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1月14日(水)

 9時出社。『果てしのない本の話』の見本ができたので取次店さん廻り。空いているので楽勝かと思いきや、私の前で受け付けしている人が、見本出し初めての様子でいろいろと質問をされている。そろそろ終わるかと思っても、また何か疑問が浮かび、質問を繰り返す。時間はどんどん過ぎていく。初心者に優しくは車の運転と一緒なのだが、見本出しは受付時間に限りがあるため、時間との闘い。絶対に負けられない闘いがそこにはある、のだ。

 背中を溶かす勢いで熱視線を送り、どうにか私の番となる。見本提出後、ダッシュして大通りへ。次なる訪問地の受付終了時間まであと15分と迫っている。もはやバスはあきらめ、やってきたタクシーに飛び乗る。どうにか間に合うだろうと思いきや、タクシーは曲がるべき道を曲がらず、「この辺、不慣れなんですよ」とつぶやかれる。嗚呼。

 道を教え、どうにか目的地手前100メートルの交差点に辿り着いたのが受付終了5分前。その先は混んでいるのでタクシーを降り、アスファルトを蹴る。日頃走っているのは今日の日のためだったのかとゴール前のラストスパートかの如く猛烈ダッシュ。息をきらせて窓口に辿り着き、見本を出し終えたのが受付終了ぴったりの11時30分。勝利。

 その後、地方小出版流通センターさんを訪問し、本日の見本出しを終了。ランチミーティングを約束していた某氏と合流し、市ヶ谷の行列ラーメン店「くるり」に初挑戦。味玉味噌ラーメン。濃厚。

 帰社途中、都営新宿線九段下よりの改札から出たところにある古本屋「山本書店」の均一棚から『喜作新道 ある北アルプス哀史』山本茂実(角川文庫/昭和53年初版/帯あり)を抜く。

「日本アルプスの山々が、まだ荒々しい大自然の掟に支配され、カモシカや熊を追って、命知らずの<鉄砲撃ち>が山奥深くに分け入っていた大正のころーー今はアルプス銀座と呼ばれてにぎわう槍ヶ岳への道を独力で切り拓いた猟師がいた。その名は小林喜作。雷鳥の生き血を飲んで熊の穴に眠り、アルプスの盟主として君臨したこの山の巨人も、ある日ナダレに巻き込まれて謎の死を遂げた......。著者は綿密な取材活動を通じて"人間"喜作とその死の真相を描くことにより、当時の社会のひずみとその底辺に生きる赤裸々な人間の姿を浮き彫りにすることに成功した。推理的手法で描いた第一級の文芸ノンフィクション!」

 100円で購入。このお店の均一棚は相性がいい。

 会社には浜本の姿なく、今日も熱が引かずお休み。やっぱり働かせ過ぎたのかもしれない。
 明日からの通常営業に備え注文書とフェアリストを作成。夜7時、退社。

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