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5月14日(木)

玩具の言い分
『玩具の言い分』
朝倉 かすみ
祥伝社
1,543円(税込)
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岸和田の血
『岸和田の血』
中場 利一
本の雑誌社
1,944円(税込)
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 私が本の雑誌社に転職して来た時、前任のSさんから「こんなことはどのビジネス書にも書いてあると思うけど、営業で大切なことはお客さんをしっかり名前で呼ぶってことです」と妙に生真面目に言われたことを思い出す。

 それは何も「○○ちゃん」とか愛称で呼べというわけではなく、ふつうに「浜田さん」とか「松村さん」というように、相手を社名でなく名前で呼べということだった。私は前の会社でも営業をしていたのだが、改めてそんなことを注意されたことがなったので、それ以来気にして、名前を呼んでしっかり挨拶するように心がけている。それが役立っているのかはわからないけれど。

 ただし名前を呼ぶには怖い点もあって、200店舗近くのお店を廻っているととどうしても名前が覚えられない、というか、とっさに出てこないときがある。そういうときに間違えて前任者の名前で呼んでしまったらアウト。寝言で妻以外の女の名前を呼んでしまうのと同様で、間違いなくレッドカードで退場になるだろう。

 だから私はお店に入る前に、営業リストを確認する。そこには棚担当者からお世話になっている書店員さんの名前が店舗ごとに記入してあるのだが、それらを一瞥した上で、お店に入るのである。

 それから「逆もまた真なり」で、自分の名前を毎回しっかり名乗るようにしている。

「こんにちは(はじめまして)本の雑誌社の杉江です」

 これは書店員さんが自分のことを認識していると思ったら大間違い。毎日何人、何十人もの営業マンが訪問する書店さんにとって、名刺交換しただけで覚えられるわけがなく、そういう場合、やっぱり先に社名と個人名を名乗って、相手に自分が誰であるかしっかり認識してもらった上で話をしたほうが良いだろう。

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 通勤読書は、去年の今頃『田村はまだか』(光文社)が、ヒットしていた朝倉かすみの新作『玩具の言い分』(祥伝社)。

 今作は世間的にちょっと「重い」と言われそうな女性たちの恋愛短編集。1歩踏み出す手前ですべての短編が終わっていて、切れ味が素敵だ。読了後、いろんな意味で重そうな事務の浜田にプレゼント。

 著者のブログで「そして、一見、短編集。でも、わたしのなかでは連作短編集なのだった。どんなふうに「連なっているのか」を分かっていただけたら、嬉しいです。」とあるのだが、なんだろう、日付かな?

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 直行で、取次ぎ店さん廻り。
 今月の新刊『岸和田の血』中場利一の見本が出来上がったのでお届けする。

 地方小出版流通センターのKさんとアマゾンの不思議な発注について議論。

「やたら『3』が多いんだよね」
「世界のナベアツが発注しているんじゃないですか?」

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