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1月24日(月)

だいたい四国八十八ヶ所
『だいたい四国八十八ヶ所』
宮田 珠己
本の雑誌社
1,728円(税込)
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 昨日は、東京堂書店にて『身体のいいなり』(朝日新聞出版)発売記念イベントとして内澤旬子さんと大竹聡さんの対談があり、またもや私は自社本でもないのに会のセッテイングしたので、お手伝いに向かうこととなった。

 最近社内では、私がボランティア精神にあふれる立派な人間なのではないかと思われているフシがあり、「伝票の打ち込みが終わらない」とか「取材の人手が足りない」とか「お茶淹れてくれ」とかいろいろ頼まれることが多い。そうではないのだ。以前も書いたとおり、私はものすごく長期戦略の計算高い人間で、25年後には内澤旬子さんも大竹聡さんも村上春樹のような大人気作家となり......以下同文。

 それにしても打ち上げのカラオケは効いた。
 あれは日曜日の夜にすることではないし、そもそもカラオケが大嫌いなのだった。しかし行ったからには歌わないのも野暮ということで、娘がいつも聞いているAKB48の「ヘビーローテーション」を歌ってみたら、妙に盛り上がった。盛り上がるとついつい頑張ってしまうのが営業マンで、そんなところで燃やさなくてもいいのについ「営業魂」に火がついてしまったのが、間違いだった。

 そんなわけで月曜日の朝だというのに、フラフラになって出社すると、返金保証という掟破りの販促で『だいたい四国八十八ヶ所』を販売してくれている、丸善ラゾーナ川崎店の沢田さんからメールが届く。

「すでに45冊も売れており、これ以上減ると多面展開が難しい。よって100冊追加注文したい」

 どひゃーである。
 私が作り売っているのは『だいたい四国八十八ヶ所』であって、『KAGEROU』ではないのだ。もしやエイプリル・フールではないかと思ってカレンダーを見たが、1月24日だった。

 社内の在庫を確認すると、注文のちょうど半分50冊あった。残りは倉庫から直送するとして、とにかくある分だけは持って行こうと、助っ人学生をひとり連れて、川崎へ。

 そこではたしかにあれほど積まれていた『だいたい四国八十八ヶ所』が半分に減っていた。

 残念ながら沢田さんは食事休憩に出ており、お会いできなかったのだが、私が浮かれている間にも沢田さんは次なる戦略というか、『だいたい四国八十八ヶ所』がより多く売れることを真剣に考えてくれていた。

「ウチで100や200売ってもそれだけでは意味無くて、極端な話、全国の書店で一ヶ月に1冊ずつ売れればそれだけでアッと言う間に数千部ですからね。ウチの数字を足がかりに、どうにかして『だいたい四国八十八ヶ所』の面白さを伝えたい」とメールが届く。

★   ★   ★

 結局、自社本でもないイベントのお手伝いにいくのも、自店の売上以上にその本、その著者のことを考えるのも、惚れるってことではなかろうか。
 
 惚れているんだな、私も沢田さんも宮田さんに。
 そしてそれ以上に本に惚れているんだとも思う。

 しかしどうしたら本の面白さをより多くの人に伝えられるだろうか。

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