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9月16日(水)

 夜、第5回酒飲み書店員大賞の授賞式に参列。
 といってもその名のとおりの団体なので、船橋の居酒屋でビール片手に乾杯なのであった。

『太陽がイッパイいっぱい』(文春文庫)で受賞された三羽省吾さんは、むちゃくちゃ二枚目で、とある女性書店員さんは帯とか表紙とかどんどん顔写真を載せたほうがいいですよ、と詰め寄っていたのである。私はその話を聞きながら、推定41歳の出版コンサルタント業のおっさんに脹ら脛を触らせていた。

「すごいっしょ」
「すごいね」

 週4回、平均8キロのランニングを続けていたら、脹ら脛はもちろん太ももも大変なことになってきたのである。そうなると誰かに自慢したくなるのが人間のサガだが、なかなかそういう機会もない。女性に見せたらセクハラになるし、男でも勘違いしちゃう人はヤバいのだ。というわけで、本日元サッカー部であるおっさんに見せていたのであった。

 さて、宴会も終わる頃になって、思い出すのは第一回の高野秀行さん受賞の頃だ。

 あの頃は、まだこういう本屋大賞ミニ版のような、書店さんで勝手に売り出すものを決めてやるようなコンペもほとんどなく、酒飲み書店員大賞は大変珍しい存在だったのだ。だからこそ『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)が全国区になったのかもしれないが、今は、百花繚乱、いろんなところでこのようなコンペがされていて面白い。

 地域性があるのは、京都の水無月大賞、名古屋のBOOKMARK NAGOYA「名古屋文庫大賞」などで、書店チェーンでいうと町の本屋さんが集まったネット21でも同様のものが開催されている。

 そして一番いろんなことに挑戦しているのが啓文堂チェーンで、こちらはいわゆる文庫大賞だけでなく、雑学文庫やビジネス書でコンペをしたりしていて目が離せない。ただいまも「啓文堂おすすめ文芸書大賞」も最終候補中で、次の15作品から大賞が選ばれるそうだ。

最終候補作品
 
『山田商店街』 山田マチ著 幻冬舎
『ラットマン』 道尾秀介著 光文社
『黒い森』 折原一著 祥伝社
『造花の蜜』連城三紀彦 角川春樹事務所
『インシテミル』 米澤穂信 文藝春秋
『悶々ホルモン』 佐藤和歌子著 新潮社
『TOKYO BLACKOUT』 福田和代著 東京創元社
『電車屋赤城』 山田深夜著 角川書店
『傍聞き』 長岡弘樹 双葉社
『空に唄う』 白岩玄著 河出書房新社
『ねにもつタイプ』 岸本佐知子著 筑摩書房
『スヌスムムリクの恋人』 野島伸司著 小学館
『風の中のマリア』 百田尚樹著 講談社
『茗荷谷の猫』 木内昇著 平凡社
『蛇衆』 矢野隆著 集英社

 全国でこのようなことが行われ、本屋大賞が甲子園の決勝戦みたいになったら面白い。

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