100円バーガーでなぜ儲かる?~『激安なのに丸儲けできる価格のカラクリ 』

激安なのに丸儲けできる価格のカラクリ 10円缶コーヒーでもなぜ利益が出せるのか?
『激安なのに丸儲けできる価格のカラクリ 10円缶コーヒーでもなぜ利益が出せるのか?』
坂口孝則
徳間書店
1,260円(税込)
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 マクドナルドといえば、100円バーガー。1個あたりのその利益は5円ほどとされており、明らかに薄利だといえます。では、マクドナルドは100円バーガーを販売することで、どのようにして利益を得ているのでしょうか。
 
 そのカラクリの答えは、セットメニューにあります。苦学生ならともかく、100円バーガーのみを注文する人は多くありません。多くの場合は、100円バーガーを合わせたセットメニューで注文します。100円バーガーとジュース、ポテトを組み合わせたセットは単品で購入するよりも「トク」だからです。

【単品の場合】※東京の価格
ハンバーガー:100円
ドリンク(M):200円
ポテト(M):250円
合計:550円

【セットの場合】※東京の価格
価格:480円(ドリンク、ポテト共にMサイズ)

 セットで購入すると、なんと70円も安くなります。ファーストフードは「単品で買うと高い」「セットで買ったほうがお買い得」というのはある意味、世の中の常識かもしれません。

 しかし、ここでレジに立っているアルバイトの販売費を考えてみます。時給800円とし、1個販売するのに3分かかると想定すると、800円÷60分×3分で1個売るための費用は約40円となります。100円バーガーを1個販売するのと、セットを販売するのとでは、1人のお客をさばくための販売費は同じ。複数の商品を同時に販売することで1つにかかる販売費が薄まるのです。ドリンクやポテトに発生するはずの販売費がセットに吸収されるので、単品3点で120円かかるところが40円で済み、80円の利益を店舗にもたらすことになります。

 単品の利益を見るのではなく、販売実態などを加味して、全体的な利益を確保するのがセット販売の狙い。「100円バーガー」という名称はインパクトがあり、広く消費者に知れわたることになりますが、その裏側にあるカラクリに気づく人はなかなかいないかもしれません。

 商売について考える上で、一つ覚えておくべきことがあります。それは、「商売において、儲かるところは語られない」ということ。「100円バーガーでどうやって儲かっているのか?」という問いは、「100円バーガーという宣伝商品を利用して、どうやって儲かっているのか?」という質問が核心をついているというわけです。

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