第2回 「旭のほうのね」と、川村あやの(はちきんガールズ)は言った。

【アイドル現場日記#1】2015年1月2日 はちきんガールズ@イオン臼井店(千葉県)篇

 ハロヲタのお正月は中野サンプラザのハロコンから始まる......はずなんですが、ファンクラブ先行でとった 「Hello! Project 2015 WINTER」のチケットが1月4日と10日だったので、2015年の初現場は、まさかのはちきんガールズ。

 わたしの生まれ故郷である高知発のアイドルっていうことで気になってたんですが、去年の東京アイドルフェスティバル(TIF)では不覚にも出番を見逃したので、ライブは未体験。正月にはちきんガールズが出演するステージでもないかなと、ふと思い立って元日の夜にチェックしてみたところ、おお、2日に千葉のショッピングモールで無料ライブがあるじゃないですか。会場は、船橋から京成線で10分くらいのイオン臼井店。メンバーのツイートによると、ライブの1回目は午後2時開演らしい。
 この正月は、仕事を口実に、妻子を栃木の妻の実家に残し、ひとり先に東京に戻ってきてるから、誰に断ることもない。臼井ならうちからわりあい近いしね。

 というわけで、正月2日の午後、西葛西駅から、東葉高速鉄道直通の地下鉄東西線に乗り、京成線に乗り換えて臼井駅で降り、目の前のイオンへ。中に入ると、マジシャンの人が手品ショーの真っ最中。どうやら、演歌と手品とアイドルがワンセットのお正月特別イベントが2回行われる模様です。

 しばし待つうち、はちきんガールズ登場。高知県観光特使にして、海洋堂イメージガール(先代社長が高知出身ということで応援しているらしい)。高知県出身のヲタクとしては推さないわけにいかないでしょ。地元の高校野球チームを応援するぐらいなら、地元のロコドル応援するほうがよっぽど楽しいと思うけどなあ。はちきんガールズは、ローカル・アイドル人気を定着させた「あまちゃん」の公式サポーターに就任したのに続き、NHK『恋する地元キャンペーン』サポーターの高知県代表にも選ばれている。四国のご当地アイドルでは愛媛県のひめキュンフルーツ缶が有名ですが、はちきんガールズだって負けてないのである。

 もっとも、はちきんガールズは昨年、東京に本拠を移し、高知と行ったり来たりしながら活動しているそうなので、すでに地方アイドルを脱皮し、全国区のライブアイドルとして新たな挑戦の真っ最中。その舞台裏を取材した高知さんさんテレビ制作のドキュメンタリー「脱藩、巡礼、負けないチカラ ~たとえば あるご当地アイドルのかたち~ はちきんガールズ」が第23回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品として昨秋、フジテレビ系で全国放送された(ネットでも見られます)。

 プロデューサーは、かつて劇団四季の女優だった門脇幸。彼女が故郷に戻って開設した芸能スクール、シエロクラブの生徒から選抜されて2010年に「はちきんガールズ」が誕生した(母体になったのは、四国アイランドリーグplusに所属する野球チーム、高知ファイティングドッグスのチアグループ)。いまはその妹分にあたる「やまももガールズ」も活動中。地方の芸能スクールといえば、アイドル界では、Perfume、中元すず香(BABYMETAL)、中元日芽香(乃木坂46)、鞘師里保(モーニング娘。'15)、まなみのりさetc.を輩出したアクターズスクール広島が頂点に君臨してますが、シエロクラブにもぜひがんばってほしい。

 はちきんガールズは4人組ですが、現在、リーダーの平田伊梨亜(いりあ)が4月までオックスフォード大学(!)に短期留学中のため、今日のステージは3人編成。客席は、座れるスペースが20人分くらい。2列目の中央が空いてたのでそこに座り、うしろに立っている"おまいつ"(「おまえいつもいるな」の略。ライブ常連の、いわゆる追っかけ組)とおぼしき数人の方々の掛け声を参考に控え目に手を振り、声を出す。YouTubeで予習してるので、曲はだいたいわかります。

photo1.jpg

 初期のかわいい系の代表曲「がんばるココロに恋は咲く」の間奏になると、うしろのヲタのあいだからにわかに湧き起こる力強い胴間声。

「土佐の荒波打ち砕き/熱き血潮をみなぎらせ/全身全霊全力前進/煌めけ我等がはちきんガールズ!」

 このMIX(というか口上)を背中にプリントしたパーカを着てる人も見かけましたが、あれは作者ご本人でしょうか。MIXといえば、AKB48で広まった「タイガー! ファイヤー! サイバー! ファイバー! ダイバー! バイバー! ジャージャー!」が定番ですが(ハロプロの現場では暗黙の禁止事項なので、いまだに慣れない)、対バン形式の(複数組のアイドルが出演する)ライブなどでオリジナルのMIXを打つ場合は、スケッチブックなどに書いてステージの前で掲示したりするみたいです。

 よさこい節をとりいれた「日本列島夢前線」では、振りに鳴子が使われてて、応援団も持参の鳴子を打ち鳴らす。今日の大森は、このライブに備えて「高知家」のTシャツ着てきたんだけど、しまった、鳴子も持ってくればよかった!


 はちきんガールズの楽曲は、「はりまや橋で待ち合わせ/ひろめ市場で食事して/話が弾めば桂浜」/じゃじゃ馬じゃじゃ馬HACHIKIN GIRL」ではじまるテーマ曲を筆頭に、高知ローカルだったり、高知の物産が登場したりする楽曲が多いのが特徴。わたしが好きなのは、高知名物のパンをフィーチャーした「帽子のかたちのぼうしパン」。PVには高知城、帯屋町、ひろめ市場、はりまや橋、高知駅などが登場、観光Vとしても優秀です。


 YouTubeを「はちきんガールズ」で検索すると、他にも膨大な量のライブ動画が上がってますが、吹きさらしの駐車場とかスーパーの前とか物産展の会場とか、あらゆる場所でライブの場数を踏んできた経験のおかげか、今日のパフォーマンスも堂々たるもの。ステージごとに衣裳もセットリストも変え、MCは土佐弁で通し、司会を入れずに3人だけできっちり笑いをとる。
 はじめてはちきんガールズを観るおじいちゃんおばあちゃん、家族連れが大半なので、口で言うほど簡単じゃないですよ。ちなみに高知市生まれ・高知市育ちの大森としては、「ここのイオンは高知のイオンみたいな感じやき、なんか落ち着くねえ」と言うひなこに、あやのが小さな声で「旭のほうのね。SATYの」とフォローしたのに大笑い。つまり、新しくできたイオンモール高知じゃなくて、ニチイ時代からある歴史の古いイオン高知旭町店(うちの実家のすぐ近所)のほうですよ、とわざわざ念を押したんですが、それ、だれも気にしてないから!

 ライブ終了後は物販。ライブアイドルの場合、むしろ物販のほうがメインだったりすることもあるらしい。はちきんガールズご本人の手から、最近のCDを2枚買って、サインしてもらいました。

photo2.jpg

左から梶原妃菜子(ひなこ)、石川彩楓(あやか)、川村あやの


photo3.jpg

上「冒険はじまる。」 下「偽りの天国はイラナイ」


 ちなみに対バン(?)の乾英里香さん(えりぽん)は、2011年8月21日『華よ咲け』『花散らしの雨』でウィングジャパンよりメジャーデビューした、高知県宿毛市生まれの演歌歌手。「笑っていいとも」に出演し、「生放送で「ペガサス幻想」歌って(採点機で)100点出す」という超難題を一発クリアした人だけに、歌はめちゃくちゃうまかったですね。ひとりでたいへんだと思いますががんばってください。