3月23日(月)
- 『定本 黒部の山賊 アルプスの怪』
- 伊藤正一
- 山と渓谷社
- 1,296円(税込)
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- 『オシム 終わりなき闘い』
- 木村 元彦
- NHK出版
- 1,620円(税込)
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週末に読み終えたのは、去年幻の名作復活!と各所で話題になっていた『定本 黒部の山賊』伊藤正一(山と渓谷社)。北アルプスの最奥部で山小屋を経営する著者の昔語りなのだが、これが山小屋版『遠野物語』といったところで、不思議なことや興味深いことだらけですこぶる面白かった。その流れで古本屋で買っておいた『喜作新道』山本茂実(角川文庫)を読み始める。このように本が繋がっていくのは読書の醍醐味。
朝、出版健保に立ち寄る。先週末より喉が痛く痰が絡んでひどいので診察を受ける。先々週はウィルス性胃腸炎でダウンしたが、一ヶ月に二度病院にかかるのは人生で初めてかもしれない。精も根も尽き果てると人間は病気になるものなのだ。
診察を終え出社すると、昨日、朝日新聞書評欄で紹介された『猪変』と売れ行き絶好調中の『本で床は抜けるのか』、そして事件から20年を迎えた『サリン それぞれの証』の注文の電話がひっきりなし。『猪変』と『本で床は抜けるのか』はただいま重版中で4月1日出来。ずいぶん早く手を打ったつもりだったけれど、それ以上のスピードで売れていってしまった。痛恨。
夕方、テリー植田さんと打ち合わせを終えた後、ジュンク堂書店池袋本店へ。『オシム 終わりなき闘い』(NHK出版)刊行記念で、著者の木村元彦さんと高野秀行さんのトークイベント。
NHK出版の編集の方の「人名のわかりにくい本を書くのがふたりの共通項」という紹介に笑い転げつつ、もはやノーベル平和賞ものの役割を果たしているオシムさんのことを、高野さんが上手く引き出していき、あっという間の1時間。
「オシムさんにはずっとジェフの指揮を取って欲しかった。なぜならあのサッカーを毎週見られるんですよ」「書くモチベーションのひとつは隠れたファインプレーを世の中に残しておきたいから」「(オシムさんは日本のサッカーをどう変えたかったと思いますか?の質問に)私見ながら、日本代表に限らず子どもたちのサッカーを含めて、サッカーをすることによって社会がつながっていくカルチャーを作りたかったのでは」など印象に残る言葉多数。
木村元彦さんと高野秀行さんの共通項は「人名のわかりにくい本を書く」以外に、知性、行動力、取材力、表現力を兼ね備えた稀代なノンフィクション作家、ということだろう。
それにしても途中、突然なぜか私に話が振られ、オシムさん風のユーモアのつもりが、あまりに自虐的ブラック・ジョークとなってしまい会場を凍りつかせてしまったのは反省。
打ち上げに誘っていただいたものの、喉の痛みがひどいので泣く泣く帰宅。