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10月29日(木)

放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法
『放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法』
高野 秀行,二村 聡,下関 崇子,井手 裕一,金澤 聖太,モモコモーション,黒田 信一,野々山 富雄,姜 炳赫
本の雑誌社
1,512円(税込)
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幻想ネーミング辞典
『幻想ネーミング辞典』
新紀元社編集部
新紀元社
1,404円(税込)
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 来月の新刊『放っておいても明日は来る』のゲラを送っておいた川崎のM書店Sさんから「これ、むちゃくちゃ面白いし、売れる要素がいっぱいあるから販促の打ち合わせをしよう」と有難い申し出をいただいたので、さっそく訪問。

 その向かう電車のなかで「売る方法」を考えていたのだが、そうは言っても本屋さんで本を売る方法というのは、たくさん積むかPOPや看板しか思い浮かばず、そのことをSさんに伝えると「そうんだよ、俺たちずーっと同じことをやっているだけで、最初はそれで売れたんだけど、だんだん効果も弱くなっていると思うんだよ」と話すのであった。

 確かに棚一面やワゴンなどに多面展開という販売方法がとられたとき、その圧倒的なインパクトに多くのベストセラーが生まれたが、今ではどこもそのような置き方をしているので、お客さんも慣れてきているだろう。POPもそういうところがあるかもしれない。

「来たお客さんが1冊でも本を手に取って見てくれたら書店員としての任務はひとつ果たした気がするんだよね。中味は出版社が作るわけだから、俺たちにはどうすることもできない。でもね、せっかくお店に来たお客さんが1冊も本を手に取らず、何も買わずに帰られるのがすごい悔しいんだよね。だってこんな面白い本はあるわけだから。そういうお客さんに気付いてもらう新しい方法を考えたいよね」

 物を買うときの人間の心理はどんな状態なのか。自分が本以外の物を買うときのことを見つめてみたが、イマイチはっきりしない。それでもベストセラーがベストセラーになる前に買う人たちがいて、その反応をみて書店さんは注文をだし、出版社は重版や広告展開などしていくのだ。ということは、すべてのベストセラーは出来た瞬間からベストセラーになることが決まっていたのだろうか。じゃあ営業マンや書店員はなんの仕事をしているの? などなど2時間以上に渡ってかなり真剣にSさんと話し合うが、そう簡単に新しい販促の方法は生まれやしない。でもなんか楽しい。

 そのSさんは、ファンタジーでよく登場する言葉を10カ国語で紹介した『幻想ネーミング辞典』新紀元社編集部(新紀元社)がじわじわと売れ出しているという。幻想文学の棚やコンピューターの棚(ゲームの登場人物に名前を付けるのに便利かな?という想いで置いているそうだ)とか今はいろんなところに置いて試しているそうだ。

 そういう工夫のひとつひとつがベストセラーを生んでいるのではなかろうか。

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