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6月3日(水)

 営業の大先輩C社のAさんから「行った方がいいよ」とアドバイス頂いた書店さんを訪問すると、なんと名刺を差し出すと「会いたかったんですよ!」と大喜びされてしまったではないか。

 こんなことはそうそうあるものではなく非常にうれしいのだけれど、慣れていないことなので、どう対処して良いのかわからない。しかし相手をよく見てみるとどこかで見覚えのある顔で、話を伺っているうちに思い出す。私が書店でアルバイトしていた頃、別の階で働いていた社員さんではないか。向こうは社員で、私はアルバイトだったから、私が一方的に知っているだけだったが、そうなると今度は当時のその書店さんの話で盛り上がる。

 良かった良かったと次なる訪問先へ向かい、こちらも担当者が変わっていたのだと名刺を差し出すと、今度はいきなり両手で握手してくるではないか。そうそう書き忘れていたが、どちらの書店員さんも女性なのである。男は人生に3度モテる時期がある、と言われるが、私はそれを幼稚園、小学校、中学校で無駄に使ってしまったと激しく後悔していたのであるが、もしかして私はチャンスタイムで4回目が訪れたのではないか。

 しかし人生にそんな上手い話があるわけがなく、もしかすると棚の背後から本屋大賞実行委員会の面々がプラカード片手に顔を出し、「どっきりでーす」と言うのではないか。あるいはここは書店のフリをしたキャバクラなのではないか。棚からフルーツの盛り合わせやシャンパンが出てくるのではないかとヒヤヒヤする。

 もう何も信じられないのであったが、どうやら現実のようで、その後しばし真っ赤な顔で本の話などして帰ったのであるが、なんと帰り際には「ゆびきりげんまん」までして、また来ることを約束したのであった。生きていると良いことあるなあ。

 我が営業人生で一番幸せな日と思ったが、次なる訪問地では、3軒とも書店員さんが不在だったり、レジだったりでお会いすることができず、やっぱり良いことは長く続かないのであった。

 本日は久しぶりの平日開催のため、直帰して、駒場スタジアムへ向かったのであった。


「炎のサッカー日誌」

 日本サッカー協会がJリーグの開催時期を秋春制に変更しようとしているが、私は猛烈反対なのである。雪国でなくても開始数時間前から並んでいるサッカーバカどもにとって、天皇杯ですらあれほどキツいのに、1月や2月にアスファルトの上に並ばされたらサッカー観戦どころではないのである。いくら酒を飲んでも寒いものは寒いのだ。

 それともしJリーグが水曜開催を廃止しようとするのであるなら、私はそれにも猛烈に反対するであろう。なぜならこの平日の開催、それも浦和レッズの場合、駒場スタジアムの開催には、すでに"文化"が宿っており、それは埼玉スタジアムと比較すると中央競馬と地方競馬の違いのように感じるのだ。何かを捨てた者だけが集まる平日開催には、不思議な熱狂が宿る。

 久しぶりの駒場スタジアムはやはい良い。天井に反響する声や手拍子の音、選手に届きそうな距離感、若干暗めの照明。見知った顔、顔、顔。ノスタルジーと言われてしまえばそれまでだが、ノスタルジーが生まれるほどすでにJリーグは時を刻んでいるのである。

 サッカーは、特に前半の後半の出来が素晴らしく、思わずプレミアリーグを見ているのではないかと錯覚するほどの、コンパクトさと運動量でジュビロ磐田を圧倒したのであった。しかも古巣相手に高原が今季初ゴール、代表に呼ばれた都筑の代役、GK山岸が神懸かり的なセーブを連発、そしてまたひとり面白い素材として永田拓也が現れ、やはり幸せな水曜日なのであった。

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