どうせ盗むならわが社の製品を!~『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』
クリス・アンダーソン
日本放送出版協会
1,890円(税込)
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 とどまることを知らない不正コピーや違法ダウンロード。あの手この手を使って対抗策を講じている人も多いことでしょう。しかし、世界中でベストセラーとなっている話題本『フリー〜〈無料〉からお金を生みだす新戦略』では、逆にこれを利用して成功した人たちを数多く紹介しています。

 イギリスの代表的なコメディーユニット「モンティ・パイソン」は、インターネット上に違法にアップされた動画によって、大々的に著作権侵害の被害に遭っていましたが、YouTubeに自らのチャンネルを立ち上げて、より高画質な映像を公開したところ、DVDの売り上げが230倍になりました。

 中国の歌手・香香(シャンシャン)のセカンドアルバムは400万枚近く売れましたが、そのほとんどが海賊版。しかし、その流れに逆らわずに膨大なファンを持つこととなった彼女は、多くのメディアやCMに出演することになりました。

 興味深いのはマイクロソフトの例。ビル・ゲイツは1998年に次のように語りました。「中国では1年に300万台のコンピュータが売れているにもかかわらず、人々は私たちのソフトウェアにお金を払ってくれません」「でも、いつの日か払ってくれるようになるでしょう。だから、どうせ盗むのならば、わが社の製品を盗んでほしい。彼らがわが社の製品に夢中になっていれば、次の10年間で私たちはお金を集める方法を考えだせるはずです」。

 その結果どうでしょう。中国は以前より豊かになり、コンピュータも安くなりました。苦労して不正なソフトを探すよりも、正規品の購入を選ぶ人も格段に増えました。これまで不正コピーでマイクロソフトの製品を使っていたユーザーは、新しい製品を選ぶときも必然的にマイクロソフトを選ぶため、その市場規模は巨大なものとなりました。

 著作権を守ることは大切ですが、世の中には逆らうことのできない流れがあることも事実。同書にはこうした著作権の例だけでなく、さまざまな形の「無料」が紹介されています。無駄な抵抗をやめて「無料」を正しく利用することができれば、あなたも大金持ちになれるかもしれません。

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