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6月22日(金)セクレタリアト

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 競馬週刊誌ギャロップを読んでいたら映画紹介のページがあり、そこで「セクレタリアト」という映画が紹介されていた。そのコラムの筆者合田直弘さんは、こう書いている。

「セクレタリアトは、1970年にヴァージニア州で生まれた北米競馬史に残る名馬中の名馬である。北米史上9頭目の3冠馬だが、その勝ち方が桁違いだった」

 私は海外競馬に詳しくないので、その名前は知っていたものの、セクレタリアトが実際にどういう競馬をしたのか知らなかった。だから合田直弘さんの映画紹介を読んでいるうちに、その映画を俄然見たくなってきた。ちなみに、セクレタリアトが生まれた1970年とは、日本でハイセイコーが生まれた年でもある。

 そのDVDが6月20日発売だというので、その日を待って町田駅前のヨドバシカメラに行った。ところがブルーレイならあるが、DVDは取り寄せになるという。すぐに見たいので別の店へ。三軒あたってどこにもなく、うなだれて帰宅しようとしたら、タワーレコードの看板が目に入り、そこに飛び込んだ。若い店員が親切に探してくれ、しかも値段がたったの1000円。どうしてそんなに安いの?

 女性馬主のペニーを演じるダイアン・レインが綺麗な人であった。私は映画をまったく見ないので、この女優が他にどんな映画に出ているのか知らないのだが、見たいなあ他の映画も。いや、なかなか面白いのですよこの映画も。しかし観終わってみると、残ったのはダイアン・レインが綺麗であることだ。

 それに問題は、合田直弘さんが先のコラムで書いた、
「クライマックスシーンにはやられてしまった。ネタばれになるので詳しくは書かないが、筆者が白黒の写真でしか見たことのなかったあの名シーンを、主演のダイアン・レインが再現した場面では、不覚にも筆者の涙腺は決壊した」
 という場面がどこのことなのか、わからなかったことである。実はこのくだりを読んで、DVDを買いに行ったのである。セクレタリアトに詳しい人なら「あの名シーン」というだけで、何のことかわかってしまうのかもしれないが、映画を観ても私にはどの場面をさしていのかわからないから困っている。

 ようするに私の涙腺は決壊しなかったのである。いいなあオレも決壊したかったなあ。なんだかもやもやしているので、続いて『シービスケット』のDVDを引っ張りだした。買ったまま観ていなかったのである。よおし、この機会に観てしまえ。

 この映画を観ていなかったのは、原作のノンフィクションが大傑作で、絶対にあれを超えることは出来ないと思っていたからだ。しかしこうなるとそうも言っていられない。
 結論から先に書けば、こちらも『セクレタリアト』同様になかなか面白かった。

 こちらの問題は、わかりにくい箇所が幾つかあること。いや、わかりにくいのは私だけかもしれない。たとえば冒頭、馬を追う男が有刺鉄線に触れるシーンがあるが、DVDに付いていた小冊子を読むまで、そのシーンの意味がわからなかった。映画に詳しい人ならわかるのかもしれないが、このときの馬追いカウボーイが誰なのかも、私にはわからないのだ。だいたい外人の顔はどれも似ているから区別がつかない。『セクレタリアト』でも、女性馬主ペニーの兄と夫の区別がつかなかった。一緒に画面に登場すればわかるのだが、単独で登場すると、ええと、こいつは兄だっけ夫だっけとわからなくなる。

 それにこの映画の不満は、クライマックスのサンタアニタ・ハンデで、2頭の馬の間にシービスケットが突っ込む最大の見せ場が(原作のノンフィクションにはそのとき正面から撮った当時の写真まで掲載されているから鳥肌ものだ)描かれてないこと。まあ映像化するのは難しかったのだろうが、原作の興奮にはやはり及ばない。

 面白かったのは、騎手同士がレース中に馬上で殴り合いの喧嘩をしていたことだ。笞で叩くのは当たり前で、相手の足を持ち上げて落馬させたりするから、とんでもないことである。1930年代のアメリカ競馬では当然のように行われていたということだろう。あれ、あのシーンはメキシコだったかな。アメリカでは一時期ギャンブルが禁止されていたので、メキシコの国境の街にみんなが押し寄せたというくだりがあるのだが、そこに出てきた挿話だったかも。

 細かなところではいろいろ不満もあるのだが、しかし2本続けて観たらなんだかもっと映画を観たくなってきた。どうせなら競馬映画がいい。そうか、2004年に馬事文化賞を受賞した『馬映画100選』という本があった。あれを開けば、いろいろ紹介されているだろう。問題はその本が出てこないこと。どこにあるんだ!

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