惚れしていた企画が、単行本にできることが決まり、思わず昼から乾杯したい気分になる。

 昨夜の本屋大賞の会議の事後処理をしてから、営業へ。

 最近とみに感じるのは売り場の若い書店員さんたちの不安というか自信のなさだ。彼ら彼女らは入社時点でバブルはとっくに崩壊しており、その影響で多くの会社はリストラをした後に入ってきてわけだ。だから仕事を教わる時間も相手もいないまま現場に放り出されている。

 かつてであれば書店員というのは入社3年ぐらい先輩社員に徹底的に基本を植え付けられ、それこそ平台だって触らさせてもらえないような世界だった。たとえ平台に触れたとしても翌朝にはすべて変えられていたりした。その基本が、今、失われようとしている。どうにか伝える方法はないのだろうか。

 ちなみに先日、私がもっとも尊敬するベテラン書店員さんのひとりに「書店員の仕事の基本」を尋ねたところ、「棚整理!」と断言された。その方は「それ以外に書店員の仕事ってないんじゃない?」とまで言っていた。