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7月5日(火)

「杉江さん、明日新刊見本出し、2点もあるじゃないですか。しかも1冊は648ページの超ぶ厚い本で、これを十数冊ずつ運んだら腕がひきちぎれちゃいますから、私も手伝いますよ」と泣かせることを言っていた事務の浜田は9時15分になってもやって来ず、ひとりで大量の本が入った袋を両手にぶら下げ、新刊見本出しへ。

 腕がひきちぎれるというよりは、足が地面にめり込む。かんじきを履いてくればよかった。今回だけは、見本出しの軒数が減ったことに感謝す。

 見本出し恒例「黒兵衛」で「味噌ワンタンメン」を食しパワーを充填し、会社に戻ると昨日からずっと考えていた『吉野朔実は本が大好き』を重版することを決意。印刷所に連絡をいれると「あの...、発売前ですけどいいんですか?!」と戸惑いを隠せない様子。

 発売前重版とはまるで村上春樹のようで社内は沸き立つが、要するにこれは私の初版部数の設定ミスであり、初めから刷っていれば原価もぐっと下がったのだ。短期間の重版というのは実はミスでもあることを忘れてはならない。うれしいけどかなしい。

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