評価:C- 「刑事になったんじゃなく刑事に生まれた男」にしちゃ、この主人公若すぎ。せめて30代後半、出来たら40代にはなっててくれないと。20代では、どうもリアリティに欠けるというか、そんなに何もかも分かったような気になってんじゃねーよ、と言いたくなってくる。まあこれは、私の年齢によるものかもしれないが。 ひとり暮らしの老婆の殺人事件の捜査を軸に、警察署長の父との確執や優秀な刑事だった祖父との交情、目撃者として現れた、中学時代に好きだった女性との恋愛が訥々と語られる。 一見とらえどころのない事件が、少しずつ現れる小さな事実によって、だんだんと形を成していくさまは警察小説としての王道、ではある。地味ともいえる起伏のなさも、奇をてらわないがゆえと言うことはできる。 しかしなあ。その割には、結構都合の良すぎるところが多い。だってさ、結局捜査のポイントとなる事柄って、全て主人公が直接かかわってるし。だからなのか、警察小説といいながら「捜査」って感じが希薄。ラストも、あんなことになるわりにはどうもふに落ちない。刑事として生まれたくせになんでそんなにすぐやめちゃうわけ?とか言いがかりつけたくなる。